福岡県歯科保険医協会タイトル

 ●政策部解説

来年10月から、もしかしたら上がるかもしれない消費税10%

政策部解説vol.109 2018.12 

  •  先月号の続きです。消費税の医療機関への影響は大きいです。再度、消費税とは、どういうものかを私的解釈で申し上げますと、「保険での診療報酬に消費税を上乗せ出来ない。だから、仕入れされた医療材料に課せられた消費税は、医療を受けた患者さんには転嫁できない。換言すれば、仕入れに関わる材料(金属、薬、印象材、石こうなど)、技工料金の消費税は医療機関がカブること。」そもそも消費税は、駅伝のタスキ渡しシステムのように、最終消費者が支払うことなのですが、医療にはこの原則が通じません。例外なのです。
  •  消費税非課税は、「売る」(医療の場合は診療行為)場合に消費税を課さない。仕入れの時には消費税を払う。それだけなのです。出るときには消費税を掛けて売れない。仕入れの時に払い転嫁出来ない消費税のことを「損税」といいます。
  •  保団連での主張での「ゼロ税率」とは、仕入れの時には消費税の負担がない。単にそれだけです。社会保険医療が非課税(売る時は、消費税を掛けられない)だから、せめて入る(仕入れ)時の消費税は掛けないで欲しい。そう言っています。
  • さて、2018年6月25日号の「月刊保団連」によると一医療機関の損税は2.31%。ただし、高額な医療機器を購入すると、この数値は上がると思われます。それに、10%の消費税率になれば益々損税は大きくなることは明白です。消費税が5%の時、損税全体では9000億円を超えていると言われていますが、単純計算で10%になれば1兆8000億円を越える損税になります。当然、それは主に国の懐に行くので、国はこれだけの税金をアテにしています。
  •  ところがそれと対照的なのが輸出企業です。輸出還付金制度で輸出企業には消費税分が還付されます。5%の時に3兆円の還付金があったので、これも10%では6兆円になり、消費税が上がれば上がるだけ「儲かる」ことになります。消費税が損税で苦しむ医療機関と消費税で儲ける輸出大企業の現実を思うと、不公平感が感じられます。消費税収が19兆円だった2015年の時を参考にすると、還付金額が6兆円に上り国に入ったのは13兆円ということになります。
  •  先月にもお話しましたが、労働分配率を下げ(所得を下げ)、このように還付金で儲け、法人税実効税率を下げ、そして内部留保を5年間で142兆円も積み増ししたことには矛盾を覚えます。
  •  資本主義経済では所得の再循環がないと成り立たない。この天文的なお金が全てとは言わないまでも半分でも回っていたら消費税など上げなくても8→10%に上げた時に5兆6000円億円の増収があると報道されていますが、内部留保の増額分を考えたら税率を上げるより下げることも出来るはずです。そうすれば、景気は上がります。このままでは増税に苦しむ国民と税制上儲かって笑いが止まらない大企業の構図が益々顕著になります。
  •  当然、身体の具合が悪くても「ガマン、忍耐」する国民が増えます。特に歯科医療は、所得弾力性が医療科目の中で一番高く、受診にブレーキが掛かります。その上、消費税の損税をまともにカブり社会的インフラである歯科医院の経営には大きな影響を与えることは明白です。
  •  まず、消費税10%は阻止しなくてはなりません。20年ほど前の橋本政権は、消費税を3⇒5%に実施したことで参議院選挙に大敗し首相退陣に追い込まれました。来年の7月に参議議員選挙があります。さて、消費税がどう投票に影響するのでしょうか。

