「やんばるの森」ヘリパッド建設 間もなく完成
反対の住民「ごぼう抜き」で排除

  •  沖縄県「やんばるの森」の米軍北部訓練場ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設工事が年内にも完了する。全国保険医団体連合会は11月末、沖縄県保険医協会の協力を得て、「日本ジャーナリスト会議」(JCJ)の調査・取材に同行した。住民を取材したほか、普天間飛行場の移転予定地の名護市辺野古でも聴き取り、県警・同公安委員会に正式に取材を申し入れ担当官と面談。地元の記者や編集幹部、弁護士、地域住民、支援者らなど幅広く沖縄の現状を取材した。調査の模様を報告する。
  •  8月20日朝、県道70号線の高江橋付近で、住民らが排除されるのを記者証等を明示し取材していた記者2人が機動隊員に両腕や足などをつかまれて約40メートル移動させられ数十分間にわたり拘束された。当時は30℃を超す炎天下。砂利などを積んだダンプ十数台が警察車両とともに入ったが取材できなかった。
  •  地元紙「沖縄タイムス」で11月29日、取材妨害された記者や一報を受けて取材継続を指示し県警に抗議した編集局次長らから当時の状況を聞いた。沖縄協会の3人も同席した。記者らは「記者証を明示したが相手にされず拘束された。機動隊車両に挟まれ、猛烈な暑さと排気ガスが充満する中で住民らと約30分動けなくされた」「腕章をカメラに着け記者と明言したが聞き入れられなかった。重要な事象を記録できなかったのは本当に悔しい」と話した。
  •  日本の国土の0.6%の沖縄県に在日米軍の74%が集中している。琉球新報の松永勝利編集局次長は、那覇市など沖縄本島中南部は北九州市(492平方キロ)とほぼ同じ478平方キロ。沖縄県人口の8割の120万人が暮らしており北九州市を超す密集といえると解説。「なのに3つの大きな軍用空港があり、軍用地が多くあるのは異常ではないか。『沖縄だから仕方ない』との声を本土の人からよく聞くが、これ自体が差別的だ。世論調査ではヘリパッド建設も過半の県民が反対しているのに」と強調した。

高江では「ごぼう抜き」も

  • 11月28日月曜、高江のN1ゲート前。早朝は福岡からの支援者ら200人超に膨れ上がったが、住民ら50人ほどになった正午過ぎ、警視庁や福岡県警の機動隊員が流れ込んできた。「移動して下さいね」「危ないですよ」声は穏やかで笑顔を浮かべた機動隊員が、「キャー」という悲鳴を上げ首を横に振るお年寄りや若い女性の両手両足を持って引き上げ「ごぼう抜き」していった。警官らはいつの間にか200人にも膨れ上がった。
  •  住民らが排除された県道を大型トラック十数台がパトカーに先導されゲートを通っていった。土砂などを降ろしたであろうトラックは数分後にまたパトカーとともに出てきた。住民らは「自然豊かな森を壊すな」などと声を上げたが、警察官の「怪我しますから気をつけて下さい」との無機質な声とトラックの騒音にかき消された。沖縄県警は「明確な違法行為は無かったので逮捕などの事案は無かった」とした。

弾劾可決で大統領職務停止のソウルでは
歓喜と「生ぬるい」の声が交差
「終わりではなく『はじまり』」
朴政権の即時退陣と、さらなる民主化求め

  • 12月9日の韓国国会で、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追案が可決されたソウルでは、直後の週末の10日、弾劾成立と職務停止を喜ぶ声と、即時退陣や逮捕・拘束などを求める声が交錯していた。
  • 左写真 「朴槿恵(パク・クネ)を拘束しろ」などと訴えソウル市庁前をデモ行進する市民たち(12月10日午後5時、ソウル市庁前で杉山正隆写す)
  •  ソウルでの大規模な集会は10月27日以降、毎週土曜日に開かれており7回目。日に日に冷え込みが強まり、最低気温が―5℃ほどになったこの日、ソウルでは主催者発表で80万人(警察発表は12万人)が参加した。
  •  参加者らはろうそくやプラカードを持ってソウル中心部に集まり、弾劾訴追案が可決されたことを「国民の勝利だ」などと歓喜の声を上げた。一方で、「弾劾は終わりでなく始まり」「職務代行や内閣は大統領が任命したもので何も変わってない」と朴大統領の即時退陣を求めた。
  • 右写真 「即時退陣を」などと書かれたプラカードやろうそくを持って訴えた(12月11日午後7時、光化門前の世宗大路で杉山正隆写す)
  •  世宗退路に建つ光化門から大統領府青瓦台のすぐ手前まで市民らが波状的にデモ行進。「朴槿恵拘束」「黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行・首相は退陣を」「財閥オーナーも拘束せよ」などとシュプレヒコールを上げた。
  •  光化門前で開かれた「朴槿恵政権に終止符を打つ日」と題した集会では、旅客船セウォル号沈没時の朴大統領の「空白の時間」を示す「7(時間)」にちなみ、午後7時に1分間、ろうそくの灯りを一斉に消す1分間消灯で抗議の意思表示をした。
  • 左写真 旅客船セウォル号沈没時の「大統領の行動を明らかにし責任を取れ」とシュプレヒコールを上げる市民たち(12月10午後8時、光化門広場で杉山正隆写す)
  •  この日の「百万人集会」を主催した労働組合などでつくる「朴槿恵政権退陣非常国民運動」は大統領が退陣するまでろうそく集会を続ける方針。大統領を支持する保守団体もこの日、ソウル市内で「朴大統領退陣反対集会」を開き、退陣を求める市民らと一時、もみあいになったが大きな衝突はなかったという。

朴大統領退陣求め史上最大の集会
「大統領は今すぐ下野せよ」
高校生や大学生、若いカップルや主婦ら100万人

  •  崔順実(チェ・スンシル)容疑者の国政介入を許した疑惑などが次々に噴出している韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣を求める大規模な集会が12日夕方からソウル市内で開かれた。
  •  市庁前のソウル広場では、韓国労組の2大全国組織の一つ、全国民主労働組合総連盟(民主労総)や革新系市民団体の「民衆総決起闘争本部」が、光化門広場では約1500の市民団体がつくる「朴槿恵政権退陣非常国民行動」が集会を主催した。
  •  主催者側の発表によると100万人が参加。ソウル市の推計で126万人、警察は午後7時半現在で26万人超としたが、それ以降も参加者が膨れ上がったため推計を断念した。2000年代以降では最大規模だった2008年6月10日の米国産牛肉輸入再開抗議集会の主催者発表70万人(警察推計8万人)を上回った。
  •  ソウル中心部には、高校生や大学生、若いカップルや主婦ら幅広い層が「朴槿恵退陣」と書かれたプラカードやろうそくなどを手に結集。世宗大路は12車線の車道上を数キロにわたり大勢の人で身動きが取れない状態になったほか、鍾路、乙支路、小公路などのソウル中心部の道路や地下鉄駅なども市民の波が連なり、「朴槿恵は今すぐ下野しろ」「大統領を弾劾すべき」などと訴えた。韓国のメディアは、ソウル市民だけでなくプサンなど地方からも多くの人が参加し、全国各地での集会にも多数が詰め掛けたと報道。テレビは、史上最大の集会の模様を生中継で伝えた。
  •  大統領支持率は過去最低の5%(韓国ギャラップ社)に落ち込み、検察による大統領自身からの事情聴取など大統領包囲網は狭まっている。

(11月13日午後6時10分、ソウル・光化門の世宗大路で。撮影・杉山正隆)

国際エイズ会議AIDS2016 南アフリカで開催
パン国連事務総長 対策停滞に強い危機感を表明
英国のヘンリー王子、エルトン・ジョンさんら2万人

  •  2年に1度、HIV/AIDSに関連する様々な問題の解決に向け話し合う「第21回国際エイズ会議」(AIDS2016)が7月18から22日の5日間、南アフリカのダーバンで開かれた。HIVワクチン候補の初期段階の安全性試験で有望な結果が得られたとの研究結果や、バランスの良い食事を取ることや歯科・口腔の重要性に関するものなど、三千の演題発表があった。TPP(環太平洋連携協定)への強い反発や、高い薬価を維持する製薬企業へのデモも頻発した。患者・感染者をはじめ、医師・歯科医師、看護師、法律・教育関係者、NGO(非政府組織)・各国代表など2万人が参加。主催国南アフリカのシリル・ラマポーザ副大統領、パン・ギムン(潘基文)国連事務総長、イギリスのヘンリー王子、アーティストのエルトン・ジョンさんら政府首脳・著名人らも出席した。(杉山正隆 写真も)
  • 左写真 「今こそ若い世代のリーダーたちがエイズとの戦いに踏み出す時だ」と訴える英国のヘンリー王子。
  • 中央写真アーティストのエルトン・ジョン氏は約10億円のLGBT基金の立ち上げを発表した。
  • 右写真 国連のパン・ギムン事務総長は「HIVの大流行を終わらせるためにより迅速に目標達成に動くべき」と強調した。

今も年間210万人が新たにHIVに感染

  •  ダーバンでの会議は2000年にも開催されており、前回の開会式では南アフリカのHIV陽性者を代表して当時11歳のヌコシ・ジョンソン君が「ケアして下さい。受け入れて下さい。僕たちはみな同じ人間なのです」と語りかけた。記者会見で、ヌコシ君は「僕には夢がある。医師になって皆を救いたい。1人1人が努力していこう」と目を輝かせていた。ヌコシ君はHIVに感染して生まれた子どもの中で最も長期に生きたが、夢を実現する前にエイズで亡くなった。あれから16年。医学は進歩しHIVに感染しても永く生きられるようになった。
  •  国際エイズ学会(IAS)のクリス・バイヤー理事長は「今なおエイズは続き、広く信じられているよりも多くの人命が奪われている」と指摘する。2015年末時点の世界のHIV陽性者数は3670万人。うち治療を受けられる人は1700万人にとどまっており、半数弱でしかない。今も年間推定で110万人がエイズによって死亡している。
  •  AIDS2016は「Access Equity Rights Now(いまこそ公平な権利へのアクセスを)」がテーマ。開会式には、南アフリカのラマポーザ副大統領が国を挙げて取り組んでいくことを約束。国連エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長は、世界で1700万人の感染者らが治療を受けられることになるなど、大きな進歩があったと胸を張った一方、昨年だけで210万人が新たに感染しており、「国連が掲げる2030年までにHIVの流行を終わらせる目標には程遠い」と述べ、各国や関係者にいっそうの対策強化を訴えた。
  • 右写真 世界180か国から2万人が参加した第21回国際エイズ会議「AIDS2016」。

