「下流老人」になってはならない
政策部解説vol.91 2017.5

  •  新年度になりました。昨年よりクイズチラシの「いまこそストップ!患者負担増」にありますように国民年金の年金保険料引き上げ、年金支給額の引き下げ、75歳以上の医療保険料引き上げ、70歳以上の患者負担限度額引き上げ(8月より実施)など社会保障に関わる生活の負担が増加しました。それも、段階的に負担を増やす方針ですのでジワジワと生活が苦しくなります。
  •  5月27日に当協会の第40回定期総会が行われます。市民公開講座では『下流老人』の著者である藤田孝典氏を迎えて「下流老人のいま」の講演をお願いしております。
  •  まさか、自分が下流老人になるなんて思いもしない、と思われているかもしれませんが、藤田氏の著書の中で、案外簡単になってしまうのだと感じました。貯蓄3000万円、年収400万円あっても老後は「下流老人」になるリスクがあると言われます。生きていくためには「健康」と「お金」が必須条件です。特に、高齢になると健康への心配が高まります。健康を損なうこと、即ち病気や怪我をしてしまうと治療費用の負担が発生します。高齢であれば多くの診療科を受診することが多く、また収入が現役の時のようには見込めません。一生涯で使う医療費は70歳以上で9割とも言われています。収入がないところに治療費の負担増加という現象で老後の生活は脅かされ、下流老人が作られると考えてしまいます。それも官製であるのでタチが悪い。
  •  社会保障がここ数年で、その体をなしてないほど後退したものになっています。更に、年ごと、後退した社会保障になってきています。現在、患者負担増阻止の署名を集めております。少しでも多くの署名数が集まれば幸いと思っています。「明日は我が身」と思って署名をお願いいたします。

来年度の診療報酬改定に向けて
政策部解説vol.90 2017.4

  •  来年は保険改定の年です。
  •  国民医療費41兆円5000億円(平成27年度)のうち、歯科医療費は2.8兆円です。調剤が約10兆円というデータが出ています。歯科医療費は厚生労働省「国民医療費」から数十年間殆ど変わっていません。
  •  特に、調剤医療費は2000年以降3倍に増加していますし、ここ最近も伸び率は医科、歯科医療費の伸び率をかなり上回っています。これは長年、低い歯科医療費政策が続いていることにほかなりません。
  •  さて、保団連では保険改定前年に厚生労働省に改善要求案を出しています。今回も第一次案を今年1月27日に発表しました。保団連加盟の医会・協会で組織討議を行い来年の診療報酬改定要求を提出します。
  •  改善要求案は20項目あります。要求案1と9についてここでは言及したいと思います。要求案1について、時間と技術を要する歯科治療は個別性が大きい診療です。この診療技術料が極めて低くこれが、低い診療報酬に繋がっています。2016年に発刊された「歯保連試案2016」を拝読すると現在の診療報酬の問題が理解できます。
  •  要求案の9番目に、クラウン・ブリッジ維持管理料(補管)についての問題があります。これは平成8年度から導入されましたが、当初から不合理がありました。個別性を無視した感もあり、力ずくでも補管を算定させようとする保険導入であったと個人的に考えています。
  •  最近では、補管の算定の届出と施設基準がリンクされ、診療報酬に繋がるというシステムになっています。しかも、導入されて20年以上経過してしまいました。50歳以下の中堅の歯科医には、最初から「補管ありき」から保険制度が成り立ってしまい、そのオカシサ、矛盾点が見えにくい状態であると思います。
  •  要求案20項目は、どれも歯科医療の質の確保と安全が保障される要求案です。先生方の建設的なご意見をお待ちしております。
  •  最後に、保険点数のことも非常に大切なことですが、窓口負担を引き下げること。これが緊急課題と思っています。