都合のいい数字を出して捏造された統計
政策部解説vol.108 2018.11 

  •  「経済が良くなったから2019年10月から消費税を10%に増税出来る環境になった。」との麻生財務大臣がこの夏に語ったことを鮮明に覚えています。しかし、そうなのでしょうか。計算方法の上方操作へのカラクリを東京新聞や西日本新聞で論じられていましたので紹介します。
  • GDPについて
  •  日本のGDPは2015年までは500兆円くらいで推移していました。しかし、2016年12月にこのGDPの算出する計算方法を研究開発投資の項や様々なデータの入れ替えを行ったことで2015年度の数値は31.6兆円増え532兆円になりました。それ(2016年度)以降のGDPはこの計算法で行われてしまい2017年度は546兆円という数字になってしまいました。所謂、企業で言うなら粉飾決済をしたことになります。2015年の9月に安倍首相がGDPを「2020年頃までに600兆円」と言うことが反映されています。
  • 勤労者所得について
  •  「毎月勤労統計調査」からの厚労省が全国約3万3千の事業所から賃金などのデータから所得関連統計を出していますが、今年1月から作成手法を変更し、対象事業者の約半分を変えました。その結果1月から6月までの「現金給与総額」の伸び率は、いきなり大きな数字となってしまいました。特に6月は3.3%という数字になり、1997年以来21年5ヶ月以来の大幅な伸びでした。しかし、調査対象とならなかった半数強の事業者からの数値では先ほどの数値に大きく及ばない結果。
  •  この2つの結果だけでも分かるように、データの改竄で景気がいいことを強調しているに過ぎないと強く感じてしまいます。大企業の内部留保について、ご存知の方も多いと思います。2012年は304兆円で、毎年増加し続け、2017年では446兆円となりました。5年間で142兆円の増加です。
  •  企業が儲けることはわたくしも異存はない事ですが、労働分配率(労働者への還元)は、アベノミクスが始まる前の2012年度には72.3%でしたが、毎年低下を続け、2015年度は67.5%になってしまいました。
  •  確かに、企業は儲かっていることが読み取れますが、勤労者の所得はそうではありません。トリクルダウンにはなってなく、利益は川上でストップされています。景気がいい事(企業)と家計(個人)がいいのは訳が違います。もちろん、これらは来年の消費税増税の理由付けのデータにするのでしょう。
  •  医療機関の損税は、国民の生活、医療機関の経営はどうなるのか、次回には数字を上げてお話したいと思います。

始まりました歯初診(施設基準で医療機関の格差付)
政策部解説vol.107 2018.10 

  •  夏の中華料理店の看板にある(冷麺始めました)のようなタイトルですが、10月1日より歯科初診料237点(届出)、226点(未届)。歯科再診料48点(届出)、41点(未届)になりました。
  •  237点や48点の算定が可能になるには、10月1日までに厚生局に「歯初診」の届けを出さなければなりません。まだ、手続きをお済みでない先生方は、お急ぎ下さい。届出用紙は厚生局のウェブサイトからダウンロード出来ます。滅菌器の番号など所定の事項を書き込んで厚生局に送ってください(尚、最近通知があり10月10日までに厚生局に提出し受理されれば10月1日に遡り算定可能です)。そして、来年3月31日までに院内感染防止対策の研修会を受講し、その受講証を厚生局に提出、受理されることが必須条件です。受講証の有効期限は4年ですから、4年経過するまでに再度受講し、届出することになっています。何だか運転免許証のようですが、個人的には「絶えず勉強し研鑽するように」と解釈しています。
  •  さて、今次改定では、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)及び在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の算定基準のハードルが上がりました。設備に対する基準に加えて、実績や日常の地域医療への関わりや取り組みが加わりました。詳細は「歯科点数表の解釈」(通称:青本)をご参照下さい。
  •  ここで届出猶予期間がありますが、今次改定前に「か強診」「歯援診」の施設基準を届出済みの医療機関では、2020年3月31日までとなっています。因みに、歯援診は1と2になりましたが、1の方がよりハードルが高く、経過措置として2020年3月31日までは歯援診2の施設基準を満たすものになっています。
  •  このように、施設基準の算定条件に合致するには、「設備」「実績」「地域の関わり」「歯科医師のポジション」など大きく関わってきます。雑駁に言えば、大きな診療所で、いろいろなポジションにいる所は算定可能、小規模な診療所は算定出来ない構図が浮き彫りになってきました。
  •  また、同じ処置を行っても施設基準の有無や違いで算定点数に差があります。窓口負担も大きくなり算定するのに躊躇してしまう、という声もあります。歯科の中だけで論じるより、患者、国民が納得出来る施設基準が求められると思っています。

