ピラミッド構造の「施設基準」と「歯管」
政策部解説vol.103 2018.6 

  •  読者の先生方におかれましては、新点数に改定され最初のレセプト提出をされたと思います。さぞてこずったのではないかと拝察致しております。私がお願いしている医療事務の方々も算定が難しく点検に慣れないことをお話されていました。今回の改定は、複雑なのでここまでは予定通りのことと思います。
  •  さて、今次改定もまた「施設基準」の網が掛けられた改定になったという感じがしました。
  •  そもそも、「施設基準」が登場したのは「補綴物維持管理料 (現 クラウン・ブリッジ維持管理料)」(補管)が変性した(補管を算定しなければ、加圧根充が算定出来ない、そして補綴物の装着時から70%の算定を余儀なくさせられてしまう)2000年以降「補管」算定は同時に「施設基準」を受け入れることになりました。因みに、この「補管」ですが、導入当時からかなり違和感を覚え、2000年以降、「オカシナ物」として考えています。
  •  さて、補管に始まった施設基準ですが、この4月より何項目あるのか調べてみましたところ32項目。それも、単独での施設基準ではなくて、「か強診」のように「補管」の施設基準が整い、届出を行っておかないと算定できないというピラミッド構造も前回の施設基準から導入され、今回では「か強診」は更にハードルが上がってしまいました。
  •  以前からありました「歯管」ですが、この「歯管」を算定しなければ算定出来ない施設基準を伴う検査 (咀嚼能力検査、咬合圧検査、舌圧検査)も入り何がピラミッドの底辺にあるのか相当理解して診療に当たななければ保険診療が出来ないシステムになってきたように思います。
  •  覚えておかないといけないのは届け出た施設基準を満たさないまま算定した時には大きなペナルティーが待ち受けていることです。施設基準が必要な診療には深い理解が必要です。
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情報だだ漏れ年金機構
政策部解説vol.102 2018.5 

  •  またも、相変わらずの「日本年金機構」のお話です。個人的な感情からすると「もういい加減にしてくれ、まともなことが出来ない組織、どんなガバナンスしているのか」と言いたいです。
  •  今回の問題は「公的年金 10万4千人に過少支給 総額20億円余」からスタートしました。単純にして20億円を10万4千人で割れば一人あたり1万9230円となります。
  •  「何だ、大した金額じゃない」と思われるかもしれません。よく考えてみてください。国民年金を例に挙げると2018年度は平均5万5千円です。厚労省の平成28年度国民生活基礎調査によると年金だけが総収入である高齢者は54.1%です。それらの方々の1万9230円は35%にもなります。1ヶ月の総収入が35%減った、と解釈出来ます。世帯数で見ると、日本国の総世帯の12%が総収入の8割~10割が年金だけなのです。こういった事実があることを年金機構の職員が腹の底から知っていれば、こんなお粗末な事象は起こらないと思います。極めて杜撰な管理体制です。
  •  おまけに日本年金機構のホームページを開いても、今回の事実関係など謝罪はおろか何も書かれていません。反省もないし、改善する気もないことが読み取れます。近い将来、同じことはまた必ず起こると考えてしまいました。
  •  その上、3月19日には、日本年金機構が年金情報のデータ入力業務を委託した情報処理会社が、受託した業務を不正に中国業者に再委託したことを公表しました。その年金情報は、約500万人分の情報量です。「中国の業者から個人情報が外部に流出した事実は今のところ確認されていない」と説明していますが、ちょっと思い出してください。2015年5月、日本年金機構に対し攻撃型メールが送られ、それを開けたことで年金管理システムに保管されていた125万人分の個人情報が漏洩しました。これからまだ、2年少しです。まだまだあります、消えた年金事件(不明件数2112万件)、グリーンピア事件(旧社会保険庁2005年、年金保険料から投じた1953億円の資産を48億円で売却)などなど呆れてしまいます。
  •  今回、中国の業者から個人情報が流出していない、と言っていますが、「ああそうですか」と信用することは少々無理があります。我々、善良な国民がバカを見て、被害に遭う。それも知らないところでお金も個人情報も知られてしまう結果となっています。国民はもっと、このことを真剣に考えるべきです。名前もマイナンバーも流出してしまえば永久的、世界的に情報が拡散されてしまいどんなことになるのか、考えただけでも恐ろしいです。
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難解な解釈になった保険改定
政策部解説vol.101 2018.4 