官製下流老人、老後破産への道 年金基金が無くなる日
政策部解説vol.89 2017.3

  •  今まで、年金のことをこの政策部解説に数回書きました。公的年金は厳しく徴収されますが、その年金基金の不透明な運用は極めて曖昧に扱われていると思っています。
  •  思い出せば2005年の「グリンピアの叩き売り」で年金基金から3781億円拠出し、13施設作ったグリンピアをたったの48億円で投げ売りしたこと。また、「消えた年金」問題では、「最後の一人に至るまで徹底的にチェックし全てお支払するとお約束したい」と国会で答弁した安倍首相ですが、未だかつて「全て支払った。」という話は聞いていません。2015年5月の段階では2000万件が持ち主不明です。2014年10月31日付でGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は年金の運用を国内株式(12%→25%)外国株式(12%→25%)に引き上げ、健全な運用をしてきた国内債券の比率を(60%→35%)その結果、2015年度一年間と2016年4月から6月の間で10兆円を越す運用損を出したことはあまりにも有名です。
  •  そのツケを一年で国民年金4万円、厚生年金14万円減らす「年金カット法案を」昨年秋に強行採決したのです。
  •  老後に備えた国民の貴重な年金をグリンピアで安く業者に投売りし、株に投資、博打に使っているのです。
  •  そして、今度は極めつけが起こるのです。アメリカでトランプ政権が発足し、「アメリカの為なら、何でもする」と言う総理が、アメリカ人雇用70万人のために年金から拠出する」とまで言い始めました。未確認な情報ですが、この金額は数千億円から数兆円に上るとまで言われています。
  •  国民の、老後の生活を支える公的年金が、こんなにされていては下流老人、老後破産を日本国が率先しているとしか思えなくなりました。

「高齢者の生活が出来なくなる
政策部解説vol.88 2017.2

  •  昨年発行した保団連のクイズチラシは、かなり大きな反響がありました。これも、多くの先生方のご参加がありました事と御礼申し上げます。
  •  この中には3つの質問がありましたが、特に、1、2番目の質問(Q1、Q2)から医療、介護の費用負担増が単にそれだけにとどまらないことが容易に想像できます。
  •  高齢者、特に70歳以上の方々には特に、医療、介護を受ける(利用)ときの負担が増えるばかりではなく、高額療法費制度の上限を引き上げることが今年の国会で論議される予定です。
  •  70歳以上では一般的には退職し、年金生活していると思われます。厚労省のHPから平成28年度年金額は、(67歳以下の新規裁定者の場合)国民年金の場合一人(老齢基礎年金満額を含む)65,008円、厚生年金では(夫婦2人の老齢基礎年金を含む)221,504円となっています。(詳細は厚労省HP参照)ただし、これらから医療、介護保険料が天引きされます。
  •  その手取り分から、生活費(可処分所得)が出るのです。介護利用料、医療保険の窓口負担はその生活費から賄われると考えられます。さて、これだけの金額から衣食住を賄うことすらかなり無理があるように思われます。当然、退職金、現役時代の預貯金から不足分を賄うことにならなければ生活できないことは容易に想像できます。
  •  先ほど示した金額は、とても良い条件下であり、現実には金額は下回ると思われます。
  •  月毎の生活費は、あまり変化しないとしても、人は、70歳以上ともなると、疾病を多く抱え、医療機関を受診することは多くなります。
  •  貯えもあまりない、年金も低額である。生活が優先され、病気は我慢するしかないのです。
  •  今年の通常国会で高齢者虐めとも解釈される法案が可決されないよう、世論形成が急務です。