防衛費と社会保障費のバランス
政策部解説vol.106 2018.9 

  •  今年の保団連夏季セミナーで記念講演に東アジア共同体研究所所長の孫崎享氏(元防衛大学教授、外交官)のお話に「例えば、1200km先の所から日本がミサイル攻撃を受けた時、飛来してきたミサイルを打ち落とすことは不可能。
  • なぜなら、ミサイルのスピードが速すぎ、発射された瞬間にその軌道を測定し、それを元にどこで迎撃出来るか計算する時間はない。例え分かったとしても、飛来したミサイル(2000~3000m/s)は、迎撃ミサイル イージスアショアなら(350m/s)より、迎撃用ミサイルのスピードは歴然と劣るので普通に考えたら物理的に命中しない。」因みに、PAC3でも1800m/s、更に、日本海に飛ばした早期警戒機が、ミサイル発射などの情報を得ても、悲しいかな、そのデータがダイレクトに日本に入って分析出来るのではない。
  •  日米安保協定では「早期警戒機で得た情報は一旦アメリカに全てを送り、アメリカからその一部が戻る」システムになっているとのこと。アメリカに行ったデータが解析され日本にその一部が戻され、それから迎撃ミサイル発射と流れになる。このことがどれだけ多くの意味を含んでいるか、読者の方々が深くお考えくだされば有難い。
  •  さて、上記の事をベースにして7月30日の東京新聞、産経新聞の記事を読むといかに無駄なことに膨大な国費(税金)を掛けることかが分かる。「地上イージス1基に1340億円で契約、当初より500億円も高くボッタくられた形」それに、維持費などを追加したら更に費用は跳ね上がる。秋田県と山口県に配備するから、少なくても2基以上だと考えられる。命中しないものになぜ多額の税金を掛けるのかという疑問が出てしまう。
  •  先程の孫崎享氏のお話の締めくくりとして、「防衛費が上がると確実にその反動として社会保障費がダウンすることを覚えておいて下さい」と言ったことは今でも心に焼き付いている。
  •  単純に計算したら、今後「1340億円×n」が社会保障費から削られるということなのだろうか。

乱暴な単価の切り下げには断固抗議
政策部解説vol.105 2018.8 

  •  今年4月から国保の運営主体が市町村から都道府県単位に移行しました。運営主体が変わっただけなのかというと、そうではありません。国保財政が厳しい自治体では今まで、国保税のアップ、一般会計からの繰り入れなど涙ぐましい努力で国保を維持しています。当事者ではありませんが、その苦労は相当なものだろうと思います。
  •  さて、市町村から都道府県に移管されることで、今後は都道府県が医療費抑制に関与してくることが当然考えられます。最近、奈良県が1点単価を都道府県の判断で下げることを奈良県内の医療機関に求めました。中医協での論議ではないのですが、物議を醸してくることは予想されます。奈良県に倣え、との動きが出ることも予想されます。
  •  高齢者医療確保法には、特定の県は他の県と異なった診療報酬を厚生労働大臣が決定できるという規定があることがその根拠であるのでしょう。
  •  都道府県の国保医療費削減を狙ってのことですが、この問題の根源は国保への国庫負担割合が45%から25%に下げたことです。 国保の被保険者は元来、経済的弱者や福祉の範疇に入る国民が多く、そのことを考慮すると、国庫負担金を下げれば、運営主体の都道府県(3月までは市町村)が財政難になることは必至です。このことを棚に上げ、1点単価を下げるというのはかなり乱暴な意見です。診療報酬は、技術料、材料料で成り立っており、その上、医療機関は消費税を被っています。国保加入者と医療従事者に溝を作り、医療制度が崩される心配をしてしまいます。
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精神力だけに頼るのは必ず破綻する
政策部解説vol.104 2018.7 

  •  福岡県歯科保険医協会(当会)主催の「施設基準研修会」は福岡、北九州、筑後地区でそれぞれ行われますが、多くの参加ご希望の先生方で当会は驚嘆し、また感謝申し上げております。しかしながら、この研修会の内容である感染予防とその保険点数を考えた時、どうしても釈然と致しません。
  •  感染防止対策が出来(滅菌されたハンドピースを患者ごとに交換)、研修会を受講し届けを行ったという3ステップが揃えば10月から基本診療料が3点引き上げられる。保険システムはこんなところでしょうか。当然、滅菌対策は多くの先生方が行っていますし、プロとして歯科診療への義務感、責任感、正義感は自覚しております。ただし、滅菌を行う上でハード面、ソフト面には当然それなりにコストが掛かります。それを3点(30円)で賄うことになります。誰にでも分かることですが、これ自体コスト割れであることは明白です。感染防止に掛かるコストは一体いくらなのか、素朴な疑問を持ちます。
  •  そんな折、日本歯科医療管理学会雑誌第51巻(2016)に掲載された広島県歯科医師会からのペーパーを興味深く拝見しました。これには外来環に対応する口腔外バキュームやAED、理想的な滅菌のためにウォッシャーディスインフェクター、クラスBオートクレーブなど理想的な滅菌システムを行う上で必要な機材を揃えるという条件はあるものの、それをベースにした時、1人当たりの感染対策費は1127円(112.7点)という結果がありました。ここまでのシステムでないにしても要求される滅菌システムにはそれ相当のコストが掛かります。
  •  歯科医師が診療するなら、「当然、滅菌して当たり前、それが義務であり、責任があるのだから」と言う「精神力」マターにしてしまう意見もありますが、成り立たないことをやれ、ということはそのコストを他から持って来ないと出来ないことになり、モラルの低下すら懸念されます。
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ピラミッド構造の「施設基準」と「歯管」
政策部解説vol.103 2018.6 

