2025年2月13日第16回九州厚生局との懇談 質疑応答
2025年2月13日(木)に行われた九州厚生局(以下「厚生局」)と保団連九州ブロック協議会(以下「九州ブロック」)との懇談会における、九州ブロックの質問・要望への厚生局の回答をまとめた。この記事の内容は、厚生局の確認を得ている。
<事前質問>
1.医療機関のメールアドレスの把握
【九州ブロック】
個別指導の対象患者の通知に関して、令和5(2023)年4月の「医療指導監査業務等実施要領(指導編)」では「FAXまたは電子メールで保険医療機関に通知する」から「電子メール等で保険医療機関に通知する」と変更されました。当該メールアドレスはどのように把握するのですか。
【厚生局】
現在、基本的にFAXで通知しています。医療機関から希望があった場合には、メールアドレスを確認のうえメールで通知しています。何らかの形で元々登録しているメールアドレスを使用して、メールで通知することはありません。将来的にはメールでの通知も検討していくと思います。
2.診療報酬改定等の時期の指導
【九州ブロック】
診療報酬改定や患者窓口負担割合等が変更される時期に個別指導は行わないでください。診療と同時に、レセコンの改修や新しい帳票類の整備等で、医療現場は多忙を極めています。指導現場だけでなく準備期間にも、指導大綱に示されているように懇切丁寧な対応を求めます。
【厚生局】
指導日程は、各県事務所が立会人の先生方と調整しながら、年間を通して作成していますので、個別に回答するのは難しいです。指導時期の配慮も含めて、今後とも懇切丁寧な指導を行うよう、各県事務所に指導していきます。
3.指導時の診療録の記載への指摘
【九州ブロック】
個別指導の指摘事項等に「不適切な例が認められたので改めること」として「~の要点(指導・管理内容の要点)について診療録への記載が不十分である」との指摘が挙がっていますが、記載内容の十分・不十分の判断に明確な基準は設けられているのですか。
【厚生局】
それぞれの指導料・管理料について、対象患者の病状や指導等を行うべき内容は様々ですので、一定の基準を設けるのは難しいと考えています。患者から情報提供があった場合にはカルテにより診療内容を確認する必要があります。カルテ記載は先生自身を守るものだと考えますので、実際に行った診療内容については十分な記載をお願いします。
4.マイナ保険証の取扱い
【九州ブロック】
政府は、マイナ保険証の利用を推進していますが、①発熱患者への対応等で院内の動線を分けているため、1台しかないカードリーダーが使えない場合、②「看取り」「意識がない」等の理由で、患者が自らの意思で資格確認できない場合、個人情報保護の観点も含めて、どう対応すべきですか。
【厚生局】
①については、モバイル端末等を用いたオンライン資格確認が可能な「マイナ在宅受付WEB」の活用を検討していただければと思います。②については、看取りの患者には「目視確認モード」での対応をお願いします。「意識がない」など、生命や身体の危機があり、同意確認が困難な場合には、本人の同意不要でオンライン資格確認ができます。
【九州ブロック】
2024年12月2日の健康保険証の新規発行停止により、資格確認方法が多様で複雑になって、患者も医療機関の事務担当者も混乱しています。患者トラブルにもなりかねません。今後、資格確認の簡略化をお願いします。
【厚生局】
厚労省には、マイナ保険証に関して、お伺いした状況とともに、国民の皆さんに向けて簡便な利用方法についての広報をさらに徹底するように伝えていきます。
5.令和4(2022)年度に集団的個別指導を受けた医療機関への高点数個別指導、今後の高点数個別指導
【九州ブロック】
高点数個別指導について「令和5(2023)年度の新型コロナ感染症の影響を考慮し、令和6(2024)年度は、対象医療機関を選定の上、実施に当たっては、令和元(2019)年度に集団的個別指導を実施し、かつ令和3(2021)年度に高点数個別指導の対象となっていた医療機関を実施対象とする」とされています。
令和4(2022)年度に集団的個別指導を受けた医療機関への高点数個別指導は対象医療機関が選定のみされていますが、令和7(2025)年度以降の取扱いをご教示ください。
高点数個別指導の対象医療機関数は、毎年それほど変動しないと考えられますが、今年のような取扱いが続くとすれば、今後、選定される医療機関は1年度ずつ後ろ倒しのままとなるのですか。
【厚生局】
令和7年1月27日付の厚労省通知「令和7年度における高点数を理由とする個別指導について」の通り、令和5年度に集団的個別指導の対象となった医療機関かつ令和6年度も高点数で上位4%に該当した医療機関と、令和元年度の上位8%の医療機関を突合して該当する医療機関に個別指導を行う予定です。コロナ禍の影響で高点数になった医療機関に配慮し、コロナ禍の前から高点数である医療機関を対象とした形です。
また、今後の選定も指導大綱通りであることに変わりはなく、昨年度に高点数で個別指導の対象に選定されていた医療機関への指導が未実施でも、選定された医療機関を翌年度の個別指導の対象に持ち越すことはありません。
6.「マイナ保険証でしか受付しない」、法令違反の対応には厳正な指導を
【九州ブロック】
患者が薬局から「マイナ保険証でしか受付しない」と言われ、健康保険証での調剤を求めたところ、「なぜマイナ保険証を作らないのですか?説明してください」と詰問された事例がありました。背景には、政府によるマイナ保険証利用の推進があると考えます。
保険薬局は、基本的には処方箋だけで調剤できます。薬局が「マイナ保険証でしか受付しない」と強要するのは法令違反ですので、厳正な指導をお願いします。
【厚生局】
健康保険証の新規発行は停止されましたが、現行の健康保険証は、最長1年間、有効期限内は使用できますので、ご指摘の事例は不適切であると考えられます。今回の事例に限らず、保険医療機関及び保険医療養担当規則、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則への違反が疑われる情報提供があれば、必要に応じて指導を行いますので、ご協力をお願いします。
【九州ブロック】
患者からは「マイナカードを作るために自治体の役所に行ったら、担当職員から『保険証も紐づけしないと意味がないですよ』と強く言われて、登録したくないのに、マイナ保険証の登録をしてしまった」という声も寄せられています。
7.集団的個別指導の開催時間の後ろ倒しとe-ラーニングでの指導
【九州ブロック】
集団的個別指導が、平日昼間のほか、平日夜間に開催されている県があり、開催時間帯は標準化されていません。集団的個別指導は各地区の中心部で開催されますので、離島や中山間地域からの移動は保険医の負担になっています。余裕を持った開始時間、eラーニングによる指導を行うことを求めます。
【厚生局】
集団的個別指導の開催時間等は、各県事務所が、交通事情等を考慮して決定しています。また、e-ラーニングでの指導は、当局単独で実施できませんので、厚労省が判断することになると思われます。ご要望があったことは厚労省にお伝えします。
<要望事項>
1.高点数による指導
【九州ブロック】
医療機関によっては、診療形態等により、繰り返し集団的個別指導や個別指導の対象とされ、大きな負担になっています。請求内容に問題がない医療機関を個別指導の対象に選定する必要はないと考えます。高点数の医療機関が一律に選定される基準を指導大綱から削除するよう、厚労省にお伝えください。
【厚生局】
高点数に代わる選定基準が見つからないのが実状ですが、ご要望として厚労省にお伝えします。
【九州ブロック】
高点数による個別指導は停止していただき、情報提供等の場合にのみ、個別指導を実施していただければと思います。
2.個別指導の対象カルテは30人分全てを1週間前に通知すること
【九州ブロック】
個別指導対象カルテの指定については「指導日の1週間前に20人分、指導日の前日に10人分を通知する」とされ、従前の取扱いよりは改善されました。しかし、依然として前日に10人分の準備が必要であり、準備期間が極端に短く、今なお医療機関の負担は大きいです。厚労省への働きかけをお願いします。
【厚生局】
ご要望として承り、厚労省にお伝えします。
【九州ブロック】
指導医療官がきちんと指導時間内に閲覧できるように、領収書を含めた持参物の全てを精査しながら準備しますので、医療機関は大変です。保団連からは厚労省に要望しています。前向きにご検討ください。
3.院外処方と院内処方の格差を調整する「補正点数」
【九州ブロック】
2019年の貴局との懇談で補正点数の開示を要望した際、「補正後の点数のデータが厚労省から送られてくるため、補正点数表を作る必要がない」との回答がありましたが、厚労省から補正点数表を取り寄せることはできないのですか。他の一部の厚生局は補正点数表を開示していますので、貴局も開示していただけないでしょうか。
【厚生局】
医療機関の開設者・管理者から電話で問い合わせがあれば、集団的個別指導や個別指導の対象選定に使用した補正後の点数を回答しています。また、他の厚生局が電話で補正点数を回答しているということは把握しておりません。現在のところ補正点数表の全てを開示することは難しいと考えています。
4.「個別指導実施状況」、黒塗りせずに開示を
【九州ブロック】
私たちが請求して開示された資料「個別指導実施状況」の「指導件数内訳等」「計画件数内訳等」が一部の県で黒塗りされているため、選定理由別に選定機関数・実施機関数を把握することができません。各県で統一した対応となるよう、黒塗りせずに開示してください。
【厚生局】
県によって対応を変えているわけではなく、一律の基準で黒塗りしています。情報提供のみが対象となっている県では、表の全てを黒塗りにしないと、数値から選定理由が判明してしまいますので、ご理解いただければと思います。
5.診療報酬改定後は、新ルールに基づく指導を行い、今後の診療に活かせる指導計画の策定を
【九州ブロック】
2024年度の診療報酬改定は6月に実施され、12月までに行われた個別指導は、ほぼ旧ルールの診療に基づいて実施されたものと思われます。算定要件が大幅に変更された今回の改定では、旧ルールで指導が行われても、今後の診療に活かせない面が多いと考えます。改定後は、新ルールに基づく指導を行い、今後の診療に活かせる指導計画を策定することを要請します。
【厚生局】
改定後の指導は、新ルールで実施することが望ましいのは承知していますが、年間を通して指導計画を策定し実施しなければならないため、一定期間については旧ルールの診療報酬明細書を使用することになります。なお、個別指導自体は、保険診療が適切に行われているか、診療内容が適切にカルテに記載されているかという観点で、診療報酬請求について周知徹底するのが目的です。旧ルールにおいても、面談方式で指導を受ける先生とともに、記載や請求の内容を確認することで、指導の目的は達成されていると考えています。
【九州ブロック】
旧ルールで指摘しなければならないため、指導医療官が混乱することもあるのではないかと思います。診療報酬改定の時期は、指導する側も指導を受ける側も非常に慎重に対応しなければならないと考えますので、ご配慮をお願いします。
6.新規個別指導を受けた医療機関が翌年度・翌々年度に集団的個別指導の対象とならないように
【九州ブロック】
新規個別指導を受けた医療機関が、翌年度または翌々年度に集団的個別指導の対象に選定されるケースがあります。新規個別指導は、実質的には個別指導の一種ですので、翌年度・翌々年度は集団的個別指導の対象とならないように要望します。
【厚生局】
集団的個別指導の取扱いは変更されていませんので、ご理解いただければと思います。
7.長期収載品の選定療養化で、患者負担総額が薬価を超える矛盾の解消を
【九州ブロック】
長期収載品(後発医薬品がある先発医薬品)の選定療養化により、薬価が低い長期収載品では患者負担が10 割を超える事例が見られます。薬価が極端に低い場合は選定療養の対象から外すなど、矛盾を解消する対応を求めます。
【厚生局】
極端な例として受け止めました。保険外併用療養費は患者の選択によるものですので、こうした例があることを説明していただければ、患者は選択しないのではないかと思います。ただ、このような矛盾があるということは理解いたしました。
【九州ブロック】
制度的な矛盾があることを厚労省にお伝えください。