「TPP離脱
政策部解説vol.87 2016.12/2017.1

  •  次期アメリカ合衆国大統領にトランプ氏が就任することになりました。来年1月20日の就任式で「TPP離脱を発表する」と述べたのは有名です。これを受けて日本の大手の大衆新聞は「TPP離脱は間違いである」という旨の記事を掲載しました。
  •  将来の日本は人口減少で消費が伸びず経済が沈滞する。経済発展は貿易を促進することにしか活路がないからTPPで貿易を促進する、といった経済界寄りの論調です。「自由貿易を損ねるのが保護貿易である」、自由貿易が善で保護貿易は悪と言わんばかりの論調さえ見受けられます。
  •  果たしてそうなのでしょうか。トランプ氏が選挙に勝った要因として1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)の影響があったと言われています。この協定の詳細は紙面の関係上、この場では述べませんが、このNAFTAで安い労働力がアメリカに大量に入りアメリカ人の雇用を奪い失業者が増大したことは有名です。しかし、大企業や投資家には多くの利益を生みました。
  •  自由貿易は生産性を向上し、輸出増大をもたらし高賃金を産み豊かになる、というのが日本でのTPP推進論者の言い分ですが、NAFTAの事例からそのようにはならないことは推測できます。
  •  日本のこの数十年の自由貿易の歴史で確かに大企業は儲かりました(今年3月で内部留保は370兆円)が、国民に還元されているとは言えません。TPPが発効されると、これらがさらに加速され、非正規雇用、低賃金がさらに加速されると思われます。日本のGDPの60%は内需です。経済を活性化するにはこの内需(個人消費など)を上げることが経済発展の要であります。因みに外需(輸出)比率は15%以下なのです。TPPは単に貿易や関税の(所謂、お金に絡んだ)問題ではありません。国の制度、法、人権、環境などに関わっています。私たち保険医療従事者には薬の価格、国民皆保険制度の問題まで関わります。多国籍企業の利益のために国民の健康を犠牲にすることはできないのです。
  •  最近、拝読した民主党政権下、最後の農水大臣であった山田正彦氏の言葉に以下のようにありました。紹介致します。
  •  「ノーベル経済学賞に何度もノミネートされた、今は亡き宇沢弘文先生がTPP国民会議の会長を引き受けた時の言葉が忘れられない。『関税自主権がないことは、独立国とは言えない。日本は幕末の不平等条約から関税自主権を取り戻すのに日露戦争が終わる迄70年かかった』と。私は国によって、各々事情があり、関税をある程度かけることは、国民の生活、雇用、医療、介護、食糧等を守るためには、必要なものだと思う。トランプの政策は、保護貿易ではなく関税自主権を行使する政策ではないか」
  •  私は、TPP離脱が格差社会是正に繋がると信じています。

「か強診」はどれだけメリットある?
政策部解説vol.86 2016.11

  •  今年度の診療報酬改定で入った「か強診」ですが、10月1日付けの福岡県下では、届出医療機関が180件、率にして5.86%となっています。届出医療機関の割合が10%を超える県は15県。全国では6.82%です。厚労省は全国レベルで5%を予想していたと聞いていますので、現時点では予定割合に達成したと言えます。
  •  さて、いきなり導入された「か強診」ですが、言わずと知れたことですが、施設基準のハードルの高さがあります。
  •  ハード、ソフトの2面がありますが、ここに来てハード面、特に口腔外バキュームの購入に話題の方向が向いているようです。当初は可動式の口腔外バキュームが80万円くらいと言われていましたし、注文しても納入にはかなりの年月が掛かってしまい「来年になる」とまで聞いたことがあります。最近では、30万円以下の物も出ています。
  •  本来「か強診」の意味するところは「地域包括ケアシステムにおける地域完結型医療を推進していくため、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所を新設し、当該保険医療機関の歯科医師が行う、う蝕又は歯周疾患の重症化予防に係る管理、摂食機能障害及び歯科疾患に対する包括的で継続的な管理を評価する」と書かれています。
  •  さて、か強診ってどれだけメリットあるのですか?と尋ねられることがあります。個人的な見解ですが、F局とSPTⅡの算定と思います。
  •  か強診算定医療機関では毎月F局加算(260点)が算定可でありますが、そうでない医療機関は3ヶ月に一度(120点)の算定となります。SPTⅡでは、前提条件として20歯以上残存の条件下でか強診算定医療機関は毎月830点、そうでない医療機関は3ヶ月に一度350点の算定になります。単純に比較すると3ヶ月のスパンでは、「か強診」算定医療機関は(260+830)×3=3270点、そうでない医療機関は120+350=470点 点数からするとこれだけの差が出ます。ただし、来院される患者さんが全てSPTⅡに該当することはないでしょう。また、全ての患者さんにF局ということもないでしょうから、その差は思った程ではないと考えます。これだけのために、多額の設備投資する必要に迫られるという一面もあります。
  •  その上、か強診算定医療機関で算定するには、「窓口負担まで考えておかないと算定しづらい」とお話された先生がいらっしゃいました。点数が高い、というよりこれは、窓口負担が3割であることに大きな問題があります。この問題は、窓口負担を下げる運動に繋がればいいと感じるところです。