  •  読者の先生方におかれましては、新点数に改定され最初のレセプト提出をされたと思います。さぞてこずったのではないかと拝察致しております。私がお願いしている医療事務の方々も算定が難しく点検に慣れないことをお話されていました。今回の改定は、複雑なのでここまでは予定通りのことと思います。
  •  さて、今次改定もまた「施設基準」の網が掛けられた改定になったという感じがしました。
  •  そもそも、「施設基準」が登場したのは「補綴物維持管理料 (現 クラウン・ブリッジ維持管理料)」(補管)が変性した(補管を算定しなければ、加圧根充が算定出来ない、そして補綴物の装着時から70%の算定を余儀なくさせられてしまう)2000年以降「補管」算定は同時に「施設基準」を受け入れることになりました。因みに、この「補管」ですが、導入当時からかなり違和感を覚え、2000年以降、「オカシナ物」として考えています。
  •  さて、補管に始まった施設基準ですが、この4月より何項目あるのか調べてみましたところ32項目。それも、単独での施設基準ではなくて、「か強診」のように「補管」の施設基準が整い、届出を行っておかないと算定できないというピラミッド構造も前回の施設基準から導入され、今回では「か強診」は更にハードルが上がってしまいました。
  •  以前からありました「歯管」ですが、この「歯管」を算定しなければ算定出来ない施設基準を伴う検査 (咀嚼能力検査、咬合圧検査、舌圧検査)も入り何がピラミッドの底辺にあるのか相当理解して診療に当たななければ保険診療が出来ないシステムになってきたように思います。
  •  覚えておかないといけないのは届け出た施設基準を満たさないまま算定した時には大きなペナルティーが待ち受けていることです。施設基準が必要な診療には深い理解が必要です。
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情報だだ漏れ年金機構
政策部解説vol.102 2018.5 

  •  またも、相変わらずの「日本年金機構」のお話です。個人的な感情からすると「もういい加減にしてくれ、まともなことが出来ない組織、どんなガバナンスしているのか」と言いたいです。
  •  今回の問題は「公的年金 10万4千人に過少支給 総額20億円余」からスタートしました。単純にして20億円を10万4千人で割れば一人あたり1万9230円となります。
  •  「何だ、大した金額じゃない」と思われるかもしれません。よく考えてみてください。国民年金を例に挙げると2018年度は平均5万5千円です。厚労省の平成28年度国民生活基礎調査によると年金だけが総収入である高齢者は54.1%です。それらの方々の1万9230円は35%にもなります。1ヶ月の総収入が35%減った、と解釈出来ます。世帯数で見ると、日本国の総世帯の12%が総収入の8割~10割が年金だけなのです。こういった事実があることを年金機構の職員が腹の底から知っていれば、こんなお粗末な事象は起こらないと思います。極めて杜撰な管理体制です。
  •  おまけに日本年金機構のホームページを開いても、今回の事実関係など謝罪はおろか何も書かれていません。反省もないし、改善する気もないことが読み取れます。近い将来、同じことはまた必ず起こると考えてしまいました。
  •  その上、3月19日には、日本年金機構が年金情報のデータ入力業務を委託した情報処理会社が、受託した業務を不正に中国業者に再委託したことを公表しました。その年金情報は、約500万人分の情報量です。「中国の業者から個人情報が外部に流出した事実は今のところ確認されていない」と説明していますが、ちょっと思い出してください。2015年5月、日本年金機構に対し攻撃型メールが送られ、それを開けたことで年金管理システムに保管されていた125万人分の個人情報が漏洩しました。これからまだ、2年少しです。まだまだあります、消えた年金事件(不明件数2112万件)、グリーンピア事件(旧社会保険庁2005年、年金保険料から投じた1953億円の資産を48億円で売却)などなど呆れてしまいます。
  •  今回、中国の業者から個人情報が流出していない、と言っていますが、「ああそうですか」と信用することは少々無理があります。我々、善良な国民がバカを見て、被害に遭う。それも知らないところでお金も個人情報も知られてしまう結果となっています。国民はもっと、このことを真剣に考えるべきです。名前もマイナンバーも流出してしまえば永久的、世界的に情報が拡散されてしまいどんなことになるのか、考えただけでも恐ろしいです。
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難解な解釈になった保険改定
政策部解説vol.101 2018.4 