「ワクチン候補の初期試験で好結果」との発表

  •  発表はHIVのみならず結核や肝炎、歯周病との関連についてなど多岐にわたったが、特に注目を集めたのが初期試験「HVTN100」で好結果が出て大規模臨床試験に道が開かれたワクチン候補の発表だ。南アフリカ国内6施設で18カ月間、HIV感染リスクの低い252人を対象に実施。新薬テストのための長期間にわたる2段階のプロセスでの重要な関門を突破し、人体の免疫系がワクチンに反応していることを示す抗体についても調べたという。同試験は、2009年にタイで実施された革新的な臨床試験を土台に進められた。
  •  次の段階の臨床試験「HVTN702」は今年11月にも、HIV感染リスクの高い南アフリカの18から25歳の男女5400人を対象に開始される予定だ。
  •  公的な国際プロジェクト「HIVワクチン臨床試験ネットワーク」(HVTN)のアフリカでの計画を統括するグレンダ・グレイ氏は「5年をめどに結果が得られる見込みで、好結果を期待している」と述べ、長い年月にわたり懸命に取り組んできたことを強調した。そのうえで、完全な有効性を確認できるワクチンの開発にはまだ時間が掛かることを認める一方、「仮に部分的な効果の遮へい薬でも大きな影響を及ぼす可能性があることが分かってきている」とも話した。

「2030年までにエイズ根絶」の目標に 黄色信号

  •  HIVの世界的流行を2030年までに事実上、終焉させる目標に向けた努力が滞っているとUNAIDSがダーバン会議に合わせて報告書を発表した。HIVの成人の新規感染者数はロシアなど複数の地域で増加しているという。
  •  UNAIDSはその原因を「予防的プログラム、とりわけ薬物注射使用者の『ハーム・リダクション』(健康被害を予防・軽減させる)介入が小さかった」ことにあるとしている。シディベ事務局長は「ロシアでの新規感染の半数以上が薬物注射使用者であり、彼らに働きかけなくては感染拡大を封じ込めることはできないだろう」とし、薬物注射使用者や男性同性愛者では一般集団よりもHIV感染リスクが24倍ほど高いと指摘。性労働者では同10倍になるとも指摘した。
  • 左写真 「エイズは終焉をむかえる?まだ半分を来てない!」と訴えるデモ参加者たち。

「男尊女卑」が多くの問題の背景に

  •  UNAIDSは、東部・サハラ砂漠以南のアフリカに大半の感染者らが分布している現状に深刻な懸念を示した。際立った男女間の不均衡があり、同地域での成人の新規感染者数は2010年以降で約4%低下しているが、15から24歳の新規感染の4分の3は女性だった。同地域では未成年者結婚や幼児結婚、強制結婚など幼児に対する性的虐待や暴力の水準が高く、性的不平等や不名誉のために女性、とりわけ女児がHIV対策のサービスを利用できないことにあるとUNAIDSは警鐘を鳴らしている。
  •  こうした「男尊女卑」の思考は、日本を含めたアジアでも根深くあり、エイズのみならず様々な問題の背景に潜んでいると指摘している。

危機感を強めダーバンに駆け付けたパン事務総長

  •  パン国連事務総長は国連本部のあるニューヨークから遥か離れたダーバンまで駆け付けた。新たに発表した報告書で「今後5年間の緊急対応を怠ればエイズの流行は延々と続くことになる」と警告した強い危機感を、自ら行動で表した。
  •  UNAIDSは「90-90-90」目標を提示。20年までに「HIV陽性者の90%を検査し、その90%を治療し、その90%のウイルス量を検出限界以下に」とし、目標を達成することで30年までに「エイズ終焉」を成し遂げる、という壮大な計画だ。しかし、このままでは実現は困難と関係者は口を揃える。
  •  危機感は、運営に当たった会議組織委員会や参加者も同じ。5日間の会議に先立ち、2日間の「プレ会議」を開き、看護ケアや「LGBT」などのセッションでも活発な議論が繰り広げられた。
  •  TPPに反対するデモが目立ったのも危機感の表れだ。後発のジェネリック薬が使えなくなったり、薬剤や医療機器が大幅に値上がりすることで感染者が医療から遠ざかり死に直結する懸念が深まっている。これではエイズの流行を終わらせることはできない。
  •  記者会見を開いた医療関係者の1人は「TPPは、大手薬剤企業などに有利なだけ。日本や米国などの参加国の国民にもマイナスの点が多い。きっぱりやめるべき」と強調した。
  •  エイズの流行を終わらせるには膨大な資金とともに、国や企業などの努力が必要だ。予防から検査、ケアなどへと進む「治療」とともに、感染者や感染のリスクの高い弱者への支援などの「社会的対策」をどう強めていくのかが問われている。
  • 左写真 TPPで医療にかかれなくなり「死に直結する」と記者会見するNGOの関係者たち。

(2016.7.18-22)

HIV/AIDSの感染拡大が続く日本
予防、治療、支援、理解の全てが重要

  •  1981 年にHIV 感染者が公式に発見され、今も世界で年間200 万人が新たに感染するHIV/AIDS。国内では2014 年のHIV 感染者・AIDS 患者の新規報告者数は合計1546 件と高止まりの状況が続く。東京・大阪・名古屋の三大都市が多いが九州でも2年連続で増加。男性同性間が過半数を占め、感染に気付かないまま過ごしAIDS の状態となって確定診断を受ける「いきなりAIDS」が新規報告者数の3割にもなる。未成年の覚せい剤等の回し打ちの報告もあり、依然予断を許さない状況だ。 詳しく読むLinkIcon

(「月刊保団連」2015年11月号)

エイズで亡くなった人やMH17便撃墜の犠牲者を4000人がキャンドルライトで追悼


  •  オーストラリア・メルボルンの中心部にある広場「Federation Square」で22日夜、開催中のAIDS2014(第20回国際エイズ会議)参加者や市民がエイズで亡くなった人たちや同会議の途上にウクライナで撃墜されたMH17便に搭乗し死亡か確認されたエイズ研究者・活動家らの冥福を祈る「Candlelight Vigil」があった。

  •  約4000人が参加し、「皆さんの家族や友人にエイズやMH事故で亡くなった人がいますか」の問いかけに、あちらこちらから大切な人の名を呼ぶ声がこだました。そして電気式のキャンドルライトを手に1分間の黙とうを捧げた。
  •  同集会には数十人の警察官が雑踏警備に当たったが、募金をしてキャンドルライトを受け取り胸ポケットに差して職務に当たる姿も見られた。

(7月22日午後7時=オーストラリア時間=、杉山正隆写す)

AIDS2014 MOBILISATION MARCH


  •  AIDS2014 MOBILISATION MARCHが22日午後3時半(日本時間同2時半)から、オーストラリア・メルボルンであり、AIDS2014(第20回国際エイズ会議)参加者ら5000人がメルボルン会議場からFederation Squareまでの目抜き通り1km強を歩いた。エイズで亡くなった人々や、MH17便墜落で死亡が確認された会議関係者を想うボードが目についた。

(7月22日午後5時=オーストラリア時間=、フリンダースストリート駅前で杉山正隆写す)

AIDS2014豪・メルボルンで開幕



開会式:MH17機の犠牲者への黙祷も

  •  第20回国際エイズ会議(AIDS2014)の開会式が20日夜、オーストラリア・メルボルンであった。「Stepping Up The Pace」(取り組みのぺースを上げよう)をテーマに25日までの期間中、HIV感染者や支援者、医師・歯科医師ら医療関係者、教育、法律、人権などの専門家や活動家ら180カ国以上から1万数千人が新規感染を0にすることや「弱い立場」の人々らへの支援をどう強めるのかなどを話し合う。

  •  開会式では、IAS(国際エイズ学会)のフランソワーズ・ バレ=シヌシ理事長の呼びかけで、マレーシア航空機のウクライナでの墜落で亡くなったIAS元会長のヨープ・ランゲ氏ら研究者や活動家ら6人を含む乗客・乗員の冥福を祈り参加者全員が立ち上がり1分間の黙祷をした。壇上にはIASの新旧理事長や、同僚を失ったWHO(世界保健機関)、関係団体、オランダ人のHIV研究者らが上がった。
  • AIDS2014(第20回国際エイズ会議)の開会式が20日夜、オーストラリア・メルボルンの同会議場であり、IAS(国際エイズ学会)のフランソワーズ・ バレ=シヌシ理事長の呼びかけで、会議に向かう途上、乗っていたマレーシア航空MH17機の墜落で亡くなった人たちや家族らのことに思いをはせて黙祷した。(2014年7月20日午後7時半=現地時間=、杉山正隆写す)


  •  その後の発言では指導者や研究者、活動家、政治家らがHIVへの取り組みや対応が進みつつあることを称賛するとともに、偏見や差別との闘いを求める発言が相次いだ。

  •  UNAIDS(国連エイズ計画)のミシェル・ シディベ事務局長は抗レトロウィルス治療に少しでも多くの人たちがアクセスできるようにする努力は進んでいると評価。2013年には新たに230万人が延命治療ができるようになり、ART治療を受けている人は1400万人と推計できると強調し、「弱い立場の人たちへのさらなる取り組みを強めよう」と訴えた。スピーチの途中、マレーシア航空機墜落で犠牲となったHIV/AIDS関係者のことに触れ言葉に詰まる場面もあった。
  • 20日夜、オーストラリア・メルボルンの同国際会議場であったAIDS2014(第20回国際エイズ会議)の開会式で、UNAIDS(国連エイズ計画)のミシェル・ シディベ事務局長が「弱い立場の人たち」へ取り組みをさらに強めようと訴えた。スピーチの途中、マレーシア航空機墜落で犠牲となったHIV/AIDS関係者のことに触れ言葉に詰まる場面もあった。


  •  会議は、①科学②コミュニティ③リーダーシップと信頼性の3分野から、A基礎応用研究、B臨床研究、C疫学予防研究、D社会科学研究、政治科学研究および法律、政策、人権、E実行研究、経済学、健康開発期間のシステムと相互作用のトラックで演題発表がある。21日には米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が「HIVにおける科学の未来」についてスピーチがあった。