「クイズチラシの活用」待合室キャンペーン
政策部解説vol.85 2016.10

  •  臨時国会が始まりました。この国会では、憲法改正とTPPの批准が大きなテーマと言われています。どちらにしても我々国民には大きな課題です。しかし、隠れていることがあります。来年の通常国会で審議予定である医療・介護分野での窓口負担と負担上限のアップです。
  •  先月号では、「70歳以上の患者負担上限の引き上げ」で患者さんの生活が経済的に苦悩する事を述べました。医療・介護を受けたら、平凡な毎日の生活(衣食住)すら出来ないことになりかねないと心配、それどころか危機感すら覚えます。
  •  保団連では、政府が進める医療・介護の窓口負担増計画を患者さんに分かりやすく伝えるために、待合室に置ける「クイズチラシ」を作りました。クイズは3つ。
  •   1.医療・介護での窓口負担増の内容
  •   2.高額療養費制度の患者負担上限の引き上げ
  •   3.歯周病と糖尿病
  •  全てのクイズは容易に分かるように工夫されています。このクイズチラシに付いている「はがき」に答えを書いて送ると抽選で景品が当たります。実はここがポイントなのです。今回の景品は、1等:ダイソンファンヒーター、2等:ハムのセット、3等:図書カード、4等:ガーゼタオル、5等:「知っトクパンフ」です。以前行ったクイズチラシの応募が非常に多かったと聞いています。即ち、クイズチラシはそれだけ読まれていて、患者さんへの情報ツールとして有効と思われます。
  •  はがきに52円の切手を貼ることに抵抗があれば、先生方の医院の待合室に応募箱を作ってそこにはがきを入れて頂くようにすれば応募し易いです。集まった応募はがきを協会に送って頂ければ幸いです。応募箱もある程度は協会にありますのでお尋ねください。
  •  私事ながら、わたくしのところでは、手製の応募箱にしています。

「高額医療費制度の限度額引き上げ」にマッタ
政策部解説vol.84 2016.9

  •  今年は、診療報酬改定の年でした。私たち保険医は診療報酬改定の改訂値に兎角目が向いてしまいがちです。
  •  さて、日頃あまり目にする言葉ではないのですが、「70歳以上の高額療養費制度の外来特例」です。これは70歳以上の患者さんが外来受診した時、所得に応じ窓口負担の上限を決め、負担軽減を図っています。
  •  もっと詳しく述べますと、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会で70歳以上の高額療養費制度の外来特例(現役並所得4.4万円、一般所得1.2万円、住民税非課税0.8万円)が認められています。外来特例は、2002年に月額上限を廃止し定率1割負担を徹底した際の負担軽減策として導入されました。
  •  ではどのようにしようとしているのか一例を挙げます。
  • ▼70歳以上が外来受診した場合の窓口負担の限度額(月額)は
  • (1)現役並所得(年収約370万円以上)の場合の負担上限:現在44,000円です。財務省の提案では所得水準に応じて87,000円~172,000円~254,000円。
  • (2)一般所得(年収約370万円以下)の場合、現在は12,000円が上限ですが、財務省は58,000円以上を提案しています。
  • (3)住民税非課税世帯では現在の上限は8,000円ですが、財務省は35,000円を提案しています。 
  •  これがそのまま通れば、耐えきれない負担増になることは必至です。年金受給者の月額給付は、国民年金 単身者54,497円。国民年金 夫婦108,994円。厚生年金単身者147,513円。厚生年金(夫)+国民年金(妻)219,947円。厚生年金 夫婦共稼ぎ267,702円~295,026円です。この年金から、医療保険料、介護保険料を天引きされ、そこから暮らしていかなければなりません。もしも病気や怪我をしようものなら、これだけから考えても生活が出来なくなることは容易に想像出来ます。況してや入院となると一体どうなるのでしょうか。
  •  老後に備えて、こんなことではお金を使おうという気分になれませんね。消費マインドが低下してしまいます。