  •  4月からの保険改定の概要が出ました。この記事が先生方のお手元に届く時には保険解釈は分かっていると思います。今回の改訂は6年に一度の医療・介護同時改定です。前回改定当たりから、地域包括ケアシステムの流れで「医療から、介護へ」のシステムが強く推し進められています。これに呼応した改定になったと思っています。また、感染防止対策の観点から基本診療料が10月から変わることになります。
  •  具体的に分かっている改定箇所をいくつか記します。歯科初診料が院内感染防止対策を行っている場合(施設基準を満たし届け出を行い、定期的に院内感染防止対策の研修を受講している)には今年10月から237点、歯科再診料が48点。カッコ内の要件を満たしていない場合は歯科初診料226点、歯科再診料41点になります。経過措置として、院内感染対策の研修受講は平成31年3月31日までに受講することになっています。当然、当会におきましても院内感染対策の研修会を行う予定です。
  •  また、前回からいきなり出てきた「か強診」ですが、施設基準のハードルが上がりました。施設基準が3か所変更された上に、新しく11項目ある内の3つ以上に該当するなど、算定要件が複雑で多岐にわたっています。要件は介護分野、多職種連携、地域ケア、在宅分野に関わる内容となっています。要件を詳しく読むと溜息すら出てくるのは私だけではないと思ってしまいました。
  •  次に「加算点数」の分野が増えました。歯科疾患管理料の加算として小児口腔機能管理加算、口腔機能管理加算、総合医療管理加算。歯科疾患在宅療養管理料の加算として総合医療管理加算。有床義歯内面適合法の歯科技工加算1及び2。新設された検査として咀嚼能力検査(140点)、咬合圧検査(130点)、精密触覚機能検査(460点)があります。算定条件はありますが、一歩躍進した感じです。新設されたレーザー機器管理加算1,2,3もレーザーがかなり普及した昨今において実情に合ったものと考えます。
  •  在宅歯科医療では歯科訪問診療料が1,2,3ともに大きく改定されました。歯科訪問診療移行加算、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置が新設され、医療から介護へのインセンティブをアップしました。在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料では栄養サポートチーム等連携加算1,2.小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料など聞きなれない管理料、加算が導入されました。
  •  最も申し上げたい事ですが、国は明確に地域包括ケアを推し進めています。よく勉強しないと全く理解できない改定内容になって「保険理解不能、レセコン頼み」ということになってしまいそうです。
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「クイズチラシ」から伝えたかったこと
政策部解説vol.100 2018.3

  •  昨年秋から今年1月まで、保団連が行ったクイズチラシ(ハガキ)の応募総数は、6万4134通でした。前年度対比2万4233通増加でした。会員の先生方にはご多忙なところ多くのご尽力を頂きこのように多くの応募を得ることが出来ました。この場をお借り致しまして深く感謝申し上げます。
  •  さて、クイズチラシは「クイズで考える私たちの医療」と題して「患者さんが、待合室で診療を待っている時間に医療制度、医科・歯科に関わる疾病」を分かって頂き、そして保団連の運動の下支えになることを考えて作りました。
  •  クイズの問題は、3問、それも簡単明瞭なものにし、医療制度、医療費、そして必ず歯科に関するものを選んでいます。
  •  診療中、われわれ医療従事者は、患者さん一人一人の病状や治療説明に追われてしまい、なかなかこのような分野のお話になることは希だと思います。
  •  クイズ形式にし、受付に患者さんが来院された時に一言、声をかけ、お話するだけ自然にクイズに流れていきます。その上、実は、患者さんとのコミュニケーションツールとして大変重宝なものです。
  •  今回の問3などは、は歯科医師なら誰でも理解していることですが、歯科と糖尿病の関わりでした。色々な報道でこの関連性は取り沙汰されていますが、実際アンケートを見てみると知らなかった方々が多くいました。それなど、歯周病治療をする上で診療室に入る前、患者さんの知識がアップされれば治療しやすいことに繋がります。
  •  単に、クイズを解くだけでなくこのようなことを伝えたかったと思っています。
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数字では実感出来ない改定値
診療報酬改定の数値ではわからないこと
政策部解説vol.99 2018.2