  •  22日夜にはエイズで亡くなった人々に加えマレーシア機墜落事故で亡くなった人たちを追悼する「Candlelight Vijil」(キャンドルライトを灯す祈りの集い)がある。23日に米国のクリントン元大統領、24日に芸術家のボブ・ゲルドフ氏らが特別講演する。

  •  最終日には、HIV対策や公衆衛生政策を効果的に進めるためには差別をなくすことが重要などとするAIDS2014メルボルン宣言が採択される予定。








AIDS2014今週末から豪・メルボルンで開催

  •  第20回国際エイズ会議(AIDS2014)が7月20日から25日までオーストラリア・メルボルンで開催される。
  •  会議にはHIV感染者や支援者、医師・歯科医師ら医療関係者、教育、法律、人権などの専門家や活動家ら2万人超が参加。米国のクリントン元大統領(写真:AIDS2012)や、芸術家のボブ・ゲルドフ氏らが特別講演する。

  •  会議は、①科学②コミュニティ③リーダーシップと信頼性の3分野から、A基礎応用研究、B臨床研究、C疫学予防研究、D社会科学研究、政治科学研究および法律、政策、人権、E実行研究、経済学、健康開発期間のシステムと相互作用のトラックで演題発表がある。
  •  また、21日には米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が「HIVにおける科学の未来」についてスピーチする。

高知で特定秘密保護法を考えるシンポジウム
市民ら80人 基本的人権や平和を脅かすとの発言多く


  •  高知保険医協会の「特定秘密保護法に関する市民公開シンポジウム」が6月8日、高知市内であり市民ら80人ほどが参加した。パネルディスカッションでは、高知県弁護士会の岩崎淳司弁護士、高知新聞の高田昌幸記者、北九州市の杉山正隆歯科医師が法律上の問題点や取材者として思うこと、医療現場で予想される事態などについて討論。基本的人権や平和を脅かすことになると懸念する発言が会場からも多く上がった。

  •  岩崎弁護士は「世論の反対が強い中、強行採決された同法には多くの問題点がある。適性評価制度によるプライバシーの侵害は大きな問題」と指摘した。「そもそも安倍首相が『法案を作った私が言うんだから間違いない』『一般市民が処罰されることは無い』と国会で発言したこと自体、国会と司法をないがしろにするもので決して許されない」と話した。

  •  高田記者は、戦前のイメージは真っ暗のように見られがちだが、必ずしもそうではなく、重要な情報を統制しながら世論を誘導したと述べた。「記者は、政権の問題点を許せないとの官僚たちからの情報も取材している。しかし、同法で今よりも厳罰化され、そうした話が表に出なくなる」などとした。

  •  杉山歯科医師は、医療・社会保障は憲法25条や13条、14条を根拠にしており、1961年に国民皆保険ができたことを紹介。「誰でも、いつでも、どこでも、保険証1枚で医療機関に掛かれるが、医療をめぐる情勢は危機を迎えている」とし、今国会で審議中の医療・介護総合法案やTPP(環太平洋連携協定)を挙げた。「同法で適性調査など患者の重大なプライバシーの提供を医師・歯科医師は求められることになる」と話した。

  •  指定発言で、伊藤高医師が「現在でも精神科などへの捜査機関からの照会はあるが、患者本人にプラスになる情報を提供することが多い」とした上で、「同法での患者の医療情報の提供は、医学や医療の根本原則である『医師の守秘義務』を破壊し、患者と医師・歯科医師の信頼関係を壊す。特に精神障がい者への偏見や差別を助長することになる」と力説した。

  •  会場からは「秘密を保護するためには法整備は必要なのでは」との発言があった一方、「どうすれば廃止できるのか」などの質問が出された。シンポジストらは「秘密保護は従来の法律で対応可能」と答え、「家族で議論し問題点を詳しく知ること」「署名活動や議員の働きかけが重要で、『とにかく一歩踏み出す』ことでは」などと話していた。

女性カップルが婚姻届を提出 青森市「不受理」の対応


  •  青森市内に住む女性2人が6月5日、同市役所に婚姻届を提出したが、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」と定めた憲法24条第一項を根拠に、市役所は受理せず不受理証明書を交付した。同性カップルによる結婚は諸外国では急速に認められつつあるが、関係者によると、わが国で同性の婚姻届が提出されたのは初めてではないか、という。

  •  日本国憲法では「両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が・・・」(24条第一項)などと定められている一方で、「個人の尊厳」(24条第二項)、「性別に基づく差別の禁止」(14条一項)、幸福追求権(13条)などの観点から、諸外国で急速に認められつつある同性婚をわが国でも、との動きもある。

  •  米国では、女優で映画監督のジョディ・フォスターさんが写真家で女優のアレクサンドラ・ヘディソンさんと4月に結婚。同性婚を認めている国は英国、オランダなど16カ国あり、欧州や米国、中南米を中心に同性婚を認める方向にある一方、イスラム教国では死刑を含む重罰を科されるところもある。

  •  同性婚をめぐっては、憲法24条第一項の「両性」について、「憲法改正が必要」とのとの意見が強いが、「それぞれの独立した性別とみなせ女性と女性、男性と男性でも可能ではないか」との考えも。「代替制度」として養子縁組をする例もある。法的位置付けがあいまいなため、婚姻関係か、それに準ずる制度創設が必要との声が出始めている。

  •  今年4月に東京であったレズビアン(L)やゲイ(G)、両性愛のバイセクシャル(B)、心と体の性が一致しない性同一性障害(T)ら「LGBT」などの人たちへの理解を求めるパレードには、首相夫人の昭恵さんや作家の乙武洋匡さんら3000人が参加。性的少数者への関心は日本でも高まりつつある。

  • 婚姻届を提出した2人は「社会の中で私たちは見えない透明な存在なのか」と話す。同性カップルは異性婚の夫婦と比べ保護されておらず、彼ら彼女たちをどう社会が受け入れていくのか広く議論する必要がある。(杉山正隆)
  • *写真は「女性カップルが婚姻届 青森市、憲法根拠に不受理」と報じる6月6日付け東奥日報朝刊(社会面)。


カネミ油症の歯科検診 北九州市で「今後も続けて」7人が受診


  •  戦後最大の食品公害「カネミ油症」の被害者・患者を対象にした歯科検診が6月1日、北九州市八幡西区であり、福岡県中間市や福岡市、久留米市などの被害者7人が受診。2人の歯科医師が歯や歯肉、舌などの口腔症状を確認した。カネミ油症の歯科検診は全国的にもほとんど行われておらず、参加者からは「今後も是非続けてほしい」との声が上がった。

  •  この日の検診には福岡県歯科保険医協会の歯科医師が参加。口腔内に著明な症状は無かったものの、歯肉に色素沈着が見られることや、歯周病がやや重症になっている可能性があること、歯肉の腫れ、痛みが出やすい可能性があることが分かった。また、福岡、熊本、東京の保険医協会の3人の医師が検診に参加。疲労感や痛みを訴える被害者が多かったほか、全身にさまざまな病気をかかえており、いっそうの支援が必要なことが明らかになった。

  •  カネミ油症は、1960年代に長崎・五島や北九州市など西日本一帯で北九州市のカネミ倉庫の食用の米ぬか油「カネミオイル」を口にしたことで発生し、その後、ダイオキシン類が原因と分かった。50年近くたった今も全国各地で患者・被害者が世代を超えて苦しみ続けている。子や孫の世代にまで被害が拡がる中、2012年8月、「救済法」が成立したが、患者認定のハードルが高く、泣き寝入りしている人が少なくない。

  •  受診した油症被害者の1人は「歯科の検診はほとんどなく、時間を掛けてていねいに話を聞き、症状改善のためのアドバイスもして下さった」と笑顔で話した。検診に当たった歯科医師は「外見からは軽微に見えても痛みがあったり腫れが治りにくいようだ。カネミ油症は『病気のデパート』とも言われるので、他科との連携や、注意深い問診が肝要だ」と感想を語った。(杉山正隆)

セウォル号事件と格差広がる韓国


  •  韓国・珍島(チンド)沖での客船「セウォル号」沈没事故で5月4日、ソウル市庁前の献花台には多くの市民や観光客らが列を作り、死亡・行方不明300人余の冥福と一日も早い発見を祈った。韓国の市民に混じり、日本人観光客らも白菊を献花。無数に結び付けられた鎮魂の黄色いリボンには「無念。若者たちよ安らかに眠れ」と書かれた日本語もあった。

  • ※写真説明1

  •  平屋建ての古民家が次々に取り壊され巨大なビルが急ピッチで建設されるソウル。安倍首相らは韓国を「ライバル」と見るが、ごく一握りの財閥系の企業や正社員らが栄華を謳歌する一方で、日本以上に格差が拡がっている。表玄関・ソウル駅の通路には、昼過ぎの行き来の多い時間帯にもかかわらず、ホームレスの姿が目につくようになった。

  • ※写真説明2

  •  セウォル号の船員らのほとんどが非正規職員だった。船長は「真っ先に逃げ出した」と強く非難されるが、社長やオーナーだけでなく、経済至上主義の韓国政府にも批判の矛先は向かっている。事故後1週間、微妙なバランスで高支持を保っていたパク・クネ大統領の支持率は政府の対応が後手後手に回ったこともあって急落。頼りの財閥系企業の業績にも赤信号がともり始めたこととも重なり、「生命や健康、社会的基盤を第一に考えるべきだ」との世論が急速に高まっている。

  •  長生きが問題とされ社会保障の大幅削減が本格化した日本。危機的状況にある点で、韓国は日本と「双子」のように見える。
  • (杉山正隆。写真も)
  • ※写真説明
  • 1.韓国・珍島(チンド)沖での客船「セウォル号」沈没事故で5月4日、ソウル市庁前の献花台には多くの市民や観光客らが列を作り白い菊の花一輪を献花した。
  • 2. 韓国・ソウル駅の地下鉄に向かう通路には、昼過ぎの行き来の多い時間帯にもかかわらず、ホームレスの姿が目につくようになった。

東日本大震災から3年  復興進まず過疎に苦しむ  国による支援  今こそ


  東日本大震災から3年
  復興進まず過疎に苦しむ
  国による支援 今こそ

  •  死者・行方不明者18517人を数え、尊い人命や生活を奪った東日本大震災から3年。波高で10m超、遡上高40mの巨大津波が襲い181人の死者・行方不明者を出した岩手県宮古市田老町。「万里の長城」の異名を持つ高さ10メートル、全長2433mの巨大防潮堤の上では、震災が発生した午後2時46分、住民ら200人が手をつないで黙祷し、大津波で亡くなった家族や友人らに祈りを捧げた。