学校保険の医療券 「時代錯誤を感じます」
政策部解説vol.83 2016.8

  •  毎年6月頃から小中学生が持参する「医療券」ですが、私が覚えている限り歯科疾患の対象範囲が25年以上変わってないように思います。
  •  対象は「う蝕」のみです。以前、乳歯の治療は「抜歯」のみでしたが、我々保険医協会や保団連が運動し、国会で論議され、保存治療が可能になり現在に至っています。
  •  修復についても乳歯では、光重合レジン充填、インレー修復が可能になりました。永久歯については、以前は化学重合レジン充填かアマルガム充填のみでしたが、光重合レジン充填、インレー修復、抜髄も可能となりました。
  •  さて、「時代錯誤」とタイトルに書きましたが、最近よく感じるのが歯肉炎に罹患した小中学生です。個人的感覚で申し訳ないのですが、私が歯科医になった頃に比べて、現在の小中学生のほうが、歯肉炎が多いように思えます。疾病構造が変化したのであれば、それ相当に制度を見直すことが求められます。
  •  通常のように歯周検査をしてスケーリングしたいと思っても、この医療券では対象外になります。
  • 付き添って来ている小中学生の親に「医療券では、治療の対象外」である旨説明しなければならず、このような時には、遣る瀬無い気持ちになります。
  •  現在では、小中学校での歯科検診でも指摘事項に「う蝕」だけでなく「歯肉炎」「プラーク付着」など「う蝕」以外の疾患について記載されています。
  •  これに合わせて、医療券での治療疾患範囲も歯肉炎に対象を広げる必要があると感じています。

悩ましい「か強診」(包括、窓口負担の軽減)
政策部解説vol.82 2016.7

  •  4月の保険改定から3ヵ月経ちました。新しく入った「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(以下「か強診」)の届け出とその算定への関心が高いようです。各県の保険医協会で行われる「か強診」施設基準対応講習会には多くの会員の先生方が参加されている報告を受けています。6月25日に行われた当会での講習会にも300名を超える申し込みがありました。
  •  さて、「か強診」の施設基準について申し上げます。その基本は「外来環」と「歯援診」の施設基準を基礎に、クラウン・ブリッジ維持管理料(補管)を算定し、過去一年間に歯科訪問診療1、または2を算定し、SPTの算定があること。
  •  これだけ多くの算定した上の頂点に「か強診」の施設基準が成立します。
  •  ここで、深く考えてみると、SPTⅠ(今年3月31日まではSPTでした。4月以降SPTⅠ、Ⅱに区分されました)の算定は、一連の歯周病治療の過程で、歯科疾患管理料算定が前提であります。補管は施設基準ですので、か強診以前に届けが必要です。このように、施設基準や予め算定した上で初めて「か強診」が成り立つ構図です。詳しくは、月刊保団連「2016年改定の要点と解説」P16及びP38を参照して頂きたい。複雑怪奇でややこしい、と言う気がするのは私だけではないと思います。
  •  さて、「か強診の施設基準をクリアした。そこで、晴れて算定だ。」となりますが、算定ではかなり高点数になりがちです。「エナメル質初期齲蝕管理加算260点」が毎月算定可能ですが、算定の前提は口腔内写真撮影、そしてF洗、F局、歯清は別に算定できません。いわゆる包括です。実はこの、エナメル質初期齲蝕管理加算は「医学管理」の項目です。今までのF局(120点、3ヵ月に一度算定)は「処置」の項目です。ここが紛らわしいところと思っています。
  •  次に、SPTⅡです。これは、今までのSPTをⅠ、Ⅱに分けて、か強診の診療所だけが算定出来ます。SPTⅠとⅡの算定点数の差は、先生方はご承知の通りです。例えば20歯以上ではⅡの場合、830点(毎月算定可)という大きなものになっています。実は、ここにも大きな包括があります。算定の都度、口腔内写真の撮影と歯周病検査は行わなければなりませんが点数算定はありません。
  •  以上のように、「か強診」医療機関には点数算定には大きなメリットがあります。しかしながら、点数で誘導しながら、徐々に包括化の路線に流されているように思います。包括化の是非については異論があると思いますが、包括化が進むと算定点数が減少してしまうことに繋がらないか、と一抹の不安を感じてしまいます。
  •  また、「20歯以上残存の3割負担の患者さんに、SPTⅡの点数を毎月算定するのに二の足を踏む」とお話された先生方もいらっしゃいました。
  •  多くの患者さんが窓口負担3割であると思いますが、軽減できれば算定しやすくなることは容易に理解できます。
  •  「か強診」の施設基準のために、口腔外バキュームやAEDを導入しなければならず、この費用も決して安くはありません。
  •  設備投資し、いい治療を行いたいけど患者さんの窓口負担が気になってしまう、こんなことが現実起こっているのです。改めて窓口負担3割から2割、1割にする運動が必要と感じます。