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第15回 九州厚生局と保団連九州ブロックの懇談会
2024年2月1日(木)第15回九州厚生局との懇談会・質疑応答まとめ
<事前質問>
1.YouTube 等の動画サイトを用いた保険診療等の要点解説動画について
【九州ブロック】
東北厚生局が公式 YouTube で医科歯科別に保険診療や個別指導等の要点を動画で解説しています。ポイントが非常に分かりやすくまとまっています。九州厚生局では同様の動画を製作される予定はありませんか。
新規開業医のみならず、ベテランやその他の医療スタッフにとって、保険診療や個別指導等に対する理解をより一層深めるきっかけにもなり、適正な保険診療の推進にも資するのではないでしょうか。
【厚生局】
現在のところ、九州厚生局独自で動画を製作する予定はありませんが、指導用の資料等に関しましては厚生労働省のホームページに掲載しており、どなたでも閲覧可能ですので、そちらをご覧いただきたいと考えます。
2.サイバーセキュリティ対策への指導について
【九州ブロック】
個別指導の事前提出書類の中の「医療情報システムの概況等」という様式に「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策状況のチェック」という欄が新たに設けられました。
個別指導の現場では、対策を講じていない医療機関に対してはどのような指導をされているのか具体的にお聞かせください。また、既に対策を講じている医療機関に対しても、対策が不十分な場合等にどのような指導がされているか具体例をお聞かせください。
【厚生局】
診療所は専門職員の配置が少なく、対応が困難なことは承知しています。例えば、電子カルテを導入している医療機関でサイバーセキュリティ対策が講じられていない場合や対策への理解が不十分な場合は個別指導において指導します。主に、自己防衛を意識的に行っているかという観点からチェックしています。
【九州ブロック】
各医療機関も、苦手なところを一つ一つ整備していきますので、懇切丁寧な対応をしていただければと思います。
【厚生局】
細かい点を指摘・追求することが目的ではありません。ベンダー等と協力し体制を構築しているのか等が重要であると考えます。
3.健康保険証の廃止について
【九州ブロック】
2023年8月4日、政府は、2024年秋に現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化する方針の一部見直しを表明しましたが、それだけではマイナ保険証による医療現場での深刻なトラブルは解決しません。「いつでも」「どこでも」「だれでも」必要があれば医療にかかることができる「国民皆保険」を守るため、現行の保険証の存続を強く求めます。
保険証の廃止の方針が国民と医療現場を混乱させている現状をどうお考えでしょうか。また、現場でのトラブルを貴局で調査される予定がありますか。
【厚生局】
昨年の12月22日に現行の健康保険証を廃止することを閣議決定したところです。また、現行の健康保険証は廃止後も最長1年間は使えるほか、マイナンバーカードを取得していない人や保険証として登録していない方については、保険証の代わりとなる資格確認書が発行されます。当局において独自に現場のトラブルに関して何らかの調査等を行う予定はありません。
4.開設者や管理者が病気等で指導に出席できない場合の取扱いについて
【九州ブロック】
開設者および管理者が病気等で指導に出席できない場合はどのように取り扱われていますか。出席できない場合、医療機関はどのような手続きをすればよいのでしょうか。集団指導、集団的個別指導、個別指導、共同指導、それぞれで取扱いが異なるのであれば、指導ごとにご教示ください。
【厚生局】
集団指導、集団的個別指導、個別指導、共同指導はそれぞれ考え方が異なります。
集団指導は現在、基本的にeラーニングにより実施していますので、対象者に関しては、指導内容を1カ月以内に視聴いただく形です。視聴期間終了後に、視聴記録がない場合は、直接連絡して確認したり、次回の集団指導のeラーニングの際にあらためて案内するなど指導の機会確保に努めています。
集団的個別指導、個別指導、共同指導は、病気等で出席できない場合など、正当な理由に該当する場合には、指導を受ける側の方から出席できない理由書と、その事実が証明できるようなもの、例えば病気であれば診断書の提出を求めています。
指導日程延期の可否は、病気・海外渡航・親族の冠婚葬祭などの指導大綱に示されている例を基準に判断しています。手術や自治体検診等、様々なケースが想定されますが、原則、県事務所で独自に判断することはありません。
会場や学識経験者の立会の確保の観点からも、医療機関に予定どおりご対応いただけるようご協力を求めています。
【九州ブロック】
健診事業は正当な理由に含まれるのでしょうか。昨年、近畿厚生局と保団連近畿ブロックが懇談した際に、「健診事業も含まれる」と確認されました。以前、貴局と九州ブロックが懇談した際にも、「個別指導当日に公的な検診などが予定されている場合は、個別指導の日程変更が認められる場合がある」との回答がありました。
また、30日の処方制限がある向精神薬を患者の状態により4週間隔で処方する医療機関では、指導通知が1カ月前では次の受診及び投薬の調整が難しいのが現状です。指導日の予約患者の日程変更は、精神科特有の問題もあって、予約を取り直せない場合もあります。
他にも抗精神病薬の持効性注射剤(LAI)を注射している患者は必ず4週間隔での注射が必要です。この注射の前倒しは血中濃度が崩れる理由もあって施術の2日前までしかできません。後ろにずらす場合は、薬の効果が切れてしまうため、内服薬を処方しなくてはなりませんが、LAI 投与の患者は内服が正しくできない人もいます。個別指導によって、予定していた治療ができずに増悪させてしまうのは不本意です。
上記のような医学的理由がある場合、指導日程の変更は可能でしょうか。
【厚生局】
指導日程延期の可否は、指導大綱に示されている例を基準に判断しています。可能な限り日程調整を行っていただき、場合によっては代診がお願いできないかなど確認を行っています。個別の事情について、県事務所で判断することはありません。近畿厚生局の回答の趣旨が分かりませんので、この場での回答は控えさせていただきます。以前懇談した際に回答した、検診の際の日程変更については持ち帰って確認します。
<編注:検診の日程変更について>
行政側から依頼された公的な検診については、担当医の交代が可能か否かを各県事務所から照会します。変更が困難であることが確認できれば正当な理由として認める取り扱いとします。
5.他院製作の補綴物を装着する際のクラウン・ブリッジ維持管理料の算定について
【九州ブロック】
義歯を製作した医療機関が、印象後に廃院したため製作されていた義歯を自院で装着した事例がありました。事前に県事務所とも連絡をとった上で対応し、①前医からの情報提供書があること、②前医は未装着請求をすること、③後医は補綴物本体の請求はせずに装着料のみを算定すること、④その旨を後医は摘要欄に記載すること、となっていて全体として合理的な仕組みであると思われます。
県事務所の説明によると、同様のケースがあれば今後も算定を認めるとのことで、この算定方法がルール化されたのはよいことでした。
今回の事例は義歯でしたが、会員が「クラウン、ブリッジ等の場合は」と質問したところ、「インレーは認められませんが、クラウン、ブリッジは認めます」という回答でした。ただし、クラウン・ブリッジ維持管理料の算定については回答が曖昧であったとのことでした。
設計から製作までの過程に携わっていないのに、装着を任されただけで2年間の維持管理の責任を負わされるのは責任が過大だと思われますので、「装着は可能だが、クラウン・ ブリッジ維持管理料の算定はしない」という取扱いをルール化してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
【厚生局】
廃止等を行う前医と診療継続を受けた後医との間で合意の上で歯科医学的に適切な診療継続が可能な場合には、前医は未装着請求し、後医に情報提供することになります。後医は装着量及びクラウン・ブリッジ維持管理料を算定することは差し支えない取り扱いとしています。点数表ではクラウン・ブリッジ維持管理料を算定する患者、しない患者の選択はできない規定となっています。
【九州ブロック】
他院作成の補綴物の装着は、あくまでも社保における取り扱いであるため、社保・国保で差異のない取り扱いとすることを検討してください。
【厚生局】
本件は点数表等に記載されないレアなケースであり、レセプトの摘要欄に前医から装着の依頼を受けたことがわかるように記載するなどの対応をお願いします。
なお、社保・国保の差異は、本省及び審査支払機関において、審査格差の解消を進めていると承知しています。
<要望事項>
1.新規個別指導における結果通知の早期発出について
【九州ブロック】
令和4年度の医科新規個別指導における結果通知の発出について、熊本県では、新規個別指導実施日から結果通知発出日までの期間が2カ月を超えるケースが、全体の約半数に上っています。
新規個別指導は、新規指定より概ね6カ月を経過した保険医療機関に対して、教育的効果を目的として、通常の個別指導とは別枠で実施されているものです。
やむを得ないケースもあるとは思いますが、それ以外の場合は可能な限り早期に発出していただきますよう、お願いいたします。
【厚生局】
指導結果通知については、当局もできるだけ1カ月以内、遅くとも2カ月以内に通知するよう各県事務所に指導しています。今後とも早期発出に向け事務所等を指導していきたいと考えております。
【九州ブロック】
指導結果通知が遅延すれば保険医の不安も増し萎縮診療になりかねないため、改善をお願いします。
2.個別指導における全ての対象患者名(30人分)を早期に通知することについて
【九州ブロック】
指導前日に通知される10人分のカルテ等の準備は医療機関に多大な負担を課すものです。指導前日の医療機関の負担軽減のためにも、全ての対象患者名(30人分)を早期に通知することを改めて要望いたします。また本省への働きかけについてもお願いいたします。
【厚生局】
平成28年度から取扱が変更されています。平成27年度までは、実施通知自体は3週間前に発出して、対象患者は30人のうちの4日前に15人、前日に15人としていましたが、28年度から前日に10人、1週間前に20人へと変更し、保険医の負担軽減に努めてきました。この間も同様の要望をいただいており、本省に要望を伝えています。
厚生労働省の医療指導監査室は、「当面はこの運用で進めたいが、今後も個別指導の効果的かつ効率的な運用のために、引き続き必要な検討を行う」と見解を示しています。
【九州ブロック】
電子カルテを導入する医療機関が増加していますが、紙で印刷して持参しなければならないのでしょうか。
【厚生局】
印刷したものを持参していただくか、指導会場において電子カルテが単独で運用できるのであれば、そちらで対応していただいても構いません。
3.個別指導の実施通知において、選定理由を明記することについて
【九州ブロック】
個別指導の実施通知に選定理由を明記してください。
もし、実施通知への記載が困難なのであれば、指導当日、指導の場において、指導を受ける保険医に選定理由をお教えくださるようお願いいたします。
併せて、選定理由を非開示とする規定等がございましたらお教えください。
【厚生局】
個別指導の実施通知に関しては、基本的に選定理由を記載する取扱いにはなっていません。個別指導に選定する理由は指導大綱で定められていますので、例えば情報提供や、指導結果が再指導のもの、正当な理由なく集団的個別指導を欠席した者、等が定められています。
なぜ選定理由を教示・開示しないかは、明文化されていませんが、例えば情報提供による選定の場合、選定理由を教示(開示)することによって情報提供者が特定され不利益を被る可能性自体が否定できないことから、教示(開示)しない取り扱いを行っているところです。
4.医療機関向けの個別指導等に関する講習会について
【九州ブロック】
個別指導や新規個別指導での指摘事項は多岐にわたり、時には多額の自主返還につながって医療機関にとっての大きな損失につながることもあります。そういった事例を未然に防ぐためにも、医療機関向けの個別指導等に関する講習会を行っていただけないでしょうか。