  • 3月11日午後2時26分。191人の命を奪った3年前と同じ時間に、宮古市田老町の人々ら100人が防潮堤の上で手をつなぎ黙祷した。がれきの山は無くなったが、復興は遅々として進まず、海山の自然に恵まれた田老からの人口流出は止まらない。

  •  宮古市の追悼式では、歯科医師でもある山本正徳市長が1000人の市民らを前に、「先人たちが繰り返し襲ってきた津波災害から立ち上がり故郷を再生したように、一歩一歩復興に向けで歩みを続けていきます」と決意を表明した。

  •  明治三陸地震、昭和三陸地震、さらには1960年のチリ津波に襲われた田老町。住民の1人は「防潮堤は津波を減弱させ避難する時間をかせいだが、過信や油断を招いた」と話す。堤防の高さを5メートルかさ上げする計画がある一方、復興が遅々として進まない過疎の町に見切りをつける住民が少なくない。

  •  仮設住宅での不自由な生活を余儀なくされる被災者が今も多いことに加え、福島第1原発事故による避難長期化もあり、「震災関連死」は10都県で少なくとも3048人に上る。医療機関は9割近くが復旧したが、震災前の過疎の状態に戻りつつあるだけで医師も不足している。被災住民への国・自治体のきめ細かい支援が今こそ重要だ。

  • 手作りの紙芝居「つなみ」で津波の恐怖を
  •  田老町出身で青森市に住む田畑ヨシさん(89)が田老公民館で自作の紙芝居「つなみ」を披露した。幼少時に祖父から明治三陸地震の大津波の怖さを聞かされ、実際に昭和三陸津波に遭った際に教えを守り山の上に逃れた経験を紹介。高校生や子連れの母親らに「大きな地震があったなら、たった1人でも裏の赤沼山に逃げるんだよ。大きな山のような波が来てさらわれるんだよ」と読み聞かせた。そして、何より家族で助け合って避難することが大切と話した。

  • 田老町出身で青森市に住む田畑ヨシさん(89)が3月11日、田老公民館で自作の紙芝居「つなみ」を披露。何より家族で助け合って避難することが大切と話した。





「ダラス・バイヤーズクラブ」で考える製薬企業とカネ


  • 「感染者増」日本の無関心 利益優先の多国籍企業 TPPで犠牲になる患者
  • 週刊金曜日(2014年2月21日、№980)掲載
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エイズ国際会議の報告と交流  セックスワーカーや市民ら  低収入、貧困の側面も色濃く


  •  11月にタイであった「第11回アジ ア・太平洋地域エイズ国際会議」(ICAAP11)の セックスワーカー(SW)会議報告会と交流会が2月22日、京都市であり90人 が参加した。SWや支援者、研究者らがマイクを握り、参加者らと質疑応答やパフォーマンスした。せっかく客がついても手取りで1人当たり1時間3000円ほどにまで落ち込むなど貧困にあえぐ女性たちの悲痛な叫びや、「日本で景気が上向いたとの実感はなくSWは増えているのでは」との発言もあった。文部科学省科学研究費補助を受けて市民団体が開いた。

  •  スピーカートークでは、神戸大学国際文化学研究科の青山薫准教授が、性労働の権利と人身取引禁止の動きとの葛藤などを話した。社会構造に基づく複合的な差別によって「奴隷」に近い状況もあると指摘。売買春に関し男性の女性支配として否定する考えがある一方、労働の一種ととらえ「自己決定権」を重視する立場もあり「国際的には犯罪化・非犯罪化 のせめぎあいがある」と紹介した。

  •  40歳代の現役SWの女性は、ホ テル風俗では客1人の支払いは以前は1時間1万円以上が多かったが、リーマン・ショック以降、ホテル代込8000円が目立ち、手取りで1回3000円程度にまで低下している実態を報告。「SWはハイリスクなのに、特に若い世代では性感染症に対する知識も防御の考えも薄く検査に行ってない人もいる」と話した。

  •  市民団体、RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク)を立ち上げた宇佐美翔子さん は「ソープで働いていた女性が客にこっそりコンドームを破って『中出し』されたため妊娠。『闇』で中絶手術を受けた末、子宮を摘 出せざるを得なくなった。性暴力の事例は珍しくなく、どうせ分かってもらえないと泣き寝入りも多い」と実例を紹介、支援の重要性 を強調した。

  •  SWASH(Sex Work and Sexual Health)の水嶋かおりんさんは「SWは細分化が進み例えばAV女優は映像関連の側面も ある」とし、ソープ、素股、M性感などを解説し、セーフ・セックスの観点からのサービスを実演。今年7月オーストラリアである国際エイズ会議で現地の団体と共同で発表の予定と話した。

  •  また、Grow As People の角間惇一郎さんが、立場を知られることを恐れ困ったときに相談が受けられないことを知り支援活動をしていることを話した。(杉山正隆)

ICAAP11(アジア・太平洋地域エイズ国際会議)タイ・バンコクで始まる 3000人超が参加


  •  2年に1度開かれる「第11回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」(ICAAP11)の開会式が11月19日、タイの首都バンコクのクィーン・シリキット国際会議場であり、各国から3000人を超すHIV/AIDS感染者や医師・歯科医師、政府・国連関係者、NGO(非政府組織)関係者らが参加した。

  • 11月19日のICAAP11開会式にはアジア・太平洋地域の約60カ国から各国から3000人余りが参加した。

  • ICAAP11開会式で、和太鼓OTO.GATARIの黒川昌典さん(右)、小林茉莉子さんがアジア各国のドラムプレイヤーらと見事な太鼓の競演を披露。拍手喝采を浴びた。


  •  開会式にはフィジィーのエペリ・ナイラティカウ大統領や、開催国タイのプラディット・シンタワナロン厚生労働大臣らも出席。2015年までに、新規感染、差別偏見、エイズ関連死の3つをゼロにする「Triple Zero(トリプル・ゼロ)」の目標を達成すべく取り組みを強めようと訴える発言が相次いだ。

  • ICAAP11(バンコク会議)には、前回2年前のICAAP10(釜山会議)に引き続き、フィジィーのエペリ・ナイラティカウ大統領が出席。記者会見後、記者の質問に答えた。


  •  開会式の後、参加者らは会議場からバンコク有数の歓楽街のソイ・カウボーイまでバンコクの目抜き通り2キロをパレード。「セックス・ワークを取り締まりの対象にするな」「HIV/AIDSは男性の責任が大きい」「コンドームが最大の予防策」などと書かれたプラカードを手に参加者らは踊るように歩き、道行く市民らにアピールした。

  • ICAAP11の開会式の後、クィーン・シリキット国際会議場から、バンコク有数の歓楽街ソイ・カウボーイまで目抜き通り2キロをパレードする会議参加者たち。(バンコク時間11月19日午後6時半、MRTスクンビット駅前で)

  • ICAAP11の開会式の後、ラチャダピセーク通りをパレードする会議参加者たち


  •  ソイ・カウボーイは、ICAAP11の「ウエルカム・レセプション」の会場に早変わり。通常営業する店舗の横で、「Safe SEX」のタスキを掛けて売り込むセックス・ワーカーの姿も。フィジーのナイラティカウ大統領は飛び入り参加し、参加者らとビール片手に交流していた。

  • ICAAP11の開会式後のパレードに続き、タイ・バンコク有数の歓楽街ソイ・カウボーイであった「ウエルカム・レセプション」には、フィジィーのエペリ・ナイラティカウ大統領が駆け付け、参加者らとビール片手に談笑していた。(バンコク時間11月19日午後7時)

  • タイ・バンコク有数の歓楽街ソイ・カウボーイ一帯は、ICAAP11の「ウエルカム・レセプション」の会場に早変わり。「Safe SEX」のタスキを掛けて売り込むセックス・ワーカーの姿も。


  •  20日からはプレナリー・セッションが始まるなど、HIV/AIDSをめぐる諸問題解決に向けた議論が本格化する。会議は22日まで。

原宿で「フラッシュモブ」 若者らが「特定秘密保護法 絶対反対」


  •  東京・原宿で若者を中心にした市民ら50人ほどが11月4日、「特定秘密保護法 絶対反対」などを掲げ声を上げずに静かに歩く「お散歩デモ」や2分間のストップ・モーション(静止)などで同法案への強い懸念の意思を表した。米国・ニューヨークで始まった「フラッシュモブ」の1つで、インターネットなどで参加を呼び掛け、不特定多数が突然公共の場に集合し思い思いのパフォーマンスを繰り広げる。

  • 【写真】特定秘密法案に反対 原宿でフラッシュモブ

  •  「11.4 フラッシュモブで特定秘密保護法案・周知大作戦!」と題したこの日の企画は会社員の女性が呼び掛けた。参加者は「秘密保護法で表現の自由も侵される。監視社会になってしまう。1人でも多くの国民に、法案の問題点を知ってもらえれば」と話していた。

  •  10月30日夜には勤務後の会社員ら600人が参加した「スーツデモ」が東京・新橋であり、「原発反対」「家族・友人を守ろう」と訴え注目を集めた。同法案が成立すれば、こうした企画や呼び掛け自体が監視の対象になり、処罰される可能性もある。

「復興枠」で焼却工場の改修費用 震災がれき受け入れの「見返り」


  •  東日本大震災で発生したがれきを西日本で初めて受け入れ、今年3月末までの半年間余り焼却・埋め立て処分した北九州市で、焼却に使用した3つの工場の1つ、皇后崎(こうがさき)工場の「基幹的設備改良工事」費用(45億1500万円、タクマ発注)が全額、国の循環型社会形成推進公金・復興枠(復興特別会計)に切り替えられていたことが分かった。同市の負担は無くなり、震災がれきを受け入れた「見返り」と受け止められている。
  • 2012年12月14日、石巻市で杉山正隆撮影

  •  同市は当初、市の負担がある同交付金・一般枠で交付内示を受けたが、環境省が昨年6月末、「切り替え」の提案をしてきたと説明。「北橋健治市長ががれき受け入れを正式表明した昨年6月20日の後であり、がれき受け入れの判断には影響していない」とする。しかし、説明会などで市民に説明されることはなく、市民の間では「どこも受け入れないごみを燃やし焼却したのだから見返りがあって当然」「当初から裏約束があったのではないか。説明しなかったのは問題だ」と賛否両論がわき上がっている。