「消費税増税は先送りされたけど」
政策部解説vol.81 2016.6

  •  2017年4月からの消費税増税(10%)は一応延期されました。内心ほっとしています。
  •  しかし、これも参議議員選挙絡みの策としてなんだろうな、と思うと複雑な気持ちがしますし、世界からの日本の信用が失墜したことを思うと情けない気持ちもします。
  •  最初にお断りしておきますが、私は、消費税増税に賛同など全くしていないし、10%の時期を延期するより、5%に戻すようにしたほういいと考えています。
  •  そもそも法人税や所得税は利益に対して課税することであるので、担税能力が担保されているけれど、消費税は「売り買い(商売)」という、お金が動いた時に一律に否応なく掛けられるものであるから担税能力などという概念はないのです。ですから、消費税率が低い時には耐えられるけれど、税率が高くなると商売は冷え込むことは想像できます。その上、ここ4年間も実質賃金が下がっている状況下では益々拍車が掛かります。 
  •  そうなれば、経済活動の指標であるGDPは下がることになってしまうのは当然です。
  •  日本のGDPは6割が個人消費ですから、消費税が高い、その上収入の伸びがない現在では8%から10%に上げるなど正気の沙汰ではありません。日本の消費税は無差別に同じ税率で課税されるので、8%の税率でも、担税能力のない所得の低い人には生活を脅かす税金です。
  •  今回の伊勢志摩サミットでは、消費税10%延期の理由として「リーマンショックの前に似ている、新興国の経済不調など」言わば自分の経済政策の失敗を他人に擦り付けた格好にしてしまいました。
  •  当然、この発表の翌日(5月28日)以降、相当な反発がありました。
  •  以下、例を挙げます。「危機とは言えない」(キャメロン英首相)、「危機とまで言うのはいかがなものか」、「今はむしろ、私たちは危機の後にいる」(仏オランド大統領)、「世界経済は2008年のような危機にはない」(IMFラガルド専務理事)、「安倍氏が説得力のない2008年との比較を持ち出したのは、増税延期計画を意味している」(英フィナンシャルタイムズ紙)、「安倍氏は深刻なリスクの存在を訴え、悲観主義で驚かせた。国民に訴える手段にG7を利用した」(仏ルモンド紙)。
  •  「リーマンショックの前に似ている」ことが正しいなら、これらに一つ一つ反論することが日本国総理の責任だろうが、何も反論しなかった。それどころか、「リーマンショック前に似ている」とは言ったことはない、など支離滅裂なことで終わらせました。
  •  世界における日本の信頼は一体どこに行くのでしょう。
  •  一国民として恥ずかしい気がしてなりません。