【厚生局】
九州厚生局独自で講習会を開催することは予定していません。
新規指定時や更新時に関しては、現在はeラーニング形式の集団指導、高点数に該当する保険医療機関については、集合形式により集団的個別指導を実施します。指導大綱など、厚生労働省本省の方針に則って保険診療のルールについて理解を深めていただくために当局も指導を実施しています。その中では、個別指導等で誤りが散見される事項は説明を行い、算定誤りがなくなるように努めています。
5.指導日程表での集団指導の記載について
【九州ブロック】
令和5年度に開示された指導日程表を見ますと、集団指導の記載がある県とない県がありますが、集団指導の日程を記載しない理由が何かあるのでしょうか。次年度以降は九州厚生局管内の全県で集団指導の指導日程を記載していただけないでしょうか。
【厚生局】
令和5年度の集団指導はeラーニング形式であり、事務所によっては指導会場を確保せず、1カ月間の視聴期間の間に視聴をお願いしていたため、指導日程表に入れていませんでした。一方、九州厚生局管内で記載方法が統一されていなかったため、今後は統一する方向で検討したいと考えています。
6.高点数による個別指導について
【九州ブロック】
「集団的個別指導の対象になった。発熱外来で患者が多かったことが理由ではないか」「今年、集団的個別指導に選定されたので、県事務所に照会したところ、発熱外来(診療・検査医療機関)届出以降の平均点数が500点弱高くなっていた。感染症対策に協力した結果、 集団的個別指導、そして個別指導に選定されるとなると納得できない」という声が多数寄せられています。また、大阪府保険医協会調査では、発熱外来医療機関以外で指導になったのはわずか2%だったのに対して、発熱外来医療機関は21%と割合ベースで大きな開きがありました。これは平均点数算出方法の不合理と言わざるをえません。
いわゆる高点数医療機関の今後の取扱いですが、令和5年度の集団的個別指導に選定された医療機関は、翌年度の令和6年度も高点数であれば、翌々年度の令和7年度に個別指導に選定されるという理解でよいのでしょうか。
【厚生局】
令和5年度の集団的個別指導に選定された医療機関については、令和5年1月19日付の事務連絡で、令和5年度に集団的個別指導を受けた保険医療機関等について、指導大綱等に規定する選定基準に該当する場合は、令和7年度に高点数を理由とする個別指導の対象とするか、令和6年度の状況を見極めた上で実施の可否を判断することになっています。
令和6年度の個別指導については、コロナの影響を一定以上受け、高点数となった医療機関は除外すべきとの考え方に基づき、令和6年1月26日付で「令和6年度指導・監査等について」の事務連絡が出されました。本来、令和6年度の個別指導では、令和4年度の集団的個別指導に該当し、令和5年度にも概ね上位4%程度にあたる高点数であれば、個別指導に選定されます。今回は追加の条件として、前述の取り扱いによって選定された医療機関のうち、平成30年度にも高点数だったため、令和元年度の集団的個別指導に選定されており、令和3年度に本来は個別指導の選定対象だった医療機関に対して実施することとされています。つまり、令和3年度に個別指導の対象として選定されており、かつ、令和6年度も個別指導の対象として選定される医療機関が、令和6年度の指導対象となります。コロナ禍前後ともに高点数であるという要件を満たす医療機関が選定されるため、コロナによる点数への影響を除外できると考えています。
ただ、この措置は令和6年度の特別なものであり、ご質問の令和7年度については今年度の状況を見極めたうえで、今後示されると思います。
【九州ブロック】
令和7年度は6年度の状況を見た上でということですが、本省、九州厚生局、地方事務所等、どのレベルで見るのですか。
【厚生局】
全国的に同じ公平なルールで実施するため、令和6年度の全国の状況を厚生労働省で見極めた上で、事務連絡が出ると考えております。
第14回 九州厚生局と保団連九州ブロックの懇談会
2023年1月19日(木)第14回九州厚生局との懇談会・質疑応答まとめ
<事前質問>
1.『高点数による個別指導』の結果が「概ね妥当」の場合、次回の『高点数による個別指導』の選定対象から除外することについて
【九州ブロック】
平成7年12月22日厚生省通知「指導大綱における保険医療機関等に対する指導の取扱いについて」では、『指導大綱(平成7年12月22日付保発第117号)による指導の実施に当たっては、次の事項に留意のうえ実施されたい』と示されております。
その事項の中の「3.個別指導について」の(1)には、次のように示されております。
指導大綱第4の4の(1)の⑤及び(2)の③に該当する高点数保険医療機関等であって、過去にも同項に該当するとして個別指導を受けたもののうち、その直近の個別指導の結果、指導後の措置が「概ね妥当」であり、かつ、現在においても妥当適切な状態が継続していると認められるもの、又は「経過観察」であり、その後改善が図られていると認められるものについては、都道府県の社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に意見を聴いたうえで個別指導の対象から除外することができるものとする。
つきましては、下記の保険医療機関については、支払基金等に意見を聴いたうえで、個別指導の対象から除外していただけないでしょうか。
①直近の『高点数による個別指導』の結果が「概ね妥当」であり、かつ、現在においても妥当適切な状態が継続していると認められる保険医療機関。
②直近の『高点数による個別指導』の結果が「経過観察」であり、その後改善が図られていると認められる保険医療機関。
【厚生局】
現時点では「妥当適切な状態が継続していると認められる」「その後改善が図られていると認められる」ということについて、明確な判断基準が設けられていないため、これを適用した選定は難しいと考えます。
【九州ブロック】
過去に判断基準を設けることを検討されているのでしょうか。また、個別指導除外対象が示された経緯について教えてください。
【厚生局】
当局では、判断基準を設けることについてこれまで検討がなされたのか否かは把握しておりません。経緯につきましても存じておりません。ただし、経過観察中、明らかに指摘事項の改善が認められない場合などは、改めて指導の必要性が生じることもあり得ます。その判断は個別の状況を総合的に勘案することとなります。
2.自院のレセプト1件当たりの平均点数及び医科の類型区分に関する照会状況について
【九州ブロック】
医療機関の開設者又は管理者本人であれば、電話により自院のレセプト1件当たりの平均点数や医科の場合は類型区分を確認することができますが、九州各県事務所への照会状況(件数など)を教えていただけますでしょうか。
また、医科の類型区分について、確認の結果、貴局が管理している類型区分と医療機関側の認識が異なる事例も一定数あるのでしょうか。
【厚生局】
各県事務所等へ類型区分に関する照会はありますが、本局に件数を報告する事務処理となっていないため、件数等の照会状況は把握しておりません。医科の類型区分につきましては、開設者等が認識している主たる診療科と類型区分に認識の相違がある場合は、保険医療機関に対し変更届の提出をお願いしています。
3.「保険医療機関等電子申請・届出等システム」の今後の見通しについて
【九州ブロック】
令和4年3月31日より、「保険医療機関等電子申請・届出等システム」の運用が開始され、書面による提出をしていた一部については、このシステムにより電子申請が可能となっておりますが、今後、全ての申請・届出がオンラインで可能になる予定なのでしょうか。それとも書面での申請・届出が必要なものは一定数残ることも考えられるのでしょうか。現時点での見通しがお分かりでしたらご教授ください。また、九州各県の保険医療機関において、登録されている割合はどのくらいなのでしょうか。
【厚生局】
順次オンライン化等の検討及び具体化を進めていく予定であると承知していますが、現時点において書面での申請・届出が残るかは未定であると聞いています。九州各県の保険医療機関における電子申請の登録割合は把握しておりません。
4.個別指導日程の延期時の対応について
【九州ブロック】
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定されていた個別指導が延期されるケースがありますが、その場合、当初年間スケジュールで予定している日程とは別に新たに日程を設けて実施しているのでしょうか。また、沖縄では今年に入り個別指導が4回の延期があったケースがあり、被指導医療機関に多大な負担が生じていることから、個別指導の延期では無く、指導時間の短縮等の感染対策を講じた上で実施いただけないでしょうか。
【厚生局】
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた個別指導を延期した場合には、各県事務所等の実情に応じて、年間スケジュールの中で実施する場合もあれば新たに日程を設けて実施する場合もあります。延期により実施が遅れている個別指導につきましては、関係団体と協議しながら、早期実施に努めてまいります。
【九州ブロック】
今後、オンラインでの個別指導等の実施は検討されているのでしょうか。
【厚生局】
個別指導は全国統一した実施方法に基づいており、オンラインでの個別指導の実施の予定につきましては現在のところ伺っておりません。
5.施設基準届出受理通知書を速やかに、送付してください
【九州ブロック】
2022年4月診療報酬改定において、各医療機関では4月1日からの算定のため4月20日までに届出を行いましたが、鹿児島県では多くの医療機関から、5月に入っても、受理状況の連絡が来ず、診療報酬請求に混乱が生じたとの声が寄せられました。中には、貴局鹿児島事務所へ確認を行うと「とりあえず請求してください。受理されないようでしたら査定されます」という一方的で乱暴な回答であったと怒りの声も寄せられました。
改めて、貴局における施設基準届出受理状況を、4月分診療報酬請求に影響がないよう、医療機関への速やかな結果通知を求めると共に、今回の件に関するご認識と、今後の対応についてお考えをお聞かせください。
【厚生局】
診療報酬改定に伴う施設基準の届出は、毎回4月の提出期限までに数多く寄せられています。鹿児島事務所においては、早期に審査を行い受理通知が発出できるよう全所体制で取り組んでいますが、今回、大量の届出があったことにより審査・受理等の事務処理の遅れが生じました。今後は同様なことが生じないよう早期審査、受理等に向けた体制の確保に努めてまいります。
【九州ブロック】
令和4年度診療報酬改定において、外来後発医薬品使用体制加算の施設基準における実績要件の引上げに伴い再届出が必要となりましたが、8月まで受理通知書が届かず、その間診療報酬請求ができなかった事例もございます。今後は迅速な送付をお願いします。
6.新規個別指導の会場として県歯科医師会館を使用すると決めた経緯の説明をお願いします
【九州ブロック】
福岡県歯科医師会の機関誌「歯界時報」2022年4月号・5月号には、2022年3月22日の貴局と福岡県歯科医師会との打ち合わせ会で、福岡県歯科医師会が県歯科医師会館を利用して個別指導を行ってはどうかと提案し、貴局も前向きに検討しているとの記載があります。
個別指導は、全ての保険医療機関を対象とするものであり、歯科医師会の会員・非会員という区分に基づいて異なる取扱いが行われる余地を許容する法律上の根拠は存在しません。むしろ、厚労省保険局医療課医療指導監査室が出している「医療指導監査業務等実施要領」(指導編)には「都道府県医師会等の会議室は、原則として使用しない。」と記されています。この要領に照らして、どのような経緯で県歯科医師会館を使用するとの決定に至ったのか、説明をお願いします。
【厚生局】
令和4年度の歯科の新規個別指導は、令和3年度に新規開設した保険医療機関に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響による未実施の繰り越し分・延期分とあわせて実施する必要性を踏まえ、感染防止対策を講じた上で、指導を計画的に実施するために必要な広さの会場確保に努めました。しかしながら、年度末になりましても年間の指導会場の確保が困難な状況が続いていたため令和4年度においては、条件を満たす県歯科医師会館の会議室を使用しての実施となりました。当該貸会議室は、他団体への貸与実績や料金体系も明確にされており、新規個別指導を円滑に実施するため今年度に限って指導会場としたものです。この件は例外的な取扱いとして本省にも相談の上、実施しております。なお、会場の使用に当たっては正規の料金体系に基づいて借用しています。
