●歯科医師法の勉強会

歯科医師法の勉強会のご紹介

 

福岡県歯科保険医協会では、2002年に起こった札幌市立病院の歯科医師による医科研修問題を受けて、現行の歯科医師法に疑問を持ち、2005年より歯科医師法の勉強会を開催してきました。
学習を進めるにつれ、現行の歯科医師法には問題や矛盾が多く、改正の必要があることを参加者一同強く感じるようになりました。
このページでは、これまで歯科医師法の勉強会の活動や、勉強会の中で議論してきた内容、現在の到達点等を掲載し、多くの皆様に歯科医師法について今一度考える機会を提供できたらと考えております。
歯科医師法の勉強会では、様々な方からのご意見を幅広く募集しております。何か疑問やご意見などがございましたら、お気軽に事務局までお問い合わせください。

 ●歯科医師法を変えよう

ごあいさつ
「歯科医師法の勉強会」は毎月1回開催し、2016年9月で123回目を迎えました。現在の代表世話人は浦川修です。第1回から100回目まで代表世話人を務めた横田晟の期間を一つの区切りとして、この間に発表した原稿及び口演録をまとめました。皆様の御意見ご提案を賜りたく存じます。
 

《歯科医業は医師法に抵触している》
=行政の御目こぼしに頼らない法律にしよう=
(2016年9月28日 横田 晟 記)

 
はじめに
「歯科医師法の勉強会」は現行「歯科医師法」に疑問を持ち、勉強会を重ねた。主たる疑問である歯科医師法第17条「歯科医師でない者の歯科医業の禁止」を検討し改正案を提示、法第17条の改正に伴って影響を受ける条項「法第9条・歯科医師国家試験」等にも検討を加えた。
「歯科医師法」を21世紀に相応しい法律にするため、道半ばの一区切り100回目の時点で到達した「改正」の具体案を、ここに提示した。
 
現行法の疑問点
医師法第17条「医師でなければ、医業をなしてはならない。」歯科医師法第17条「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。」
以上の法律は「医業」と「歯科医業」を峻別しているから、歯科医師は「医業」をなしてはならないし、医師は「歯科医業」をなしてはならないはずだ。
 
「医業」の定義について厚労省は「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為(医行為)であり、これらの行為を反覆継続すること」としている。「歯科医業」の定義も同様であるとの見解もあるが、法的根拠が見当たらない。歯科医師法から推察すると「歯科医業」の範囲は「齲蝕の充填、歯の欠損補綴、歯科矯正」だけだ。
 
「医業」ではない「歯科医業」は患者の身体的精神的な面に侵襲を加えることはできないはずだ。
ところが、歯科医業は人体に侵襲を加える行為を日常的になしているが医師法違反に問われない。この矛盾を繕うために厚生省(当時)は昭和24年「歯科医業の一部は医業に該当する。」趣旨の局長通知を出している。
局長通知を踏襲したと思われる記載がある。中央法規出版社「医療政策六法」歯科医師法の概要には「歯科医業の一部と医業の一部は重なり合っていると考えられるので、医師が医業として行うことができる領域がある。」とある。
 
この局長通知は法律を解釈変更したもので、「歯科医業は医師法に違反している」或るいは「歯科医師は医業の一部をなして良い」とも受け取れて、かえって混乱を招く。
 
「医業」と「歯科医業」との定義自体に混乱があるならば、「歯科医業」の定義を明確化するためにも法段階のグレード順位を上げて法律で規定すべきだ。厚労省の通知・通達ではダメだ、まして法段階最下位の局長通知で済むほど軽くは無いはずだ。
 
厚生労働省令「歯科医師臨床研修の基本理念」には「歯科医師は患者の身体的精神的な面の負傷又は疾病を治療し、」と記しているからには歯科医業は医業であると見做すべきだ。
 
「歯科医療が医業であろうとなかろうと、人々の口腔の健康を守っており、何ら不自由はない」との意見も存在する。原因は行政の御目こぼしに気づいていないからだ
云うまでもなく歯科医業は世の中に不可欠な職業だ。患者・国民の利益のため安全に安心して歯科医療を受けられるよう患者・国民が法律で守られることが重要だ。そのために歯科医業は法律に則って行われていることを自覚したい。
 
法律は罪の内容と刑罰を明確に規定し(罪刑法定主義規定)、誰が見ても容易に分かるものでなければならない。
行政が通知で決めることはあってはならないのではないか。憲法は第31条「何人も、法律の定める手続に拠らなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」としている。
 
「歯科医師法」を21世紀に相応しい法律にするため、我々が提案した「改正案」の実現に向けて政府・国民及び医療関係者の皆様にご支援をお願いしたい。

 
 

 ●歯科医師法に関する医科会員アンケート調査結果について

 福岡県歯科保険医協会では、学習を進めていく中で、現在の歯科医師法は古く、現状にそぐわないため、歯科医師法を改正する必要があるとの認識に至りました。
 歯科医師法を改正することは、医師法にも影響を与えることが考えられますので、医科の先生方が現在の歯科医師法や歯科医業について、どのようなご認識をお持ちなのか、意識調査を行いました。
 調査はアンケート形式により、2018年4月1日~30日、九州ブロックの医科会員の先生方を対象に、10パーセントの無作為抽出により無記名にて行いました。
 調査結果がまとまりましたので、下記に掲載させていただきます。
 この調査に関して、また、歯科医師法の勉強会についてなど、ご意見等ございましたらお気軽に協会事務局までご連絡ください。

 

 
 

福岡県歯科保険医協会

  • ・ふくおか女性歯科医師の会
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