  •  北九州市の有力地元紙「小倉タイムス」が、同市での震災がれき処理に関する北九州市長から宮城県知事への業務委託料請求書などの情報開示請求し、「復興特別会計に変更となった」と明記されていた。小倉タイムスの担当記者は「市は問題ないと主張するが問題ないのなら事実や経緯を市民に説明すべきだった」と話す。

  •  循環型社会形成推進交付金は、自治体の焼却施設建設費や改修費の二分の一程度を国が交付する。東日本大震災後、潤沢な復興予算を活用するため、震災がれき処理を引き受けた自治体にも同交付金が出せるよう復興枠を創設。がれきの広域処理を促進する仕組みが出来た。昨年3月、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物課長名で各都道府県宛てに、復興枠の交付方針を通知している。
  • 石巻市の震災がれきは北九州市用に特別の手選別や放射線量測定のうえ船で運搬された

  •  北九州市議会9月定例会では、この件は全く議論されず、また新聞各紙やテレビ各局なども黙殺した。しかし、口コミやネットを通じ「見返りがあったらしい」との情報が市民の間には拡がった。

  • 今回、皇后崎工場だけで10億円程度、市の負担が無くなることが明らかになった。「他工場や別件での多額の『見返り』があるはず」との指摘もある。「被災地との絆や支援」の美名のもとに繰り広げられた北九州市での震災がれき受け入れ。全国の焼却処分必要量が当初の予想より大幅に少なかったことも分かってきた。「ごく微量の放射性物質を含む」と市や国が認めたがれきを、わざわざ1000キロ以上離れた北九州市まで運んで処分したことは、今後の汚染物質処理への「地ならしだった」との警戒の声が上がっている。

(杉山正隆 写真も)

シンポジウム「このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉」 即時離脱 連携を広げようの発言相次ぐ


  •  環太平洋連携協定(TPP)の交渉が進む中、シンポジウム「このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉」が9月14日、東京・文京シビックホールであった。定員330人を超す400人が参加し、立ち見や会場外の中継で視聴する姿が見られた。パネリストや参加者らがTPPの危険性を指摘。即時離脱を求め運動を強めていくべきとの発言が相次いだ。
  • TPPから離脱し新自由主義の流れを転換させようとの声が相次いだシンポジウム「このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉」

  •  TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会、TPPに反対する弁護士ネットワーク、主婦連合会の主催。 冒頭、日本医師会の中川俊男副会長が特別講演した。医療の営利産業化を狙う新自由主義的な動きが進んできたと述べ、TPPはその中でも究極の規制緩和であり、これにより混合診療が解禁され、保険の効く範囲が縮小して患者負担が増大。「民間保険の参入の余地が生じ、医療の営利産業化が強まる」と危険性を指摘し、「矢尽き刀折れるまで戦う」と決意を表明した。
  • TPPや新自由主義の危険性を指摘し「矢尽き刀折れるまで戦う」と決意を表明した日本医師会の中川俊男副会長

  •  シンポジウムでは、醍醐聰・東大名誉教授をコーディネーターに、「TPP問題を考える十勝管内関係団体連絡会」代表の高橋正夫・本別町長、JA全中の小林寛史・農政部長、鈴木宣弘・東大教授、山根香織・主婦連会長、杉島幸生弁護士が討論した。
  •  高橋町長は「TPP参加で農業生産が5037億円、雇用も4万人減ると道は試算する。全国でも同様だ。皆さんと連携し反対を貫きたい」と話した。小林部長は「一言で農業と言っても、豪州や米国は規模が日本と全く違う。国による多様性を認めるべきなのに、TPPでは公平・公正な貿易ルールはできない」と強調した。鈴木教授は「1%の人の利益のために99%が苦しむことが分かっている。政府は国民をだましている。TPPの目指す自由化率は99%であり、8%を例外とする政府の説明は嘘だ」と指摘した。
  •  山根氏は「添加物などの食品表示や環境保護、国民皆保険など消費者・市民の運動で勝ち取った制度を、TPPは台無しにする。震災復興にも影を落とす」とした。杉島弁護士は「TPPは多国籍企業の活動を最大限守るための条件作りが目的。暮らしや生命を守る法律などが枠をはめられることになる。国民主権から多国籍企業主権に変わるのがTPPの本質だ。反対の声を広げることが重要で、思想や細かい違いを超えて今こそ大同団結しよう」と呼び掛けた。
  •  アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子事務局長は、8月のブルネイ交渉後は、ステークホルダー(利害関係者)会合の予定もないなど交渉がさらに「密室化」すると警鐘を鳴らした。TPPの撤回、批准阻止を求めるとともに、政府に情報公開を求めていくことが重要と述べた。
  • シンポジウム「このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉」では、PARCの内田聖子さんが「TPPは米国政府・多国籍企業が牛耳るぼったくりバー」と指摘した

  •  会場からは「食の安全を求める消費者の息を止めてしまう」「日本の国益が守れなくなる」などTPPに懸念する発言があった。「海外の医師会・医療団体や、患者団体、消費者団体との連携を強めよう」の声が上がり、国内外の連携を強化し国民の理解を広げる情報発信が重要だとの考えを共有したシンポジウムだった。(杉山正隆 写真も

SWASHがセックスワーカー向けの「完全はたらきかたマニュアル」を発行


  •  セックスワーカーが安全に安心して働くことができるよう活動中の「SWASH」(Sex Work and Sexual Healthの略)はセックスワーカー(SW)向けの新しいパンフレット「完全はたらきかたマニュアル」を発刊した。日中韓英の4カ国語の30ページ。1万部を発行した。

  • 体液・性器接触を防ぎ、お客さんも満足させる「スマタ」のやり方32体位がイラスト付きで解説されるなど、性感染予防に役立つ内容。女性SW編、ニューハーフSW編のほか、谷口恭医師の性感染症についてのアドバイスや、借金解決策、メンタルヘルスの相談窓口案内などを掲載している。

  • SWASHが10月1日付けで発行した「完全はたらきかたマニュアル」

原発事故を題材にした映画「朝日のあたる家」


  • 小倉コロナシネマワールドで11月16~29日
  •  原発事故により生まれ育った町から避難を余儀なくされた家族を描く映画「朝日のあたる家」(太田隆文監督)が9月14日、愛知県の豊川コロナシネマワールドを皮切りに全国での上映が始まった。原発を題材にしたことで大手映画館に断られたものの口コミで評判が拡がり、コロナグループ(同県小牧市)が名乗りを上げるなど、全国25カ所ほどでの上映が決まった異色の話題作。14、15の両日、太田監督が舞台あいさつのため駆けつけたこともあり、豊川コロナ始まって以来の満員札止めも出るなど上々の滑り出しだ。

  • 9月14日、愛知・豊川コロナシネマワールドで封切され、初日、2日目と多くの観客が訪れた映画「朝日のあたる家」。太田隆文監督が舞台あいさつし、会場を沸かせた。

  •  イチゴ農家の両親(並樹史朗、斉藤とも子)と2人の娘(平沢いずみ、橋本わかな)の4人家族はごくありふれた幸せな生活をしていた。そこに大きな地震が襲い数十キロ離れた原発が爆発。政府や科学者、テレビなどはたいしたことはないと強調し、「ただちに健康に害はないが念のため避難を」との言葉を信じ一家は避難。すぐ帰宅できるはずが、一時帰宅は半年後に数時間。就職し都会に出るのが夢だった大学生の長女は、実は大好きだった家には2度と帰れないことに気が付く。いしだ壱成や山本太郎、藤波心らが共演している。

  • 映画「朝日のあたる家」のパンフレット。原発に向かい歩む4人の家族の写真が印象的だ。

  •  太田監督は「福島第1原発の事故は終息しておらず、美しい故郷である福島に今も帰れない人が数多い。現実を実際より軽く考える人は少なくないが、この映画製作に寄付をしてくれたりボランティアで支えてくれた人もたくさんいる。社会を変えることはまだまだできると感じている。1人でも多くの人に見てもらい、家族や故郷の大切さを考えるきっかけにしてもらえれば」と話す。

  • 9月14日に劇場公開された映画「朝日のあたる家」の太田隆文監督が初日に続き2日目の15日も愛知・豊川コロナシネマワールドに駆け付けた。

  •  九州での公開は、小倉コロナシネマワールドで11月16~29日。鹿児島ガーデンズシネマで12月14日。公開スケジュールは、映画「朝日のあたる家」公式HP (http://www.asahinoataruie.jp/theater.html)
  • 公式ページはこちらLinkIcon


新規エイズ患者、過去最多に

今年第2四半期(4―6月)
「いきなりエイズ」50歳代で急増

  •  8月30日の厚生労働省・エイズ動向委員会の発表によると、エイズ・ウイルス(HIV)の感染に気付かないままエイズを発症した患者が今年の第2四半期(4月1日~6月30日)に146人となり、四半期では1984年以降、過去最多になった。また、新規感染者は294人と過去2番目で、新たな感染者と発症者を足した合計でも440人と過去最多になったことが分かった。

  •  同委員会の発表は報告された数で、「実数とはかい離している」との指摘がある一方、ここ数年は増加のペースが衰えてきたともみられていた。前回(今年第1四半期)の新規のエイズ患者・感染者は334人、前年同期(昨年第2四半期)は340人で、今季に限り100人ほど増えたことに、関係者からは当惑の声が上がっている。

  •  委員会では「発症者は40代が多いが、50代以上で増加が著しく、広い年齢層で広がっている。エイズが発症するまで検査に行かない人が多い」と分析。「HIVは早期に発見し治療すれば、エイズの発症を防ぐことができ今までと変わらない社会活動を続けられる」として、検査や医療機関への受診を呼び掛けている。

  •  日本とは別に、アジアの中ではHIV陽性率が低かったフィリピンでも、今年5月の新規HIV感染者数が過去最高を記録。日本やフィリピンでHIV感染拡大の「転換点」に差し掛かったのかどうかを含め、11月18~22日にタイ・バンコクである「第11回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」(ICAAP)などで議論されることになる。