<要望事項>
1.コロナ対策に積極的に協力した医療機関が集団的個別指導に選定されないようにしてください(厚労省への要望と各事務所の選定委員会で対象から外すことも含めて)
【九州ブロック】
新型コロナウイルス感染症の流行以降、医療機関は国民の命を守るため、政府や行政の要請に応じて「診療・検査医療機関(発熱外来)」の指定を受けるなど、新型コロナウイルス感染症への対応に積極的に協力してきました。感染症への対応には、厳重な感染対策が欠かせません。アルコールやPPEなど消耗品のほか施設設備の改修に至るまで、医療機関ではさまざまな対策を講じ、政府も各種支援金のほか診療報酬上の特例点数を設けるなどの措置をとってきました。経費の補填として、診療報酬上の特例点数は確かに貴重な収入です。ですが一方で、これら特例点数を算定したがゆえに平均点数が押し上げられたケースが見られたのも事実です。なかには、県の要請に応じて日曜祝日の発熱外来に積極的に協力した結果、平均点数が一気にあがった診療所もありました。問題は、平均点数の跳ね上がりが、集団的個別指導に直結することにあります。新型コロナウイルス感染症という国が最優先で取り組んだ施策に協力した結果、「平均点数が高いことを認識させ、保険診療に対する理解を一層深めさせる」(指導大綱)ための集団的個別指導に選定されるのはいかがなものでしょうか。高点数になり集団的個別指導に選定されることを回避しようと、医療機関が萎縮診療に陥ったり、国の最優先施策である感染症対策への協力を躊躇することのないようにしてください。
【厚生局】
集団的個別指導の対象医療機関は、指導大綱に基づき、全国統一の基準により選定しています。当局独自の基準で選定することはできませんが、このようなご意見があったことを本省に伝えます。
【九州ブロック】
今後様々な医療制度が充実していく中で、かかりつけ医制度等、一人の患者に対し複数の疾患を診療していくと、当然一人当たりの診療報酬点数も高くなります。高点数を理由とした個別指導に選定されると、萎縮診療につながる医療機関も出てくると思います。高点数を理由とした選定を早期に見直して欲しいとの要望を厚労省に伝えていただきますようお願いします。
2.令和4年度の個別指導、新規個別指導の指導対象レセプトには、コロナ診療の公費負担分が含まれているか
【九州ブロック】
平均点数が上位30位までの福岡県の医療機関(内科)では、コロナ発生前後で比較をするとコロナ後は点数が高くなっております。指導対象レセプトにコロナ診療分も含まれているのでしょうか。含まれているとすれば今後の集団的個別指導等の選定に用いる平均点数の算出に使用するレセプトも同様にコロナ診療分が含まれるのでしょうか。
【厚生局】
指導対象レセプトは、コロナに限らず公費併用レセプトも含まれる場合があります。また、平均点数を算出する際のレセプトにコロナ診療分が含まれるか否かについて、当局では把握していません。
【九州ブロック】
コロナ診療に関して、発熱外来を行っている医療機関は点数が高くなりますので、コロナ診療分のレセプトは指導の対象から除外していただきたいと思います。また、コロナ診療にあたり、感染対策を講じた上での診療は通常のカルテ記載と勝手が違う上、臨時的な取扱いも多く出されているため、臨時的取扱いに関するカルテ記載の不備を厳しく指導しないようご配慮いただきたく思います。
3.各県事務所における問い合わせ時の対応について
【九州ブロック】
現在、自院の平均点数は各県事務所に照会すれば確認が可能です。そのような中、会員医療機関より「本日は歯科指導医療官が不在なので『明日連絡してほしい』という対応が行われた」との情報が寄せられました。必要なのは管理者の本人確認ですので県事務所の職員であれば対応可能だと思います。各県事務所に対する周知徹底をお願いします。
保険医協会より、施設基準に関する問い合わせを県事務所に行ったところ、2カ月回答がありませんでした。診療報酬請求や人員管理にかかわることですので、時間を要するのであればその旨を事前に伝えていただくなどの対応も必要だと思います。
医療機関に対する回答も時間を要していることを聞き及んでいます。各県事務所に対する指導をお願いします。
【厚生局】
平均点数の照会は、各県事務所等の職員で対応可能ですので、今後同様のことが生じないよう各県事務所等へ周知徹底を図ります。また、疑義照会への回答につきましても早期の回答に努めるなど、引き続き適切な対応に向けて各県事務所等へ周知徹底を図ります。
4.個別指導の選定における類型区分について
【九州ブロック】
昨今、診療報酬改定が行われる毎に、歯科診療所において、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(以下、か強診)とそれ以外の歯科診療所との平均点数の格差が広がっています。個別指導において、従来の高点数による指導対象医療機関の選定が継続されると、今後はか強診の診療所のみが選定されることになりかねません。
か強診の診療所は国の施策に従い、感染症の広がりの中でさらにその重要性が増している国民のかかりつけの歯科診療所としての機能を維持すべく、人材を育成し、機材をそろえ、研修を重ねています。その結果として高点数になっている診療所が優先して指導対象として選ばれるのはいかがなものでしょうか。
高点数による個別指導対象医療機関の選定の是非は、今後論じられるべきでありますが、その前に、か強診の歯科診療所とそれ以外の歯科診療所を区別して、それぞれにレセプト1件当たりの平均点数が都道府県の平均点数の1.2倍を超えるものを個別指導対象として選定していただくよう要望いたします。
【厚生局】
ご意見があったことを本省へ伝えます。
【九州ブロック】
2018年の第10回懇談時に、歯科の類型区分について訪問診療の有無を考慮した区分を設けていただくよう本省へ要望していましたが、本省では策定が進んでいるのでしょうか。
【厚生局】
ご指摘のご要望に係る本省での議論の進展につきましては、当局では把握しておりません。
5.平均点数の算出における歯科での補正について
【九州ブロック】
医科では院内処方の医療機関と院外処方の医療機関との間で平均点数が補正されますが、歯科では補正が設けられておりません。最近は抗生剤や抗菌剤、カンジダ症治療薬など薬価の高い薬剤もあり、その分が上乗せされると、院内処方の歯科医療機関と院外処方の歯科医療機関との間で平均点数に格差が生じます。第12回懇談時にも要望として上げさせていただきましたが、歯科での補正についてその後、進展がございましたか。
【厚生局】
進展につきましては、当局では存じておりません。薬価の高い薬剤が平均点数に与える影響についてもご意見として本省へ伝えます。
第13回 九州厚生局と保団連九州ブロックの懇談会
2022年2月10日(木)第13回九州厚生局との懇談会・質疑応答まとめ
≪前半内容≫
<質問・要望事項>
1.九州厚生局YouTube公式チャンネル(専用URL)で配信される集団的個別指導用動画について
【九州ブロック】
集団的個別指導は、現在、新型コロナ感染拡大の影響を鑑みて、九州厚生局YouTube公式チャンネル(専用URL)による指導用動画の視聴等により集団的個別指導の開催と出席に代えている場合もあるとお聞きしております。普段より保険診療の理解を深めることができるよう、指導用動画を専用URLなしで常時掲載し、集団的個別指導の選定を受けた医療機関以外の一般医療機関でも視聴できるようにしていただけると、卒後、保険医取得後の保険診療への理解が深まるのではないでしょうか。
【厚生局】
指導用動画を専用URLなしで常時掲載することは考えておりません。ただし、指導用資料(スライド資料・冊子資料)は、厚生局ホームページに掲載しており、どなたでも閲覧可能になっておりますので、そちらをご覧いただき保険診療の理解を深めていただければと思います。
2.新型コロナウイルス感染拡大の影響で個別指導が延期される場合について
【九州ブロック】
新型コロナ感染拡大の影響で、前日になって急遽、個別指導が延期されるケースがありました。被指導医療機関には、前日までの間に持参物の準備等で多大な負担がかかることを考慮して、下記の取扱いとしていただけないでしょうか。
① 延期の見込みがある場合は早めにご連絡いただけないでしょうか。
② 延期前に指定した持参物(対象患者のカルテ等)については、同じ年度内であれば、延期後の指導時においても同じ持参物としていただけないでしょうか。
【厚生局】
①指導延期については、新型コロナのまん延状況等を考慮して慎重に判断しており、延期の見込みがある場合だけ(延期の検討段階)での連絡は難しいです。可能な限り早めに判断するように努めていきたいと思います。
②指導用のレセプトについては、可能な限り指導月に近い時期のものを選定するようになっております。持参物の準備等が無駄とならないように延期の判断を早めに行なうように心がけていきたいと思っております。
【九州ブロック】
「指導月に近いレセプト」ということは、指導が月を少しまたいで延期になった場合には、元々の指導対象レセプトからまた変更して選定し直すということでしょうか。
【厚生局】
個別判断になると思いますので、ご理解いただければと思っております。
3.歯科施設基準研修会の開催形態について
【九州ブロック】
歯科の施設基準に係る研修会は、新型コロナ感染拡大の影響もあり、現在はオンデマンド方式でも可ということになっておりますが、オンデマンド方式でも可となっている県については、引き続きこの取扱いを継続していただけないでしょうか。
【厚生局】
「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その21)」令和2年6月10日発出に沿って、現在は、医療関係団体が実施し、必要な内容が網羅されたものであれば、Web配信による受講でも可となっております。コロナ収束後のことについては、厚生局で回答できるものではございません。ご要望があったことを本省の方に伝えます。
4.レセプト摘要欄への記載事項のコード化について
【九州ブロック】
レセプト摘要欄への記載事項について、一昨年(2020年)の10月診療分(11月請求分)より、新たに約1700項目のレセプト電算処理システム用コードが設定されました。膨大な量の項目がコード化されたことにより、これまでは必要な記載事項を単純に入力するだけで良かったものが、10月診療分以降は、項目ごとに9桁にも及ぶ該当コードを選択・入力した上でさらに記載事項を入力することが必要となり、事務負担が大幅に増えているのが現状で、窓口での混乱も見られます。熊本県保険医協会が実施したアンケート調査でも、そのような状態が窺える結果となっております。現在の貴局への問い合わせ状況はいかがでしょうか。また、改善の方向性はあるのでしょうか。
【厚生局】
コード化が導入される前後については、記載方法等の照会が多くあったということは確認しておりますが、導入から1年以上経過した現在は、保険医療機関からの照会がほとんどないと聞いております。
また、改善の方向性ですが、厚生局では、変更や改善予定は承知しておりません。本省には現場のご意見として伝えます。
5.診療報酬改定時の厚生局への質問対応について
【九州ブロック】
今年4月に行われる診療報酬改定後、改定内容に関する様々な質問が貴局や各県事務所に寄せられると思いますが、
① 前回同様、質問の受付形式はFAXのみとなるのでしょうか。
② 貴局のホームページ上で、「よくある質問」とその「回答」を公開していただければ、多くの医療機関が閲覧及び参考にすることができ、貴局や各県事務所に寄せられる質問内容も重複せずに済むのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
【厚生局】
質問の受付形式はFAXのみを考えています。「よくある質問」というのは、最終的には本省の医療課から疑義解釈が発出されるので、現段階においては厚生局において別個に掲載する必要性はそれほど高くないと考えていますが、状況に応じて判断したいと思います。
【九州ブロック】