  •  
    12月に診療報酬改定概要が発表されました。ネットでは-1.19% (内訳は診療報酬では+0.55%、薬価引き下げ-1.65%、材料価格引き下げ-0.09%) 歯科単独では+0.69%とのことです。今まで改定毎に「プラス改定」と言った発表にも関わらずあまり実感がないなあ、という声をよく伺います。前回の政策部解説Vol.98のグラフにもありますように個人歯科診療所の収支差額のグラフは右肩下がりです。
  •  さて、図1~図3のグラフから2000年度から2016年度の推移が示されています。歯科医療費はこの間0.26兆円の増加。調剤が右肩上がりで、2000年度には歯科とほぼ同じ医療費でしたが、今では2.5倍以上となっています。これを、2000年を基準とした伸び率を示したのが(図2)。歯科は2000年度をベースにして0.3%しか伸びがありません。医科診療所にしても1.0%強。同様に、入院外レセプト1件当たり(医科診療所、歯科、薬剤料)の伸びを2000年度ベースに記したものが(図3)。毎年下がっています。この16年間「プラス改定」が何度もあったにも関わらず、レセプト1件当たりは下がっています。プラス改定という実感がないことを示したグラフと思えます。
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平均値の体裁をなしていない ナンセンス「平均値」
政策部解説vol.98 2018.1

  •  
    医療実態調査(実調)の結果が出て、保団連ではその解釈をしました。(詳しいグラフ、表は保団連のホームページから見られます。) 医科、歯科、薬局の国民医療費、個人診療所の売上など2000年度から2016年までの17年間のデータの解析があります。その中で気になるグラフを紹介します。

     平成25、26年度の全診療所の階級別(100万円単位)の医療費のグラフを示したものです。平成25年度は6万4845診療所、平成26年度は6万5053診療所です。どちらのグラフをみても右肩の傾斜が緩やかなグラフになっていることが分かります。このような構造では平均値を取ると極端に売上の多い歯科診療所が、右の方にグラフ誘導してしまいます。平均値は約4000万円、中央値は3200万円くらいで、最頻値は2500万円くらいに位置します。実は、これが重要なのです。
     ここで平均値(ミーン)、中央値(メジアン)、最頻値(モード)のおさらい。「平均値」(ミーン)・・全ての数値を全部足し算して個数で割り算したもの。「中央値」(メジアン)・・データを小さい方から並べたとき真ん中の値。最頻値(モード)・・データの中で最も頻繁に出てくる値。
     特に、「平均値」は小学生の頃より慣れ親しんでいるので、何かデータが発表された時に自分が平均値から「どれだけ上か下か、自分は真ん中からどこの位置にいるか」と考えがちです。これは、グラフが正規分布(富士山の形)している時には意味をなしますが、上記の図1のようにデータの山が偏っている時右に頂点がずれている)時にはケタ外れの値が引っ張り、上から、平均値、中央値、最頻値の順に大きく振れてしまいます。(ピアソンの経験則)
     以上から、「平均値は4000万円くらい」というデータを元ネタに点数改定が行われては多くの歯科医院の経営にマイナスに働きます。平均値を取ってデータの信頼性を図るには、まずデータが富士山型(正規分布)しているところから始まるものでなければミスリードしてしまいます。
     下の図は、実調から解析した1ヶ月の個人歯科診療所の収支差額です。元ネタが図1ですから、平均値が如何に当てにならないものかおわかりですね。 因みに、歯科はこの17年間の医療費は0.3兆円しか増加していません。このグラフが示しています。歯科の困窮が伺えます。
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今回の総選挙と小選挙区
小選挙区制度は、民意を反映出来るのか
政策部解説vol.97 2017.12