  • 2年前、2011年のICAAP(アジア・太平洋地域エイズ国際会議)「釜山会議」では、FTA(自由貿易協定)やTPP(環太平洋連携協定)などで、薬価や機材が高騰しエイズなどの難病患者が治療が受けられなくなるとして、抗議の声が拡がった。

DAYS3.11行動する会シンポジウム

「もうがまんできない」全原発廃止を
世代や考え方の違いを超え連携しよう

  •  福島原発事故での政府や東京電力、マスコミなどの対応と、原発再稼働に向け歩みが進んでいる現状に怒る作家や物理学者、市議・村議、記者、宇宙飛行士ら70歳前後の9人が呼び掛けたシンポジウム「もうがまんできない」が8月18日、横浜開港記念会館であった。会場には500人の市民が詰め掛け、「福島原発事故はまだ終わっておらず、今こそ本当の支援とは何なのか考える時だ。後世のために、今を生きる私たちが、全ての原発を廃止するために手を携えて頑張ろう」との発言に会場からは大きな拍手がわき上がった。
  •  「DAYS3.11行動する会」と月刊誌「DAYS JAPAN」の主催。広瀬隆(作家)、藤田祐幸(物理学者)、田中三彦(元原子炉設計者)、中嶌哲演(福井・明通寺住職)、相沢一正(茨城・東海村村議)、矢部忠夫(新潟・柏崎市議)、大信田尚一郎(岩手・元教員)、秋山豊寛(福島・宇宙飛行士)、広河隆一(DAYS JAPAN編集長)の各氏が次々に登壇。山本太郎参院議員も広瀬氏と歩いた欧州の模様を話した。

  •  シンポジウムは広瀬氏の司会で進んだ。広瀬氏とともに、今年7月に原発事故の被災地を取材した藤田氏が解説。双葉町の住宅の庭では携帯型測定器で20μ?と平常の400倍の放射線量が測定されるなど、現地の放射線量は今もたいへん高く危険な状況であることを説明した。1平方メートル当たり460万ベクレルを超えると推定。双葉町農村広場では55μ?、原発から2㎞の大熊町では320μ?と極めて高値を計測したという。「政府は除染を進めているが、そもそも膨大な量の除染袋をどこにどう処分するのか」と政府や東電の対応を厳しく批判した。

  •  福島で有機自然農法に打ち込んでいた宇宙飛行士で元TBS記者の秋山氏は「あまりの放射能の高さでやむを得ず、終のすみかだった福島から京都に避難せざるを得なくなった。私たちは『難民』だ。福島は全然終わっておらず、今も続いている」と話した。
  •  元原子炉設計者で国会事故調委員を務めた田中氏は「福島原発の水素爆発の原因も実態もまだ分かっていない。解明すべく東電は調査に協力すべきだがしない。国会が主体となった現場調査を早急に実現すべき」と訴えた。

  •  広河氏は、南海地震や上空の風の流れ、台風等を考えると伊方、川内、玄海原発が特に危険と指摘。11月10日に福岡・舞鶴公園、12月1日に愛媛・松山城下で予定されている集会への結集を呼び掛けた。

  •  自ら「じいさん」を公言する9人や山本参院議員の呼び掛けに、20歳代、30歳代の若者が壇上に上がり、世代や思想信条、細かい考え方の違いなどを超えて、手を携えようとアピールし満場の拍手を浴びた。

  • 3.11DAYS行動する会シンポジウム「もうがまんできない」では、最後に発言者に加え、一般参加者の若者が壇上に上がり、細かい考えの違いや世代などを超えて、原発廃炉に向け手を携えようと訴えた。

  • 福島で有機自然農法に打ち込んでいた元宇宙飛行士でTBS記者の秋山豊寛さんが「あまりの放射能の高さでやむを得ず京都に避難せざるを得なくなった。私たちは『難民』だ。福島は全然終わっておらず、今も続いている」と話した。

  • 元原子炉設計者で国会事故調委員を務めた田中光彦氏は「福島原発の水素爆発の原因も実態もまだ分かっていない。解明すべく東電は調査に協力すべきだがしていない。国会が主体となった現場調査を早急に実現すべき」と訴えた。

  • 3.11DAYS行動する会シンポジウム「もうがまんできない」で、開始直前に情報交換する広瀬隆氏(左)、山本太郎参院議員(中)、藤田祐幸氏(右)。(8月18日午後6時55分、横浜開港記念会館で)

-速報- HIV感染者らがTPP締結の動きに抗議のデモンストレーション(20130702)

国際エイズ学会(マレーシア・クアラルンプール)からの報告



  •  マレーシア・クアラルンプールで7月3日まで開催されている国際エイズ学会(IAS)の「HIV(エイズ・ウイルス)基礎研究・治療・予防会議」で1日、HIV感染者ら数十人が「アメリカ主導のTPP(環太平洋経済連携協定)や欧州などによるFTA(自由貿易協定)には絶対反対」と抗議の声を上げるデモンストレーションがあった。感染者らは「TPPなどにより薬剤など治療費が大幅に上がるのは確実」「私たちの命を貿易の道具にしないで」と世界各地から集まった5000人のHIV感染者や医師、研究者、政府・国連関係者に呼び掛け、セッションの参加者からも賛同する拍手が湧き上がった。同国では今月15~25日にボルネオ島のコタキナバルでTPP拡大交渉会合が行われる。日本も同23日午後から3日間、日程を限定される形で、初めて参加することになっている。

( 現地時間7月1日午後1時15分、KLCC会議場で。杉山正隆、写真も )

被災者・被災地に合った支援が必要

震災がれきの広域処理は復興の「足かせ」

  • 北九州市民・弁護士の視察団に同行
  • 被災地・被災者のニーズに合った支援が必要
  • 震災がれきの広域処理は復興の「足かせ」
  •  災害廃棄物(震災がれき)の実態を調査する北九州市民・弁護士による視察団が2012年12月14、15の両日、宮城県石巻市に入った。一行は、北川喜久雄・福岡県保険医協会理事を団長に、北九州市民と弁護士の計4人に、私を含め記者2人が同行した。

  • 私は、大震災に続く大津波が三陸沿岸などを襲った「3・11」から4週間後の2011年4月9日に全国の医師・歯科医師でつくる「全国保険医団体連合会」(保団連)の医療支援に参加して以降、計5回、石巻市に入るなど、10数回、被災地を訪れた。1年8カ月前、言葉を失うほど膨大な量のがれきに埋め尽くされた市街地は、広大な更地に変わっていた。
  • (写真をクリックすると大きくなります)

  • 2011年4月9日、宮城県石巻市に医療支援に入った時の南浜の住宅街。1メートル超のがれきで覆い尽くされていた。

  • 2012年12月15日の石巻市南浜。1年8カ月前には手の付けようもなかったがれきは姿を消し広大な更地に。

  • 膨大な震災がれきが野積みされていた石巻市立女子商業高校工程の一時仮置場。作業員は「明日(2012年12月16日)搬入終了となる」と話した。

  •  市の担当者は「あと数カ月で一次仮置場から、がれきがほぼなくなる」とほっとする表情を見せる一方、宮城県第2の都市なのに、人口流出も加わって閑散としており、「復興」と言うには、あまりにも程遠い現実だった。

  •  震災がれきは復興を阻害してきたが、今回の視察で、市街地のがれき処理にはメドが立ってきたことが分かった。26カ所あった「災害廃棄物一次仮置場」が2013年6月までに川口町と雲雀野の2カ所に集約される。そこから運ばれる「中間処理施設」は雲雀野の埠頭にあり、川口町からも車で数分の距離だ。わざわざ費用を掛けて遠くまで「広域処理」する必要性はないのだ。

  • 石巻市の「災害廃棄物一次仮置場」は26カ所あったが、同市によると、2013年前半には2カ所に縮小・集約できる見込み。南境の運動公園など13カ所は既に搬入終了か近日中に終了という。

  • 石巻市川口町の「災害廃棄物一次仮置場」。ここから同市雲雀野の中間処理施設に送られ、一部が北九州市に運ばれて焼却・埋め立て処分される。

  •  さらに、中間処理施設では、北九州市に運ぶ震災がれきだけ、通常の処理工程を終了した後、さらに作業員らが不燃物・異物を取り除く。

  • 震災がれきの処理工程には、ヘルメットと高性能マスク、ゴーグルが不可欠だ。

  • 一時仮置場から中間処理施設に運び込まれた震災がれきは、一次破砕、振動ふるいにかけられた後、ベルトコンベアーで流され、作業員が手作業で木片やコンクリート片、ビニールなどを取り除いていた。

  • 一通りの処理工程を終了した北九州市用の震災がれきは、再度作業員らが目視で確認しながら不燃物等を取り除く作業をしていた。これは「北九州市用のみの独自の工程」と宮城県の担当者。

  • 処理工程に北九州市独自の人による選別を終えた震災がれきは、天井の空いたコンテナに積み込まれていく。

  •  その後、コンテナに積み込んだトラックを停め、コンテナ側面の放射線量を測定する。これも北九州市に搬出される震災がれきだけだ。手間を掛けていることで、費用と時間が余計に掛かっている。「安全性を担保する」姿勢は分かるにせよ、作業の迅速化に逆行する。広域処理、特に北九州市に搬出することが、むしろ復興の足かせになっているのかも、との思いを強くした。

  • 震災がれきを積んだトラックは、コンテナ側面の放射線量を測定する作業員たち。これも、北九州市に搬出される震災がれきのみの独自の作業という。

  •  本来、「復興支援=がれき受け入れ」ではなく、ほかの選択肢もある。石巻市の担当者は、町の再生のため、北九州市など大都市からの職員派遣を歓迎するとの意向を示した。

  •  震災から復興するには長い期間が掛かる。「絆」は大切だと思うが、表面的なキャッチフレーズではなく、どう実質的に支援するかが問題だ。その点、人影もまばらな石巻の現状に正直、ショックを受けた。国や県などは何をしてきたのだろうか。聞けば、震災がれきの処理に地元企業の関与は限定的と言う。

  •  少なくとも石巻市では震災がれきの広域処理は被災地の復興に役立っていないと感じた。十分な復興予算を投入し、地元の市町村を主体に、被災者のニーズに合った町の再生を目指すべきなのだ。