FAXでの質問については、電話での回答ではなく、文書での回答をいただけないでしょうか。
【厚生局】
各県事務所への診療報酬改定での照会は例年相当数が寄せられている状況で、質問があれば早期の回答となるよう取り組んでいます。文書で回答するとなると、職員の負担増や決裁等の事務処理に時間を要し、結果的に質問への回答が遅れることが懸念されるため、口頭により回答しております。
≪後半内容≫
ここからは、過去の懇談での質疑応答のテーマの中から、以下の1~7のテーマを選んで今回の意見交換の議題とした。
<個別指導・監査>
1. 高点数による選定ではなく、機械的にローテーションで全員が個別指導を受けることについて。(第3回懇談:2011年12月15日)
【九州ブロック】
特に歯科では、訪問診療をされている先生やレセプトの取扱件数が少ない先生は、5年に1回は高点数で個別指導に選定されているという状況です。訪問診療に行くと平均点数が高くなるので、躊躇するところがあります。現在の個別指導のような形ではなく、教育的指導という形で、数枚のカルテで個別指導を行うという方法もあるのではないかと思います。
今回、過去の開示請求した資料を元に「平成29年度の個別指導の選定件数および実施件数(都道府県別)」をグラフ化してみました。九州では福岡以外は、ほぼ計画的に行われておりますが、都市部は計画通りに行われていません。このグラフから高点数による個別指導は平準化されてなく、地域によっては温度差があることを考慮していただいて、本省には新しい指導大綱を作っていただければと願っております。
【厚生局】
恐らく高点数の医療機関の中の上位4%程度の計画件数のグラフと高点数を理由とする選定件数のグラフだと思います。
都市部と地方でグラフに差があるのは、都市部では情報提供等が多く、それらを優先して実施しているからです。その一方、地方は情報提供等の件数が都市部と比べ少ないので、高点数を理由とする個別指導の実施が計画的にできているということだと思います。本省には現場のご意見として伝えます。
【九州ブロック】
本省で新しい選定指標を模索中ということで、歯科の方で先行して分析結果を出し、それに基づいて進めて行くということでした。2019年3月に「保険医療機関等の指導に関する新選定指標策定に係る調査分析に関する報告書」が公表され、それに基づいて新しい選定指標に向けた協議をされていると思いますが、厚生局として何か情報はありますでしょうか。
【厚生局】
本省の方で協議していることは承知していますが、現時点では、新選定指標の策定には至っていないという状況です。
2. 懇切丁寧な指導について。(第2回懇談:2011年6月30日)
【九州ブロック】
以前に比べ指導に関わるトラブルは減少していると感じておりますが、引き続き、指導をする方も受ける方もルールに則って、より適正な保険診療、請求業務となるよう、指導の本来の目的が達成されるよう改めてお願いいたします。
【厚生局】
引き続き、懇切丁寧な指導を心がけていきたいと考えております。また、弁護士帯同や録音については、事前にお申出いただければ弁護士帯同時の注意事項の説明や録音が必要な理由の確認を行い、認めているところです。
【九州ブロック】
以前に弁護士帯同に関して、弁護士は後ろに着席するよう位置まで指定されていたようなことがありましたが、現在はどうなっているのでしょうか。
【厚生局】
あくまでも帯同ということで、同席ではありませんので席は基本的には別にされているかと思います。
3.被指導者からの質問時間を指導の場で設けることについて。
(第3回懇談:2011年12月15日)
【九州ブロック】
個別指導時に医療機関からの質問時間を設けていただけないでしょうか。
【厚生局】
指導に関する質問であれば構いませんが、指導は限られた時間の中で行いますので、指導に関係ない事項については別途FAX等でご質問ください。
4.個別指導の結果の判断基準について。
(第7回懇談:2015年11月19日)
【九州ブロック】
「経過観察」や「再指導」等の個別指導結果の判断基準が明確に定められておらず、「再指導」は再度指導を行わなければ改善状況が判断できない場合であり、改善報告書等で改善状況が分かる程度のものは「経過観察」ということでしたが、より客観的な判断基準はないのでしょうか。また、指導結果の最終的な判断に際して、議事録等の文書は残していないとの回答でしたが、現在または今後、文書を作成して保存する予定はあるのでしょうか。
【厚生局】
指導結果の判断は、担当者だけではなく、所長・課長・指導技官・事務官も含めて組織として判断しております。議事録等の文書は保存しておりません。
<指導医療官>
5.指導医療官の採用基準について。(第3回懇談:2011年12月15日)
【九州ブロック】
指導医療官の採用基準は、①臨床経験を有していること、②社会保険、保険診療を正しく理解しており、そのための知識の習得や医学上の専門知識の向上に積極的であること、③指導医療官の職務を公平かつ適切に行い誠実に実行することが認められる方、④経歴や人物等指導医療官にふさわしいと認められる方という基準に沿って面接を行い採用しているとのことですが、九州各県の指導医療官及び保険指導医の採用・委嘱(募集・面接から採用・委嘱決定まで)は、九州厚生局が行うのでしょうか。それとも各県事務所が行うのでしょうか。
また、例えば、眼科の医療機関の個別指導の際は眼科の指導医が個別指導を行うなど、同じ診療科の指導医が個別指導を行うことができるよう、当該診療科の医師を保険指導医として委嘱しているのでしょうか。
【厚生局】
指導医療官については、募集・面接から委嘱まで、九州厚生局本局で行っております。また、保険指導医については、募集・面接までは各県事務所の方で行い、委嘱については九州厚生局の本局で行なっております。
保険指導医は、保険医療機関や保険医の指導とか監査関係業務を円滑に実施するために配置するものという定義になっております。もちろん眼科の保険医療機関の個別指導の際には、同じ診療科の先生が個別指導を行うことができるのが理想ですが、予算の制約やなり手がいないといった地域の実情もあり、全ての診療科ごとに委嘱できていないのが現状です。また、指導を行うにあたり当該診療科の医師が必要か否かの判断については、各県事務所での判断になります。
6.九州管内の常勤・非常勤の医師・歯科医師の充足状況と、指導医療官に対する研修内容について。(第6回懇談:2014年10月30日)
【九州ブロック】
指導医療官の確保が全国的にも非常に困難な状況だとお聞きしております。大学病院等から派遣するなどの対策も講じられておりますが、九州管内の常勤医師・歯科医師及び非常勤医師・歯科医師の充足状況と、指導医療官に対する研修制度があればどのようなことが行われているのかをお教えください。
【厚生局】
現在、佐賀県、宮崎県、鹿児島県で指導医療官が欠員になっております。欠員になっている県については、保険指導医を委嘱して円滑に指導できるよう努めているところです。引き続き指導医療官の確保に向けてホームページでの公募等の取り組みを行っています。
指導医療官の研修についてですが、まず、新任の指導医療官がいる場合は、毎年研修があります。また、東日本と西日本に分けて様々な判断に迷う案件を討議等する研修、隔年で本省主催の研修とブロックごとに行われる研修(本省主催の研修を行った翌年はブロックごとの研修というかたち)、あとは、九州管内の中で毎年1回指導医療官を集めての研修を行っています。
【九州ブロック】
佐賀県、宮崎県、鹿児島県で欠員があるということですけれども、募集にあたってのハードルが高いのでしょうか。それとも応募が無いのでしょうか。
【厚生局】
指導医療官は国家公務員になりますので、先生方からすると応募するに当たって、処遇面(給与、定年等)が一番のネックになっているものと考えられます。
【九州ブロック】
国家公務員は兼業禁止の規定があったと思いますが、兼業可にしてはいかがでしょうか。そうすれば、多様な人材が集まりそうな感じがします。
【厚生局】
若い先生が指導医療官になった場合は、条件付きで兼業を一部認められていますが、それ以外は兼業が認められておりません。
【九州ブロック】
2014年の懇談時にDPCⅠ群病院が指導医療官を派遣すれば診療報酬へ加算できる取扱いがありましたが、派遣している病院は私立の大学病院が多いのでしょうか。
【厚生局】
この当時は指導医療官を派遣すると若干加算がありましたが、現在はそのような取扱いがありません。
<選定時の類型区分>
7.集団的個別指導及び個別指導の選定における類型区分について。
(第10回懇談:2018年11月1日)
【九州ブロック】
歯科も医科同様、訪問診療を行っている医療機関は平均点数が高くなる傾向がありますが、一方で歯科は医科とは異なり、類型区分が「歯科」の一つだけです。従って、訪問診療を熱心に行っている医療機関は、結果として高点数で集団的個別指導の対象になってしまいます。地域包括ケアシステムにおいて在宅医療を推進しながら、訪問診療を熱心に行えば高点数で指導の対象になるということになれば本末転倒です。つきましては、歯科の類型区分について、訪問診療の有無を考慮するなど実態に則した区分を設けていただくよう本省に要望としてお伝えください。
【厚生局】
本省へはいただいたご要望を報告しております。本省でも検討していることは承知していますが、具体的な見直し策定には至っておりません。
【九州ブロック】
在宅医療での緊急時や夜間、休日の加算点数が高く設定されているのはありがたいのですが、さらに平均点数が高くなるため算定しづらいということもありますので、出来れば早く類型区分を設けていただき、例えば、訪問診療を何件以上行っている歯科医療機関は別枠で行うなどの対応をしていただきたいと思います。歯科の場合は、専門で訪問診療を行っているところは少なく、通常診療の傍らに訪問診療に行っているということでその分、点数も高くなります。また、コロナ禍で受診抑制もあって来院患者のレセプト件数が少なくなり、さらに訪問診療に行くとまたレセプト1件当たりの平均点数が高点数になるというジレンマもありますので、可能な限り早期に類型区分を設けるよう本省にお願いしたいと思います。
また、歯科も医科と同じように院内処方と院外処方がありますので、前回懇談でも要望したのですが、歯科についても平均点数算出時に点数の補正を設けていただきたいと思っております。
<その他>
【九州ブロック】
令和4年1月25日に厚労省保険局医療課医療指導監査室から各地方厚生(支)局宛に「令和4年度における指導監査等について」の事務連絡が発出されています。その中で、令和4年度の集団指導と集団的個別指導の実施形式は次のようになっております。
(1)集団指導(指定時、更新時、登録時)
実施する。なお、eラーニングによる実施を原則とするが、地域の実情に応じ集合形式での開催も可能とする。
(2)集団的個別指導
集合形式により実施する(感染状況により資料配布、動画配信も可)。
この実施形式(集合形式or動画配信など)に関して、九州管内につきましては、九州厚生局として管内の方針を決められるのでしょうか、もしくは各県事務所で判断するのでしょうか。
【厚生局】
集団的個別指導の実施形式については、本省事務連絡に基づき、原則、集合形式により実施することになりますが、感染状況により資料配布、動画配信も可とされています。
九州管内においては、各県事務所のみで判断するわけではなく、各県の感染状況について、厚生局と各県事務所で判断したうえで、実施形式を決めて指導を行っていくことになります。
第12回 九州厚生局と保団連九州ブロックの懇談会
2021年2月4日(木)第12回九州厚生局との懇談会・質疑応答まとめ
<質問事項>
1.2020年度における各種指導等の取扱いについて
【九州ブロック】各種指導等(集団指導、集団的個別指導、個別指導、適時調査等)の取扱いについて、九州厚生局管内において変更、統一したものがありましたらご教示ください。
【厚生局】各種指導については「指導大綱」や「実施要領」により実施すべきということから、取扱いを変更・統一したものはありませんが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、今年度は、次の通り取扱うこととしております。
①集団指導は実施するが、資料を配布した場合も指導を受けたものと見なす。
②集団的個別指導は中止する。
③個別指導は実施する。ただし、病院については、緊急を要する場合のみ、病院外で実施する。