  •  今回の総選挙は、9月28日の安倍首相の臨時国会での冒頭解散により10月22日投票となり、形の上では与党(自民・公明)が313議席を取り総議席数465議席の2/3以上を獲得しました。個人的には解散前と変わりないと感じています。なぜこの時期に800億円とも言われる巨額な選挙費用を国民の血税から出してする必要性があったか、今でも大きな疑問点として心の中に残ってしまいます。もちろん、7月の東京都議選から内閣支持率が一時期で20%代まで下がり、追い打ちをかけるように「森友・加計問題」が臨時国会で野党から質問攻めに遭うということが背景にあったことは誰の目にも容易に想像が付きます。税金800億円使って臨時国会を乗り切った形です。
  •  今回も、大与党に有利なように小選挙区制が働きました。そもそも、小選挙区が導入されるきっかけになったのは細川内閣(1993年8月~1994年4月)の時で、選挙改革として行われ現在に至っています。現在のように大与党と多くの野党という構図では選挙区において野党協力ができなければ当然、大与党に有利に働きます。
  •  今回の結果は、小選挙区(定数289)で自民218、公明29議席、比例区(定数176)で自民66、公明21議席でした。
  •  289選挙区で自民党は2672万票(得票率48%)でしたが、議席では75%を占める前述の通り218議席を獲得しました。小選挙区ではトップのみが当選するので、第1党が得票率に比べ議席数が大きくなる傾向があります。単純に言うと、「1/2に届かない得票率で3/4を取る」という疑問符が出る結果が出ました。
  •  176議席の比例区(政党名投票)では自民1854万票(得票率33%)で66議席。立憲民主1107万票(得票率20%)で37議席。希望966万票(得票率17%)で議席でした。比例区では得票率と獲得議席がそれなりに一致していると考えます。
  •  結局、小選挙区の勝敗が民意を反映出来ないことになります。因みに、朝日新聞のシミュレーションの引用ですが、自民・公明の与党VS野党共闘で一騎打ちの構造であれば野党分裂型であった226選挙区のうち与党120、野党106とかなり拮抗する結果になります。現時点で国民の意見が反映出来るには小選挙区制度は不向きと感じてしまいます。
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消費税が10%になったら
政策部解説vol.96 2017.11

  •  この機関紙が先生方に配布された時には、総選挙も終わっています。9月28日臨時国会冒頭解散と異例な解散でした。森友、加計問題で臨時国会を乗り切れないと判断した結果であるとの大方の見方ですが、選挙結果でこれからの日本が大きく変わるとも思います。
     さて、安倍総理が解散表明の際に「消費税を10%にし、増収分の使途を幼児教育無償化などに変更し、社会保障制度の全世代型へシフトを変える」と会見を行いました。
     消費税を平成26年4月に5%から8%に上げる時、与党は「増収分は全て社会保障費に充てる」と何度も言っていたことを思い出しますが、実際の社会保障関係費(年金・医療・介護など)を調べてみると平成25年度では、29兆1200億円、平成26年度 30兆5200億円、平成27年度31兆5300億円、平成28年度31兆9700億円、平成29年度32兆4700億円となっています。その間の、消費税収額は、平成25年度10.8兆円、平成26年度16兆円、平成27年度17.4兆円、平成28年度17.2兆円です。消費税が8%に上がっての増税分は6兆円強、ところが前述のとおり、社会保障関係費は平成27年度からみてもその前後で1兆円程度となっています。その差額の5兆円は、法人税減税分の穴埋めなどに使われています。
     言っていることとは程遠い消費税の使い方であることは誰の目にも分かります。こんなことをしながら「10%にした増収分を社会保障制度の全世代型に変える」と言ってそれを信じることは出来ないでしょう。
     いつも消費税のことを話題にした時、法人企業の内部留保の額を確認するのですが、平成28年度の内部留保は、前年同月比7.5%増の406兆2348億円で過去最高。平成27年度では377兆円、一方、労働者の最近4年間(平成25年から28年)の実質賃金は年額にして54万円減少。消費税が社会保障に使われず法人税減税の原資になるなど、こういった消費税と法人の内部留保のギャップがあります。それにも関わらず消費税10%増税を行うことに異論が出てくるでしょう。
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