ビル・クリントン米元大統領:エイズとの闘いに勝利するまで、ともに手を携えていこう

来年はタイ・バンコクで開催

  • 国際エイズ会議(AIDS2012)は 米国・ワシントンDCで、27日午後5時(日本時間28日午前6時)閉会式があり、全ての日程が終了。ビル・クリントン米元大統領がスピーチし、エイズとの闘いに勝利するまで、ともに手を携えていこうと呼び掛けた。次回2年後のAIDS2014はオーストラリア・メルボルンで、来年のアジア太平洋地域会議はタイ・バンコクで開かれる。
  •  私を含め記者は、観客の邪魔にできるだけにならないようにすることと警備当局とのせめぎ合いの中で、できるだけ良い写真を撮ろうと懸命だ。

  • TPPやFTAに対する感染者らの反発は想像以上に強く、クリントン元大統領に「新しいNAFTA反対」「TPP反対」を訴えるNGO関係者らの姿も。


米、セックスワーカーの入国拒否

国際エイズ会議 TPPへの懸念も

  • 公式発見から31年を経た今も、年間250万人が新たに感染するエイズに関し、治療法や支援策について話し合う「第19回国際エイズ会議」(AIDS2012)が米国・ワシントンDCで7月22日から27日まで開かれた。テーマは「Turning the Tide Together」(力を合わせ流れを変えよう)。国連や関係学会、NGO(非政府組織)が共催し関係者が一堂に会するエイズ・サミットと位置付けられ、ヒラリー・クリントン米国務長官、マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長、アーティストのエルトン・ジョンさん、女優のシャロン・ストーンさん、川田龍平・参院議員ら各界の指導者を含め世界183か国から約24000人が参加。「エイズ流行の終わりの始まりにしよう」との発言が相次いだ。ビル・クリントン元米大統領が閉会式で基調講演をし、国際社会にいっそうの支援と取り組みを訴えた。

  • 会議では約4000演題が発表され、関連するシンポジウムや集会も多数行われた。UNAIDS(国連エイズ計画)などの提唱する「新規感染ゼロ、差別ゼロ、エイズ関連死ゼロ」の3つのゼロをいかに実現するかが焦点となった。

  •  オバマ政権になってHIV感染者への入国制限を撤廃したことから22年ぶりに会議の米国開催が実現したが、オバマ大統領はコロラド州での銃乱射事件への対応等を理由に参加を見送った。国連や関係学会などが「弱い立場にある当事者の1つ」として強く参加を求めていたセックス・ワーカーは、米政府が入国を認めなかったため、インド・コルコタで1000人規模の「ハブ会議」が同時開催される異例の展開となった。

  • ホワイトハウス周辺では取り組み強化を訴えるデモなどが行われ、「感染者に安価な薬を」「特許より生命が大事」とTPP(環太平洋連携協定)に懸念を示すプラカードも多く見られた。(杉山正隆)

「国際エイズ会議」(AIDS2012)で、参院議員の川田龍平さんが現地時間の26日夕方(日本時間27日早朝)、「Leaders Perspective on Turning the Tide Together: Mayors, Legislators and Parliamentarians」のセッションにパネリストの1人として登場。


  •  「国際エイズ会議」(AIDS2012)で、参院議員の川田龍平さんが現地時間の26日夕方(日本時間27日早朝)、「Leaders Perspective on Turning the Tide Together: Mayors, Legislators anParliamentarians」のセッションにパネリストの1人として登場。いわゆる「薬害エイズ事件」で国や大企業の癒着体質などと闘ってきた経験を披露し、「市民が政府を監視する必要があり、私は国会議員になった。差別や偏見をなくすために、ともに手を携えて闘おう」と演説。満場の拍手を浴びた。
  • 国際エイズ会議(AIDS2012)の26日午後(日本時間27日早朝)のスペシャルセッションで、前米大統領夫人のローラ・ブッシュさんが演説した

国際エイズ会議(AIDS2012)参加者ら数千人がワシントン国際会議場からホワイトハウスまで1.5キロを歩き、「感染者に安価な薬を!」「パテント・特許よりも生命を重視して!」などと訴えた



  •  7月24日には、国際エイズ会議(AIDS2012)参加者ら数千人がワシントン国際会議場からホワイトハウスまで1.5キロを歩き、「感染者に安価な薬を!」「パテント・特許よりも生命を重視して!」などと訴えた。TPPやFTAの危険性を訴えるプラカードやスローガンも目立つ。

  • 欧米のデモでは子どもたちも参加するのがごく一般的

  •  製薬会社前では、参加者が死んでいるように模倣して抗議の意思を示す「ダイ・イン」も (現地時間7月24日、ワシントンDCで)


【速報】国際エイズ会議(AIDS2012)米国・ワシントンDCで始まる
クリントン国務長官、ビル・ゲイツ氏、エルトン・ジョンさん、シャロン・ストーンさんらも


  •  世界中で今も感染が続くエイズについて話し合う「第19回国際エイズ会議」(AIDS2012)が米国・ワシントンDCで現地時間の7月22日(日本時間23日)始まった。27日まで6日間の日程。広く国際社会では「エイズ・サミット」と位置付けられていることから、HIV(エイズ・ウイルス)感染者や医師・歯科医師をはじめ、ヒラリー・クリントン米国務長官、マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長、アーティストのエルトン・ジョンさん、女優のシャロン・ストーンさんら政府高官や各界の指導者ら世界約200か国から2万3000人が参加の見通し。ビル・クリントン元米大統領は閉会式で基調講演をする予定になっている。


  • 国際エイズ会議は、HIV感染者の入国を制限し続けてきた米国政府に抗議する形で米国開催が出来ないでいたが、オバマ政権になって制限を撤廃したことから22年ぶりに開催が実現した。バラク・オバマ大統領は出席しない予定だが、一部参加者をホワイトハウスに招き懇談するという。


  • 開会式で、会議を主催する国際エイズ学会(IAS)のエリー・カタビラ理事長は「22年間の空白を経て、エイズの流行を終わらせることは可能だとの確信を持って米国に戻って来た。米国のエイズ対策への支援に感謝したい」と話した。


  •  また、国連のパン・ギムン(藩基文)事務総長はビデオメッセージを寄せ、国連が立てた2015年までの母子感染を0にするという目標などには「資金的なサポートがとても重要だ」と指摘し、各国に支援を強く訴えた。

  •  米国のエイズ研究の第一人者である国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、HIV/AIDS患者が最初に報告されてから31年が経過した今、科学的に不可能などと言い訳することはできないとし、HIVに対する様々な対策を一刻も早く強めるべきという。ファウチ所長は「今必要なのは実行に移すための政治的、組織的、個人的意思だ」と話す。

  •  2011年末現在、HIVに感染しているのは3420万人にのぼるとUNAIDS(国連エイズ計画)は推計する。1年間で250万人が新たにHIVに感染し、170万人がエイズ関連死している。

  •  AIDS2012には日本からも厚生労働省の担当官やNGO関係者、医師ら50人ほどが参加している。日本は累積感染者・患者数が2万人を超えるなど緩やかな拡大傾向を維持している一方、HIV検査や相談件数は減少傾向にある。日本人参加者からは「世界で感染拡大が続いているのは日本ぐらい。何とか歯止めをかけるために何をすべきなのか会議を通じ学び、日本に持ち帰りたい」との声が聞かれた。
  •  米国・ワシントンDCでのAIDS2012(第19回国際エイズ会議)の開会式には、女優のシャロン・ストーンさんも出席した。

  •  米国・ワシントンDCで始まった国際エイズ会議(AIDS2012)。23日のプレナリーセッションで、ヒラリー・クリントン米国務長官が演説。米政府としてエイズの無い世代の実現に向け努力を続けるとして8000万ドルの拠出を行うことを明らかにした。
  •  ヒラリー長官は、エイズの無い世代とは①HIVに感染して生まれる子がいない②感染リスクの著しい低下③感染者が治療を受けられる環境とし、「実現は十分可能」と話し満場の拍手を浴びた。

  •  米マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長(左)と、世界銀行の第12代総裁に1日就任したキム・ジムヨン氏(右)らが23日、国際エイズ会議のスペシャルセッションでディスカッションした。
  •  ゲイツ会長は「HIV/AIDSの終息は本当に見えているのだろうか」と指摘。HIV/AIDS対策のための資金確保を最優先課題にすべきと強調した。

  •  英国のミュージシャン、エルトン・ジョンさんが23日、米国・ワシントンDCで開催中の「国際エイズ会議」(AIDS2012)で演説。「HIV/AIDSの流行を終わらせるためには金や薬、そして愛が必要だ」と国や団体、個人を超えた連携や協力を訴えた。

スミソニアン博物館の「国立航空宇宙博物館・別館」(ウドバー・ハジー・センター) スペースシャトル「ディスカバリー」は圧巻


  •  ちょっと可愛いけど近付くと大きいーー。スペースシャトル・ディスカバリーを見てきました。朝1番でしたが、この後、続々と市民が詰めかけました。スミソニアン博物館別館は、ワシントンDCから車で約1時間。タクシーで、チップ込み片道80ドル。

  • パッと見ると可愛らしさすら感じるが近付くと巨大なスペースシャトル「ディスカバリー」。アメリカ人の誇りの1つだ。(7月22日、ワシントンDC郊外のウドバー・ハジー・センターで)

  •  スミソニアン博物館は、19の博物館と美術館から成る世界最大の博物館群です。それらと研究機関を持ち所蔵品数は1億4000万点にもなるとのこと。国宝のコレクションを無料で公開しています。

  •  今回訪れたのは、「国立航空宇宙博物館・別館」(ウドバー・ハジー・センター)。ダレス国際空港から車で15分ほど。敷地面積は7万㎡余りでスペースシャトル「ディスカバリー」号や、宇宙船や人工衛星のほか、爆撃機や戦闘機の展示も。日本の晴嵐や紫電改など第二次世界大戦中の戦闘機などもありました。

  • ★第2次世界大戦末期、パナマ運河を奇襲しようと潜水艦に搭載された特殊任務攻撃機「晴嵐」。

  •  「ディスカバリー」の側面には、おびただしい数の「パネル」が張り巡らされていました。大気圏通過の際の温度上昇を抑えるために極めて重要なものです。

  • ★「ディスカバリー」の全体を覆うように貼られたおびただしい数の「パネル」。
  • ★「国立航空宇宙博物館・本館」には大きすぎて展示できなかったため別館での展示となったという。

震災がれき受け入れめぐり 混乱続く北九州市、宮城県 くすぶる「広域処理不要論」

「ジャーナリスト」(日本ジャーナリスト会議発行)