④適時調査は中止する。ただし、緊急を要する場合は、病院外で実施する。
2.個別指導等が新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった場合の対応について
【九州ブロック】集団的個別指導に選定されることが、次年度以降の個別指導選定の目安になるルールですが、今年度の集団的個別指導の中止によって、今後の高点数による個別指導の選定のルールは、どのように変更されるのでしょうか。ルールを変更しないのであれば、2022年度は高点数による個別指導の選定は無い、という解釈でよろしいでしょうか。
【厚生局】指導大綱では、個別指導の選定基準として、「集団的個別指導を受けた保険医療機関等のうち、翌年度の実績においてもなお高点数保険医療機関等に該当するもの」と定められています。2020年度は集団的個別指導を実施していないため、2022年度の選定に当たってはこの基準による選定の対象となる保険医療機関等は無いものと考えます。
3.集団的個別指導の対象となる保険医療機関等の選定について
【九州ブロック】集団的個別指導の対象となる保険医療機関等の選定に際しては、2020年1月16日、厚労省保険局医療課長通知「保険医療機関等に係るデータの提供について(依頼)」の中の「都道府県別保険医療機関等平均値データの提供要領」(以下「提供要領」)に基づき、支払基金及び国保連合会からデータの提供を受けて、選定に使用する平均値一覧表データが作成されております。
その提供要領の中には、「別表7 処方箋コード」の項目があり、「2.処方箋を発行している保険医療機関」のコードがあります。
これは、平均値一覧の算出期間中(2019年4月~9月)において、1枚でも処方箋を発行したことがある場合は、「2.処方箋を発行している医療機関」に区分されるという意味なのでしょうか。それとも、例えば「概ね10枚以上の処方箋の発行がある場合」など、一定の目安となる基準等があるのでしょうか。
【厚生局】当該通知は、厚労省保険局医療課から支払基金及び国保連合会宛に通知されているものであり、当局では内容を把握していないため回答できません。
4.集団的個別指導及び個別指導の選定における類型区分について
【九州ブロック】前回の懇談において、在宅医療を行う医療機関は必然的に平均点数が上がることを鑑みて、診療科に関係なく「在宅医療を行う医療機関」の類型区分を設けることについて、「要望があったことは本省に伝える」とのことでしたが、その後、厚労省で議論されていますでしょうか。
【厚生局】ご要望があったことについては厚労省へ伝えておりますが、厚労省で議論がされているかについては把握していません。厚労省には関係各所より様々な意見や要望が出されており、各意見や要望に対する議論の有無等を1つ1つ確認するのは困難ですので、ご了承ください。
5.新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いと集団的個別指導について
【九州ブロック】新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いにより、重症・中等症の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関は、診療報酬の増額等の取扱いが設けられています。これにより、「高点数」を基準とする選定は、厚労省が指摘するように、①保険診療の内容や診療報酬請求の適切さを必ずしも直接反映するものではないこと、②対象となる保険医療機関等が固定化されてしまうことになります。これを機会に、「高点数」を選定基準とする集団的個別指導を廃止してはどうかと考えますがいかがでしょうか。
【厚生局】新型コロナウイルス感染症の影響も含め、平均点数による指標に対しては様々なご意見があることは承知しています。今回のようなご意見については、要望として引き続き厚労省に伝えたいと思います。なお、2021年度に関しては、高点数による個別指導は実施しないという方針が厚労省から出されています。
【九州ブロック】新たな選定基準ができるということでしょうか。それとも情報提供等による個別指導を優先するということになるのでしょうか。
【厚生局】基本的には、高点数により選定された保険医療機関以外の個別指導を実施するものと考えています。
【九州ブロック】個別指導の実施件数について、高点数により選定された保険医療機関に対する個別指導が無くなるということは、全体の件数も大幅に少なくなると理解して良いでしょうか。
【厚生局】間違いなく少なくなると思います。再指導や情報提供による個別指導等で、実施の目安となる全医療機関の4%の件数を超えることはないと思います。
6.高点数による個別指導の実施に係る基準について
【九州ブロック】「高点数」を理由として個別指導に選定された場合、県内で同じ「高点数」を理由として選定された保険医療機関の中で、実施の優先順位はどのように決定されているのでしょうか。例えば、平均点数が高い医療機関から先に実施するなどの基準はあるのでしょうか。
【厚生局】個別指導の実施にあたっては各県の諸事情があります。例えば、離島に所在する保険医療機関が選定された場合や、地域ごとに指導会場を設けて行っている場合等がありますので、一概には回答できません。
7.個別指導における持参物について
【九州ブロック】2020年3月6日厚労省保険局医療課長通知「2020年度に実施する特定共同指導等に係る取扱いについて」では、「保険医療機関等に準備を依頼する書類等」において、「特定共同指導」の「1.医科(病院)」、「2.歯科(病院又は病院歯科)」及び「共同指導」の「1.医科(病院)」の箇所で、昨年度「届出事項関係書類(施設基準にあっては、直近1年間において算定している項目に有効な届出等の写し)」とされていた記載が、「施設基準の要件を満たしていることが確認できる書類(別途連絡する施設基準)」と変更されていますが、
①病院における個別指導においても、同様の取扱いに変更となるのでしょうか。
②医療機関ごとに、「別途連絡する施設基準」は異なるということでしょうか。
③どのような基準により「別途連絡する施設基準」が指定されるのでしょうか。
【厚生局】
①病院における個別指導においても原則として同様の取扱いです。
②届出している施設基準の種類が医療機関ごとに異なることから、別途連絡する施設基準は異なります。
③医科については、厚労省のホームページに掲載の『適時調査実施要領等』でも公開されているとおり、「重点的に調査を行う施設基準」に準じて指定します。ただし、各県事務所等において必要と認める場合には、それ以外の施設基準についても確認することがあります。
歯科及び薬局については、指導対象となった保険医療機関等が届出している施設基準のうち、確認が必要と認められたものを指定します。
8.指導対象の新選定指標策定の検討状況について
【九州ブロック】2019年3月に、「保険医療機関等の指導に関する新選定指標策定に係る調査に関する報告」が取りまとめられており、前回の懇談では、2018年度の基礎的調査を踏まえて2019年度は本格的に都道府県での個別指導データベースの構築を図るとのことでしたが、その後の新選定指標策定の進捗状況について、お教えください。
【厚生局】厚労省に確認したところ、現在、構築したデータベースを用いて、新選定指標策定にかかるデータの調査・分析を行っているということでした。
9.事務官に対する研修について
【九州ブロック】2016年、2017年の懇談時に、貴局より「指導医療官による評価の標準化について、九州厚生局では年に1~2度、各県の指導医療官を一同に集め、会議等も行い、指摘事項等の標準化に取り組んでいる」「九州厚生局が開催する研修では指導医療官の参加は強制である」と回答をいただきました。このことについて、
①上記の研修会には、事務官も参加されているのでしょうか。
②参加されている場合、指導医療官と同様に強制参加でしょうか。
③参加されていない場合、事務官を対象とした研修会は別途開かれているのでしょうか。
【厚生局】指導医療官を対象とした会議(研修会)のため、各県厚生局事務所等の事務官は出席していません。
指導を担当する事務官のみを対象とした研修についても別途実施はしていません。指導等を行う際に事務官にとって必要な情報については、通知や事務連絡、実施要領等で示されています。また、必要な情報等は、メールでも随時発信しています。
【九州ブロック】指導医療官への研修について、例えば、定期的に臨床の現場を視察しながら、実務や臨床的な部分についての研修が行われていたりするのでしょうか。
【厚生局】少なくとも九州では臨床的な研修は行っていません。算定要件や指導の仕方等で疑義があるものを持ち寄ったり、他県ではどのように指導を行っているかを共有したり、九州管内で共通認識を持つことができるよう、研修会を行っています。
<要望事項>
1.診療報酬関連の質問に対する回答について
【九州ブロック】九州管内各県事務所への診療報酬請求関連のFAXでの質問については、電話での回答のみではなく、質問者が希望した場合には文書での回答をいただけないでしょうか。
【厚生局】各県事務所等への診療報酬関連の照会は、例年、相当数が寄せられています。各県事務所等においては、早期の回答を行えるよう取り組んでいます。文書で回答するとなると、その分、職員の負担も増え、結果として照会に対する回答が遅くなることが懸念されるため、口頭により回答しています。
2.集団指導及び集団的個別指導の実施について
【九州ブロック】各種集団指導(保険医療機関の新規指定時・指定更新時、診療報酬改定時等)及び集団的個別指導の実施について、九州管内では、平日の昼間の時間帯に実施している県が大半です。
しかし、平日の昼間の時間帯は、多くの医療機関は患者の診療を行っている時間帯であり、平日の昼間に集団指導又は集団的個別指導を受けるためには、その時間帯は医療機関を休診にせざるを得ず、患者への診療に少なからず支障が出ているのが現状です。
特に、指導会場から遠いところに所在する医療機関の場合は、指導を受けるためには、代診を立てる、あるいは終日休診とせざるを得ないケースもあり、患者への診療に支障が出るだけではなく、医療機関の経営面にも多大な損害が生じます。
つきましては、集団指導及び集団的個別指導については、下記の方法で実施していただけないでしょうか。
①原則、平日の夜間に開催していただけないでしょうか。
②出席方法については、現地(指導会場)での出席に加え、遠方に所在する医療機関のことを考慮して、WEBを活用した出席も可としていただけないでしょうか。
【厚生局】
①集団指導、集団的個別指導については、各県の状況に応じて、平日の夜間に実施している県もあることは把握しています。平日夜間に開催してほしいという要望は各県事務所に伝えますが、実際の指導日時、場所については、各県事務所が諸事情を勘案し、決定することになります。
②WEBを活用した出席に関するご要望ですが、九州厚生局独自での取扱いができません。ご要望があったことを厚労省に伝えます。
【九州ブロック】指定更新時の集団指導について、今年度はCD-Rが郵送されてきて、視聴することで指定更新時の集団指導を受けたこととするという案内があったと聞きました。指定更新時の集団指導について、九州管内では、通常はどのような形で行われているのでしょうか。
【厚生局】九州管内では、基本的には指導会場に集まってもらって集団指導をするということにしておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、今回の指定更新時に関してはCD-Rを送付し、視聴していただく方法で統一しています。もし何らかの理由で視聴ができない場合には、資料の郵送にも対応しています。
3.平均点数の算出における歯科での補正について
【九州ブロック】医科の平均点数は院内処方と院外処方の医療機関で補正されておりますが、歯科は、補正が設けられておりません。例えば、口腔カンジダ病で処方する薬剤の中には一週間分の処方で1,000点を超えるものもあり、院内処方と院外処方の歯科医療機関では差が生じます。平均点数を算出する際、歯科でも医科のように補正していただくよう、本省に要望していただけないでしょうか。
【厚生局】ご要望があったことを厚労省に伝えます。
4.個別指導結果通知の早期発出について