震災時の多職種連携「地域包括ケア」
政策部解説vol.80 2016.5

  •  熊本・大分地方の地震に遭われお亡くなりになられた方々におかれましては謹んでお悔やみ申し上げます。また、被災された皆様にはおかれましても、心よりお見舞い申し上げます。
  •  当県においても4月14日、16日の二度の大きな揺れ、そして頻回の余震で会員の先生方のご自宅や診療所の家屋や診療機器の被害が生じていないか心配しております。
  •  診療報酬改定時、ここ数年来訪問診療を推進する方向で進んでいます。今年度の改定では、在宅診療への方向付けがかなりはっきりしました。
  •  災害時に、「地域包括ケア」の観点から今次改定を見たとき、患者さんご自身や取り巻かれた環境がどのようであるかを考えてみました。
  •  在宅診療では、患者さんの疾病と同時に生活環境に直面します。その上、ご家族や患者さんに関わる医療、保健、介護職種(主治医、ヘルパー、ケアマネージャー、訪問看護師)のスタッフとの連携なしでは在宅診療は成り立たないと思います。その関係は外来診療に比べ極めて濃いものだと感じます。
  •  地震などの災害時では、在宅患者さんの置かれた状態を把握し、医療、介護スタッフとの連携が強く求められます。連携が密であればそれだけ被災時、患者さんへの医療提供やケアが的確で迅速に出来ます。
  •  今回の改定から導入された「か強診」、それに以前からある「歯援診」は届出書類には、それぞれ緊急時の連携保険医療機関、当該地域における連携医療機関、それに連携している在宅療養を担う医科の保険医療機関の欄があります。それらからして、医科との連携を強化する流れが国の医療政策としてあることがうかがえます。
  •  そうした観点からして医療、保健、介護など多職種連携が緊密になることで震災時において大いに活躍できるものと思われます。

選挙対策に3万円? (選挙の道具に使われる医療機関)
政策部解説vol.79 2016.4

  •  新年度になりました。保険点数改定が大きかったので、少々戸惑っておられる先生方もいらっしゃるのではないかと心配しております。当協会にも多くの質問などが寄せられております。
  •  最近、厚生労働省より「高齢者向け給付金支給促進に係る」ポスターとチラシが届きました。全国の医療機関に送られたようです。
  •  この給付金対象者は、平成27年度の臨時福祉給付金の支給対象者であり、平成27年3月31日までに65歳以上であることが条件です。給付金額は3万円。
  •  こういった唐突なポスターが送られてきた背景としては、日本の家計の実質消費支出はこの2年間ほぼ毎月前月割れの状態で、消費低迷が続いています。これは物価上昇が収入を上回り、家計の実質所得減少が原因です。
  •  対象者を上記のように限定したことに疑問を感じます。実質所得の減少は高齢者だけではなく、子育て世代、特にひとり親家庭には深刻なものと思えます。
  •  夏に参議院議員選挙が行われます。投票率は高齢者が高いという分析結果があります。これからすると票に繋がらない子育て世代より、投票率の高い高齢者に3万円配り、「よろしく。票を入れて欲しい。」と思えてしまいます。
  •  そのアナウンスの方法に医療機関がターゲットとされてしまったのでしょう。
  •  消費低迷が気になるなら、2年前8%にしてしまった消費税率を下げることを検討する必要があると思われます。
  •  因みに、2年前、消費税が8%になったとき、財務省から全国の医療機関に「診療報酬の上がった分は、保険点数に含まれています。消費税増税分は全て社会保障に使われています。」という内容のポスターが届きました。事実と異なる内容のポスターであることが残念で今でも鮮明に覚えています。
  •  前回、今回と都合のいいように医療機関が使われている気がしてなりません。

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