7月25日初稿

  •  震災がれきを西日本で初めて北九州市で受け入れ、焼却・埋め立て処分することを北橋健治市長が決めた。6月20日、市議会最終日の本会議で「必要性、安心・安全の確保など様々な点を熟慮し受け入れの判断をした」と述べ「市の総意」であることも強調したが、市民の間で反対論がくすぶっている。テレビ番組で「震災がれきの広域処理を求める方針を変更したように受け取られかねない報道があった」として、中村功・宮城県議会議長が抗議の声明文を公表した後の7月10日、同市を訪問し謝罪するなど「混乱」に終息の気配はない。

  • 時折、雨が激しく降るあいにくの天候だったが、北九州市民に福島などからの避難者も加わり、「本当の支援を考えて」などと道行く人たちや市役所職員に呼び掛けた(7月6日、北九州市小倉北区で)

  •  北九州市は8月中旬に宮城県石巻市周辺の震災がれきの焼却を始め本年度は最大2万5800トン、来年度まで最大計6万5300トンを受け入れる。北九州市の受け入れ費用は今年度分で約8億5000万円だが、最終的には国が負担すると説明。また、風評被害対策として約8500万円を計上しネットでの書き込みを含め監視するなど「万全を尽くす」という。

  •  一方、宮城県議会は震災がれきを利用して被災した海岸地区に防潮堤を作る構想を推進する議員連盟を全議員が参加する形で立ち上げた。構想実現のため国に働きかけることなどを求める決議を全会一致で可決。広域処理の見直しについて県の考えを質す県議もおり、中村議長は「一部の発言が、県議会全体の意思のように形でテレビで放映されたことは誠に遺憾。北橋市長をはじめ北九州市民の皆さまに誤解や不快な思いをさせた。心からお詫びを申し上げる」と謝罪した。

  •  しかし、遠隔地での震災がれきの広域処理について、疑問を持つ県議会議員が少なくないとネット上では受け止められ、「広域処理不要論」が拡がっている。6月29日には、同じ金曜の夕方、首相官邸周辺で繰り広げられている抗議行動にならって「ひまわり革命を起こそう」と市の花であるヒマワリの花を手に、市民や被災地から避難している家族ら80人ほどが市役所前に集まった。「被災地からは、がれきでなく人を受け入れて」「安全・安心な食材を北九州から被災地へ」と訴え、毎週金曜日に継続的に実施する構えだ。

  • 毎週金曜日夕方、北九州市役所前での「ひまわり革命」で、「がれきより人を受け入れて」などと呼び掛ける市民たち(7月6日、北九州市小倉北区で)

  •  被災地では「早くがれきをなくしてほしい」の声がある一方、「地元で処分して雇用を創出すべき」との声も根強い。放射性物質が含まれていることは北九州市や国も認めており、遠距離輸送のコストが掛かるうえ、膨大な二酸化炭素も排出される。北橋市長は1000回以上説明会を開くと意気込むが、短時間で一方的なものが多く、市民の疑問や不安を解消するに至っていない。行政は、反対する市民を敵視したり排除するのでなく、「対話」することで理解を深めるのが民主主義の基本だ。
  • (日本ジャーナリスト会議=JCJ=運営委員 杉山正隆、写真も)

震災がれき受け入れ巡り反対派市民と北九州市が激しく対立 ネットでの攻防もエスカレート


「ジャーナリスト」6月25日号初稿より/=日本ジャーナリスト会議(JCJ発行)=

  •  宮城県石巻市の「震災がれき」の焼却・埋め立てを巡り北九州市で、反対する市民と市当局が激しく対立する事態が続いている。80トンの「試験焼却」が行われた5月には、市民50人が搬入を阻止しようと工場前に座り込む抗議行動の末、2人が北橋健治北九州市長の要請で出動した福岡県警の警察官らに逮捕されるなど大荒れの展開となった。

  • 北九州市による小倉北区での住民説明会。自治会役員以外の住民の多くは入場を拒否された(6月8日、小倉北区の市立男女共同参画センター「ムーブ」で)

  •  被災地から1000キロ以上離れた北九州市ががれき受け入れに前向きなのは、広域処理を目指す国・民主党の意向が背景にある。全国の自治体で受け入れを国が想定する「広域処理」の必要量は宮城県だけでも344万トンに上った。細野豪志環境大臣は3月、北九州市を訪れ、元民主党国会議員の北橋市長に石巻市のがれき受け入れを要請。しかし、その後の調査で、必要量は宮城で半分以下の127万トンに。

  • 「がれきより被災者を受け入れて」などと呼び掛ける80人の市民のデモでは、福岡県警は警察官100人超で警備する厳戒体制を採った(北九州市役所前で)

  •  北九州市は、石巻市からの要請を受けたとして「絆」を強調し、「放射能は帯びているがわずかで安全」とする。「市議会で全会派一致の決議で受け入れを市に求めており、対話集会や各区での説明会で市長自ら説明した。有識者検討会でも安全との評価が出た」。

  •  だが、小倉北区での地元説明会は平日午後、1時間の日程で質疑は30分のみ。「先着順、地元優先」とされたが、近隣住民でも入場できないケースが続出した。区役所が町内会長らに役員をできるだけ参加させるよう求め、予め定員の人数を確保。反対意見を封じ込める作戦だったとみられている。

  •  がれきの安全性について、市有識者検討会委員の出光一哉九大教授は「市は1キロ当たり100ベクレル以下としており完全に安全」と言い切る。だが、豊島耕一佐賀大教授は「放射線はどんなに低くても量に比例してリスクがある。被爆する人数や内部被爆について考慮する必要がある」と警鐘を鳴らす。

  •  宮城県によると、試験焼却のトラックでの80トンの運搬費用は1400万円。北九州市は2年間で8万トン程度の受け入れを想定しており、8月にも本焼却を開始。数十億円の関連費用は国や宮城県が拠出する見込みだ。

  •  市民が目にするほとんどの情報はネット経由だ。北九州市も6月に入りフェイスブックを中心に広報を強化する一方、抗議運動の呼び掛けもツイッターが主体だ。警察当局、マスコミもネット情報を最大限活用している。

  •  反対の多くは子どもの健康を案じた若い母親などの北九州市民、隣接する山口県民、被災地や首都圏からの避難者などだが、ネットでは「県外の活動家がほとんど」との賛成派の書き込みが相次いだ。反対派のHPは「攻撃」され、閉鎖されたものもあった。過激派と目される出版社がそのHPで「搬入実力阻止したぞ」と書き込むなど、ネット上での攻防もエスカレートしている。市民の多くは放射能や有害物質への漠然とした不安を感じている。

  •  むろん被災地支援は重要だ。国は予算を付け、早急で実質的な支援をする必要がある。一方でがれきの広域処理は賛否が分かれている実態がある。自治体や国は受け入れありきでなく、正確で詳細な情報を公開することが求められている。

  • (日本ジャーナリスト会議=JCJ=運営委員 杉山正隆、写真も)

FTA締結の韓国視察報告 TPPで医療改悪の恐れ 営利企業参入、薬・医療機材の価格上昇・・・

国のあり方にも大きな脅威 公的医療拡充が新たな「障壁」にも 2012.6.1

  • 日本が参加を目指すTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関連し、一足先に米国とのFTA(自由貿易協定)を提携した韓国の実情を知ろうと、大型連休中に京都府保険医協会主催の韓国医療視察に同行した。「医療はTPPの対象外」と日米政府関係者は口を揃えるが、交渉の進展次第では大きな波紋を湧き起こす可能性が高いことが分かってきた。

  •  TPPは米国と日本で加盟国のGDP(国内総生産)の9割以上を占めるため、「日米FTA」の色合いが濃い。TPPではFTAよりさらに投資やサービスなど幅広い分野での市場開放が求められ、例外は原則として認められない。米国がらみのFTAは、以前の交渉を積み上げていく側面が強いのも特徴だ。

  •  「ISD(投資家・国家仲裁制度)条項」は、米国を中心とした多国籍企業が日本などの相手国の政策などにより損害を受けたか、受ける恐れがある時は米国を中心とした弁護士で構成される機関に提訴できる規定だ。他に「ラチェット(後戻り禁止)規定」などが盛り込まれ、多国籍企業側に有利な内容だ。

  •  例えば、『重粒子線治療などの高度先進医療は公的保険適用外で300万円前後も掛かる。生命保険会社はガンになっても高額な医療費をカバーする「目玉商品」を売り込んでいる。国民の要求を受け、国が公的保険を適用しようとする』。
  • 『多くの国民が病院などの窓口負担は3割だが2割に軽減したり、入院医療費を安くする運動が実ったとする。その場合、「入院日額1万円保証」などの民間保険の売れ行きが落ちる可能性が出る』。

  •  このような場合、米国の保険会社などは、世界銀行傘下の仲裁機関に提訴でき、日本政府は敗訴する可能性が高い。医療などの改善運動は事実上、その意味を失うことになりかねない。

  •  米韓FTAへの批判が強い韓国で、医療への営利企業の参入を認める法案が4月にあっさり成立した。「薬価削減政策無力化」(米商務省04年11月報告)の側面も強く、医療機器についても同様で「医療費は上昇し、その多くは米国へ流れる」事態が予想される。
  • 韓国の5大病院グループの1つ「イナ大学病院」では、FTAをにらみ最新鋭の「サイバーナイフ」を導入し、外国人患者の誘致にも積極的だ。

  • さらに、日本郵政グループのかんぽ生命保険が「がん保険」での新規参入を見送ることが今月初め、明らかになった。TPP参入の障害となる可能性が高いため、事前に米国に配慮したものとみられている。

  •  新自由主義の流れの「総仕上げ」ともいえるTPP。韓国の「健康権実現のための保健医療団体連合」政策室長のウ・ソギュン氏は「FTAやTPPは薬価や医療費を高騰させ社会保障をも脅かし、国民にとって災いをもたらす」と警告する。秘密のベールに包まれており、参加各国による交渉次第だが、農産品だけでなく医療など社会保障、そして国のあり方においても大きな脅威といえそうだ。
  • 韓国の「健康権実現のための保健医療団体連合」政策室長のウ・ソッギュン氏は「TPPは医療だけでなく国民に災いをもたらす」と強く警告した。

  • (日本ジャーナリスト会議=JCJ=運営委員、歯科医師・ジャーナリスト、杉山正隆、写真も)

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