【九州ブロック】個別指導を受けた保険医療機関は、指導結果が送られてくるまでの間、不安で落ち着かない状態の中、患者の診療を行いながら日々を過ごすことになります。
実際に、個別指導を受けた医師から「個別指導を受けてから2カ月以上経つが、まだ個別指導の結果通知が来ない。もしかしたら何か問題でもあったのだろうか」といった相談が寄せられることもしばしばあります。
やむを得ないケースもあるとは思いますが、それ以外の場合は可能な限り早期に発出していただきますようお願いいたします。
【厚生局】各県事務所には、原則、指導結果通知は指導日の1カ月後ぐらいまでに発出するよう周知しているところですが、各県事務所の諸事情によって遅れているものがあることは把握しています。今後も、指導結果通知の早期発出について各県事務所に周知していきます。
5.個別指導における指摘事項等について
【九州ブロック】個別指導の結果通知と一緒に送られてくる「個別指導における指摘事項等」について、個別指導の場では実際に指摘を受けていない事項等が、「個別指導における指摘事項等」として記載されていることがあります。
個別指導の場で実際に指摘し、医療機関から当該指摘事項に対する説明や意見を聴取していない事項等については、「個別指導における指摘事項等」の中に記載しないよう、各県事務所に周知していただきたいと思います。
【厚生局】「個別指導における指摘事項等」につきましては、各県事務所等が個別指導の場で実際に指摘を行った内容について記載していると理解しております。結果通知の指摘事項に関することを含め、今後とも適正に個別指導を実施するよう各県事務所等には、周知していきたいと思います。
6.個別指導における全ての対象患者名(30人分)を早期に通知することについて
【九州ブロック】指導前日における医療機関の多大な準備負担を軽減する目的で、個別指導における全ての対象患者名(30人分)を早期に通知することを、前回の懇談に引き続いて要望いたします。改めて本省への働き掛けをお願いいたします。
7.各県の保険医協会と貴局との懇談について
【九州ブロック】前回の懇談においては、「(各県の保険医協会と)各県事務所との懇談はご遠慮いただき、意見は当局との懇談で伺いたい」とのことでした。
それでは、各県での個別案件について懇談の要望があった場合には、各県の保険医協会と貴局との懇談を実施していただけますか。
【厚生局】意見や要望、要請的な事項に関しては、九州厚生局として統一的かつ効率的な対応をすべきであるという認識の下で、この懇談会の場で、個別案件も含めて意見交換しているものと考えています。保険診療等に関する個別の質問等については、これまで通り各県事務所で適切に対応していきます。
【九州ブロック】保険診療上のことで個別案件があり、どうしても各県事務所とのやりとりが困難な場合には、貴局へ個別に懇談を申し入れてもよいでしょうか。
【厚生局】まずは一度、各県事務所へご連絡いただいて、その案件の内容によっては当局で対応することもあろうかと思います。それが個別的なものか、特異的なものなのか、九州として統一して回答すべきものなのかにもよります。
<その他>
1.柔道整復師に対する指導について
【九州ブロック】過去の懇談で柔道整復師に対する指導は行われていると回答されていますが、柔道整復師に対する集団指導や個別指導等は現在も行われているのでしょうか。
【厚生局】柔道整復師に関しても、保険医療機関、保険医と同様の形で、新規であれば集団指導を行っています。問題があるところについては個別指導、不正が疑われるという場合には監査を行って、施術に係る療養費の受領委任の中止という措置を取っています。なお、現在はコロナ禍のため、保険医療機関と同様に、集団指導は会場に集めて実施することはできず、個別指導についても本当に必要な個別指導だけを行っている状況です。
2.社保と国保の審査の差異について
【九州ブロック】過去の懇談の中で、社保と国保の審査に違いがあることについて要望を申し上げてきましたが、最近でも審査格差があると感じています。現在、厚労省の主導により、「審査支払機能の在り方に関する検討会」も定期的に開かれていますが、審査結果の不合理な差異の解消について、進捗状況等がもし分かれば教えてください。
【厚生局】進捗状況等については当局では把握しておりません。
【九州ブロック】差異の解消に向けてスピード感をもってやっていただきたいということを要望として上げていただければと思います。
3.レセプト記載要領のコード化について
【九州ブロック】2020年10月診療分(11月審査分)から始まったレセプト記載要領のコード化の問題について、事務の簡素化が目的とのことでしたが、実際には事務作業が非常に煩雑になり、事務職員は休憩時間を削ってコードを入力しているような状況です。このコロナ禍で、診療報酬改定時の説明会(集団指導)も十分に行われなかったこともあるため、このコード化をしばらくは凍結していただきたいという要望を厚労省に上げていただけないでしょうか。
【厚生局】内容を確認し、厚労省にはご意見がこの場であったことは伝えます。
4.コロナ禍における指導について
【九州ブロック】現在、個別指導の現場でも、フェイスシールドやエリア分け等、感染対策を行いながら指導していただいているようですが、机の間隔が十分に空いていないなどのケースもあるため、被指導者からは、指導会場での感染リスクに対する不安の声が少なからず寄せられています。よって、このコロナ禍においては、指導会場で行ういかなる指導も中止していただければと考えています。特に共同指導となると厚労省の指導医療官が現地に来て指導が行われます。感染拡大防止の観点から、共同指導等は特に中止もしくは延期していただければという要望です。
【厚生局】この場でご要望があったことはお受けしますが、厚労省から2020年度、2021年度の指導の方針が出されますので、それに従って今後、業務を行っていきます。感染対策をしっかりしながら、必要な指導は行っていきたいと考えております。
5.各厚生局管内での保険医の異動に伴う保険医登録の変更届について
【厚生局】保険医の登録をしている先生方で、例えば県を越えて異動する場合は、その旨の変更届を当該保険医から異動前の県事務所に出していただくことが今まで必要でした。今後は、九州管内であれば九州厚生局長として保険医登録を受理しているため、九州管内での異動については変更届が不要となります(編注:2021年2月10日に改正省令が公布・施行)。
例えば、福岡県で最初に保険医登録された先生は、「福医」や「福歯」の保険医登録票をお持ちです。仮に今後、佐賀に異動したとしても変更届は不要のため、その先生は佐賀に異動しても「福医」「福歯」の登録票を使っていただきます。
ただし、各厚生局間の異動(九州から関東へ異動する等)であれば、これまで通り変更届が必要です。
第11回 九州厚生局と保団連九州ブロックの懇談会
2019年12月5日(木)第11回 九州厚生局との懇談会・質疑応答まとめ
1.2019年度の指導などの変更点
【九州ブロック】貴局からはこの間、指導などにおいて標準化・平準化を進める旨のお話がありました。今年度の個別指導、適時調査などの実施要領での変更点があればご教示ください。
【厚生局】今年度の指導の実施要領において、変更点はありません。なお、各県の事務所が個別指導時に求める持参物や、編綴資料の様式などに差異が認められたものは、今年度、九州管内で原則統一しています。ただし、各保険医療機関の診療形態に応じて、必要な書類を追加して求める場合もありますので、ご理解をいただきたいと思います。
2.集団的個別指導および個別指導の選定における類型区分について
【九州ブロック】内科には「在宅療養支援診療所」の類型区分がありますが、歯科および外科では同類型区分が無く、在宅医療への取り組みの有無で平均点数に差が生じます。指導大綱が施行された当時からすると、医療提供体制や医療機能の細分化が進み、標榜科による類型や指導対象医療機関の選定が困難になっていることは明らかです。在宅医療を行う医療機関は必然的に平均点数が上がることに鑑み、診療科に関係なく「在宅医療を行う医療機関」の類型区分を設けていただけないでしょうか。
【厚生局】集団的個別指導および個別指導の選定での類型区分は「指導大綱関係実施要領」で定められています。また内科における「在宅療養支援診療所」の区分は毎年発出される厚生労働省(以下「本省」)医療指導監査室長事務連絡で定められています。選定での類型区分は、当局独自で変更することはできません。ご要望があったことは本省に伝えます。
【九州ブロック】例えば、主な診療区分を外科から内科に変更したい場合などは、診療科に関わる届出用紙の先頭に書く診療科を変更すれば、自院の類型区分は変更可能なのでしょうか。
【厚生局】主な診療区分については、メインで行われている診療科を届出いただいていると思います。診療科に関わる届出用紙の先頭に書く診療科を変更すれば、類型区分の変更は物理的には可能ですが、外科をメインに診療している場合は外科を主な診療区分とするなど、実態に即した届出が望ましいと思います。
3.個別指導の選定について
【九州ブロック】いわゆる「5年サイクル」(高点数の医療機関が5年に1度、個別指導に選定されるサイクル)が継続される選定の仕組みの見直しについて、本省や貴局における議論は行われているのでしょうか。
【厚生局】個別指導や集団的個別指導の選定は、現在、指導大綱などに基づいて実施しています。当局独自で仕組みを見直すことはできません。本省も、選定について様々なご意見があることは承知しています。ご要望があったことは本省に伝えます。
4.個別指導時の持参物について
【九州ブロック】歯科での個別指導通知にある事前提出書類「保険医療機関(歯科)の概要」の中で、自費診療の「月平均人数、月平均金額」との項目がありますが、保険診療と直接関係がない自費診療の人数や金額の記載を求められることに違和感があります。報告はなぜ求めるのでしょうか。医科ではそのような記載はありません。
【厚生局】「保険給付外治療の取扱い」という留意事項通知には、保険給付外の材料などによる歯冠修復および欠損補綴については、歯科治療の特殊性に鑑み、歯冠修復にあっては歯冠形成以降、欠損補綴にあっては補綴時診断以降を保険給付外の扱いとすると明記されています。歯科では、保険診療として開始された治療が途中から自費診療に移行するケースが多々ありますので、その場合の診療録の記載内容は、個別指導における確認の対象になります。近年では、本省が公表している監査などの事例を見ると、全国的にも保険給付外の補綴物を保険請求している事例もあります。当局としては、保険診療と自費診療をどの程度実施しているか、あくまでも参考として記載を求めていますので、ご理解いただきたいと思います。なお、医科についても、自費診療をしている医療機関には、必要に応じてその内容を確認しています。
【九州ブロック】参考ということであれば、大まかな人数や金額を記載すればよいのですか。
【厚生局】直近3カ月程度で算出した概算で結構です。
5.個別指導時に持参物が不足している場合の取扱いについて
【九州ブロック】2018年9月に本省医療指導監査室から出された『医療指導監査業務等実施要領(指導編)平成30年9月版』(以下「要領(指導編)」)の文言中に「持参していないことにより指導に支障が生じる場合は……、取りに行かせるか又は従業者に持参させるなどの臨機応変な対応を行う」との記述があります。個別指導時に持参物が不足している場合は、上記のような対応がされ、「持参物が不足していることを理由に指導を中断することは無い」との理解でよいでしょうか。併せて、持参物の不備で多い帳票類を教えてください。
【厚生局】持参物が不足していて指導に支障をきたす場合には、各県事務所は実施要領に従い、取りに行かせるか、または従業員に持参させるなどの対応を行っています。ただし、指導時間中に持参が間に合わず、そのことにより指導の目的を果たせないケースでは指導を中断することもありますので、ご理解いただきたいと思います。なお、持参物の不備が多い帳票類は様々です。持参物で不明な点があれば、事前に各県事務所にご相談ください。
【九州ブロック】私たち医療機関にとって、持参物の準備は非常に大変であるということをご理解いただければと思います。持参物が不足している場合は、状況に応じて、後日郵送でも可としていただければ、被指導者も安心して指導を受けられるのではないかと思います。
6.個別指導の「結果通知・指摘事項」の発出について
【九州ブロック】個別指導後の「結果通知・指摘事項」の発出は、従前より、指導日から1カ月以内の発出を遵守するよう各県事務所への周知を要望し、貴局からは「発出までに2カ月を超えている場合は長過ぎると思う」との回答をいただいています。しかし、福岡県の「新規個別指導結果通知」において、2018年10月から2019年3月に実施された74件中29件が60日を超えて発出され、中には半年を超えたケースが存在しました。また長崎県では、2017年度までは1カ月以内に発出されていましたが、2018年度は4カ月を要しているケースもありました。発出までの期間が長期化されている傾向が見られますが、なぜでしょうか。
【厚生局】結果通知は、指導後概ね1カ月以内、遅くとも2カ月以内には発出するよう各県事務所に周知していますが、各県事務所の諸事情により遅れるケースがあることも把握しています。今後とも、指導結果通知の早期発出については各県事務所に周知していきます。なお、算定の可否や自主返還を求めるか否か等について、当局、場合によっては本省に確認した上で判断することが稀にあります。そういうケースでは何カ月か遅れることがありますので、ご理解いただきたいと思います。
【九州ブロック】指導を受けた保険医療機関は、結果が出るまで不安で落ち着かない状況を過ごしています。やむを得ないケースもあると思いますが、早期発出のご尽力をお願いいたします。
7.個別指導後の措置の判定について
【九州ブロック】2018年3月22日付事務連絡『個別指導後の措置の判定に関する留意事項について』が、本省医療指導監査室長より発出されていますが、措置判定の判断基準について、抽象的な表現となっています。例えば、「概ね妥当」の判断基準として「返還事項が軽微である」と書かれていますが、どの程度の返還事項であれば軽微と判断されるのか、また、「経過観察」や「再指導」の判断基準の中で、「内容が重大」「重大な問題」と書かれていますが、重大か否かを判断するポイントは何かなど、具体的にどのような点をもとに判断されているのでしょうか。
【厚生局】単に指摘事項の数だけでは判断していません。指摘事項が重要な項目である場合や、広がりがある場合などについては、確認された事項を総合的に勘案して判断していることをご理解いただきたいと思います。例えば、医学管理の各管理料には、指導内容の要点をカルテに記載する、患者に渡した文書の写しをカルテに貼付するなど、色々な算定要件がありますが、全くカルテ記載をしていない、あるいは算定項目しか記載していないような事例が多岐にわたる場合は、非常に「重大」だと判断しています。また、ほとんどの事例できちんと記載されているけれども、たまたま1件のみ記載されていなかったなどの場合は「軽微」と判断しています。
8.個別指導後の措置の中の「経過観察」について
【九州ブロック】個別指導後の措置の中の「経過観察」について、指導大綱では、「経過観察の結果、改善が認められないときは、当該保険医療機関などに対して再指導を行う」と示されています。また「要領(指導編)」には、「改善報告書受理後、数か月の間、レセプト又はその他必要に応じ保険医療機関などから提出を求める書類により改善状況を確認し」と示されています。「経過観察」と通知された会員から、どのような事項を改めて観察されるのかを不安視する声がよく寄せられます。次の①~④の取扱いについて具体的にご教示ください。①レセプトは、支払基金と国保連合会の双方の分を確認されているのでしょうか。②レセプトは、毎月確認されるのでしょうか。また、確認する件数は1月あたり何件でしょうか。③確認は「改善報告書受理後、数か月の間」と示されていますが、その期間は何カ月でしょうか。④「その他必要に応じ保険医療機関などから提出を求める書類」の具体例および確認方法をご教示ください。
【厚生局】①~③については、それぞれの保険医療機関の指導結果の内容に応じて改善状況を確認するので、レセプトの確認期間や確認件数などはケースバイケースとなるため、一律の回答はできません。④については、例えば、診療情報提供書や患者への提供文書などで、要件を満たさない様式を使っていた場合は、後で修正後のものを提出いただき、確認するケースがあります。なお、提出は基本的に郵送で構いません。
9.院外処方・院内処方の格差調整のための「補正点数」の公表について
【九州ブロック】2016年の貴局との懇談で、院内処方と院外処方の格差を調整する補正点数の一覧表について、東北や東海北陸、近畿など、他の厚生局では開示されているところもあるため、貴局においても開示していただきたい旨を要望し、「要望として承る」との回答をいただいています。補正点数の開示は可能でしょうか。
【厚生局】指導対象の選定についての基本データは、各県事務所で独自に作成しているわけではなく、例えば医科であれば、診療科ごとの類型区分と、院内処方と院外処方の格差を補正したデータが本省から送られてきます。このデータに基づいて保険医療機関の選定を行っているため、院内処方と院外処方の格差を補正する点数の一覧自体を各県事務所で独自に作成する必要は無いと考えています。2017年度からは、九州厚生局のホームページに補正後の診療科別平均点数一覧表を掲載しています。併せて、保険医療機関の開設者、管理者から、自院の平均点数に関する問い合わせがあった場合には、補正後の平均点数を回答する対応を各県事務所で行っています。以上のことを考えると、2016年の時点では補正点数の開示によって自院の平均点数の位置を知りたいというご要望があったと思いますが、そのご要望には既に応えていると考えています。
【九州ブロック】現在、東北と近畿では、集団的個別指導を受ける保険医療機関に対して、医療保険一般分、後期高齢者分それぞれにおける院内処方と院外処方の格差を調整する補正点数が記載された診療科別平均点数一覧表が開示されています。自院の平均点数の位置だけではなく、補正点数の一覧表から見えてくる新たな事実もあると考えますので、補正点数表の作成について検討していただければと思います。
10.指導対象の新選定指標策定の検討状況について
【九州ブロック】2019年3月に、歯科について「保険医療機関等の指導に関する新選定指標策定に係る調査分析に関する報告書(注)」が取りまとめられていますが、その後の新選定指標策定の進捗状況についてご教示ください。
(注)高点数による選定は、診療内容の適切さ等(指導の必要性)を直接反映するものではなく、指導対象となる医療機関が固定化されてしまうという問題もあることから、新選定指標の策定に向けて、現在の選定基準による指導結果を検証するためのデータベース構築や調査分析を行った結果に関する報告書。
【厚生局】これは本省が対応しているものです。本省に確認したところ、昨年度の基礎的調査を踏まえて、今年度は本格的に都道府県での個別指導データベースの構築を図るとのことです。
【九州ブロック】医科と歯科で進捗状況が若干異なり、医科ではこれから調査を行うということですが、歯科では既に調査結果が公開されています。本省の会議などで、調査結果を踏まえた上で新しい選定方法の具体案が挙がったことはありましたか。
【厚生局】今のところはまだ、データベース構築の段階と聞いていますので、新しい選定方法の具体案が出されるのはまだ先だと思います。
11.歯科施設基準研修会資料の事前提出について
【九州ブロック】前回の診療報酬改定後に行った懇談において、貴局より「歯科の施設基準のために貴会(協会)が開催した研修会について内容が不十分な事例があった。研修会の開催においては事前に資料を提出いただきたい」との説明がありました。この扱いをしているのは、全国の厚生局の中でも貴局のみのようですが、今後も研修会の開催前に事前に資料を提出し、内容について了解を得る必要があるのでしょうか。
【厚生局】研修内容や資料が十分なものであれば、事前提出を義務づけるものではありません。医療関係団体主催の研修だからといって、全てが施設基準に対応する研修会として認められるという訳ではないということです。内容が充実した研修会を開催していただきたいと考えています。
12.指導は行政手続法に基づいて実施するよう徹底してください
【九州ブロック】指導は行政手続法に基づいて実施するよう徹底してください。また、前回の懇談の際、「個別指導などの各種指導は、特別法である健康保険法の規定に基づくものであり、健康保険法に定めのない事項については行政手続法が適用されますが、一般法である行政手続法に優先して実施されるものとなります」との説明がありましたが、本省が根拠として示しているものがあるのでしょうか。
【厚生局】昨年の懇談で、行政手続法は一般法ですので、特別法である健康保険法を優先して指導を実施するとお答えしています。個別指導などの各種指導については、健康保険法の第73条などに規定されており、具体的な取扱いについては、指導大綱、指導大綱関係実施要領などに定められています。また、行政手続法第1条「目的など」の第2項に「この法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる」と規定されていることから、個別指導などの各種指導については、一般法である行政手続法に優先し、特別法である健康保険法の規定に基づいて実施されるものと考えています。
【九州ブロック】健康保険法の中で『行政手続法の規定は適用しない』と定められているのは、同第39条「(被保険者の)資格の得喪の確認」の箇所だけであり、同第73条「厚労大臣の指導(個別指導等)」の箇所には『行政手続法の規定は適用しない』との定めはありません。よって、個別指導等の各種指導については行政手続法の適用を受けると考えていますが、いかがでしょうか。
【厚生局】当局は政策の実施機関ですので、法律を議論する立場にはないと考えています。
【要望事項】
1.個別指導対象患者名の早期通知について
【九州ブロック】個別指導の対象患者名の通知は、2016年度より1週間前に20人分、前日に10人分とされましたが、前日の通知では、持参物の準備に相当な時間を要し、中には診療時間を割いたり、従業員の時間外労働や、医師が徹夜をしないと間に合わない場合もあります。全ての対象患者名を早期に通知いただけるよう、引き続き本省への働きかけをお願いします。
【厚生局】ご要望があったことは、本省にお伝えしています。本省としては、当面は現在の運用により個別指導を進めたいと考えており、今後も引き続き、個別指導の効果的かつ効率的な運営のために必要な検討を行う、とのことです。
2.集団的個別指導などの実施日時について
【九州ブロック】集団的個別指導などの実施日時について、地域医療への影響などを考慮し、2016年、2017年の懇談の際に「夜間開催」を要望し、要望として承る旨をご回答いただいています。集団的個別指導などにおける指導日時について、夜間開催を制限する記載はなく、実際に「平日夜間」に実施されている県もあります。九州管内の全ての事務所が平日夜間に開催するよう改めて要望いたします。
【厚生局】ご要望があったことは、各県事務所にお伝えしています。実際の指導の日時や場所については、会場や被指導者の状況など諸事情を勘案して各県事務所が決定していますので、ご理解をお願いします。
3.県事務所との懇談について
【九州ブロック】各保険医協会においては、指導に関する講習会などを行い、保険診療のルールの徹底やカルテ記載の充実などを会員に周知し、微力ながら保険診療の充実を目標に取り組んでいます。各県事務所と各県の保険医協会との懇談の要望があった場合には、実施できるようご尽力をお願いします。
【厚生局】当局が設置される以前に各県で差異があった指導などの取扱いを、現在、九州管内で統一している状況です。各県でそれぞれ懇談が行われると、再び指導などの取扱いに差異が生じるおそれがあります。そのため、各県事務所との懇談はご遠慮いただいています。ご意見は当局との懇談で伺いたいと思います。
4.開示文書について
【九州ブロック】貴局から開示された文書の中には、文字が不鮮明で判読し難い文書が少なからず見受けられます。容易に判読できる状態で開示してください。
【厚生局】元々がカラーで作成されている資料を紙に印刷して開示した場合、判読が困難になることがあります。私たちも容易に判読できる状態で開示できるように努めてまいります。また、紙ではなく、データでの資料提供も可能です。
【九州ブロック】データで提供いただけるということですが、その際の申請方法は通常の行政文書の開示請求手続きでよろしいですか。
【厚生局】通常の手続きで結構です。