  •  4月からの保険改定の概要が出ました。この記事が先生方のお手元に届く時には保険解釈は分かっていると思います。今回の改訂は6年に一度の医療・介護同時改定です。前回改定当たりから、地域包括ケアシステムの流れで「医療から、介護へ」のシステムが強く推し進められています。これに呼応した改定になったと思っています。また、感染防止対策の観点から基本診療料が10月から変わることになります。
  •  具体的に分かっている改定箇所をいくつか記します。歯科初診料が院内感染防止対策を行っている場合(施設基準を満たし届け出を行い、定期的に院内感染防止対策の研修を受講している)には今年10月から237点、歯科再診料が48点。カッコ内の要件を満たしていない場合は歯科初診料226点、歯科再診料41点になります。経過措置として、院内感染対策の研修受講は平成31年3月31日までに受講することになっています。当然、当会におきましても院内感染対策の研修会を行う予定です。
  •  また、前回からいきなり出てきた「か強診」ですが、施設基準のハードルが上がりました。施設基準が3か所変更された上に、新しく11項目ある内の3つ以上に該当するなど、算定要件が複雑で多岐にわたっています。要件は介護分野、多職種連携、地域ケア、在宅分野に関わる内容となっています。要件を詳しく読むと溜息すら出てくるのは私だけではないと思ってしまいました。
  •  次に「加算点数」の分野が増えました。歯科疾患管理料の加算として小児口腔機能管理加算、口腔機能管理加算、総合医療管理加算。歯科疾患在宅療養管理料の加算として総合医療管理加算。有床義歯内面適合法の歯科技工加算1及び2。新設された検査として咀嚼能力検査(140点)、咬合圧検査(130点)、精密触覚機能検査(460点)があります。算定条件はありますが、一歩躍進した感じです。新設されたレーザー機器管理加算1,2,3もレーザーがかなり普及した昨今において実情に合ったものと考えます。
  •  在宅歯科医療では歯科訪問診療料が1,2,3ともに大きく改定されました。歯科訪問診療移行加算、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置が新設され、医療から介護へのインセンティブをアップしました。在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料では栄養サポートチーム等連携加算1,2.小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料など聞きなれない管理料、加算が導入されました。
  •  最も申し上げたい事ですが、国は明確に地域包括ケアを推し進めています。よく勉強しないと全く理解できない改定内容になって「保険理解不能、レセコン頼み」ということになってしまいそうです。
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「クイズチラシ」から伝えたかったこと
政策部解説vol.100 2018.3

  •  昨年秋から今年1月まで、保団連が行ったクイズチラシ(ハガキ)の応募総数は、6万4134通でした。前年度対比2万4233通増加でした。会員の先生方にはご多忙なところ多くのご尽力を頂きこのように多くの応募を得ることが出来ました。この場をお借り致しまして深く感謝申し上げます。
  •  さて、クイズチラシは「クイズで考える私たちの医療」と題して「患者さんが、待合室で診療を待っている時間に医療制度、医科・歯科に関わる疾病」を分かって頂き、そして保団連の運動の下支えになることを考えて作りました。
  •  クイズの問題は、3問、それも簡単明瞭なものにし、医療制度、医療費、そして必ず歯科に関するものを選んでいます。
  •  診療中、われわれ医療従事者は、患者さん一人一人の病状や治療説明に追われてしまい、なかなかこのような分野のお話になることは希だと思います。
  •  クイズ形式にし、受付に患者さんが来院された時に一言、声をかけ、お話するだけ自然にクイズに流れていきます。その上、実は、患者さんとのコミュニケーションツールとして大変重宝なものです。
  •  今回の問3などは、は歯科医師なら誰でも理解していることですが、歯科と糖尿病の関わりでした。色々な報道でこの関連性は取り沙汰されていますが、実際アンケートを見てみると知らなかった方々が多くいました。それなど、歯周病治療をする上で診療室に入る前、患者さんの知識がアップされれば治療しやすいことに繋がります。
  •  単に、クイズを解くだけでなくこのようなことを伝えたかったと思っています。
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数字では実感出来ない改定値
診療報酬改定の数値ではわからないこと
政策部解説vol.99 2018.2

  •  12月に診療報酬改定概要が発表されました。ネットでは-1.19% (内訳は診療報酬では+0.55%、薬価引き下げ-1.65%、材料価格引き下げ-0.09%) 歯科単独では+0.69%とのことです。今まで改定毎に「プラス改定」と言った発表にも関わらずあまり実感がないなあ、という声をよく伺います。前回の政策部解説Vol.98のグラフにもありますように個人歯科診療所の収支差額のグラフは右肩下がりです。
  •  さて、図1~図3のグラフから2000年度から2016年度の推移が示されています。歯科医療費はこの間0.26兆円の増加。調剤が右肩上がりで、2000年度には歯科とほぼ同じ医療費でしたが、今では2.5倍以上となっています。これを、2000年を基準とした伸び率を示したのが(図2)。歯科は2000年度をベースにして0.3%しか伸びがありません。医科診療所にしても1.0%強。同様に、入院外レセプト1件当たり(医科診療所、歯科、薬剤料)の伸びを2000年度ベースに記したものが(図3)。毎年下がっています。この16年間「プラス改定」が何度もあったにも関わらず、レセプト1件当たりは下がっています。プラス改定という実感がないことを示したグラフと思えます。
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平均値の体裁をなしていない ナンセンス「平均値」
政策部解説vol.98 2018.1

  •  医療実態調査(実調)の結果が出て、保団連ではその解釈をしました。(詳しいグラフ、表は保団連のホームページから見られます。) 医科、歯科、薬局の国民医療費、個人診療所の売上など2000年度から2016年までの17年間のデータの解析があります。その中で気になるグラフを紹介します。
     平成25、26年度の全診療所の階級別(100万円単位)の医療費のグラフを示したものです。平成25年度は6万4845診療所、平成26年度は6万5053診療所です。どちらのグラフをみても右肩の傾斜が緩やかなグラフになっていることが分かります。このような構造では平均値を取ると極端に売上の多い歯科診療所が、右の方にグラフ誘導してしまいます。平均値は約4000万円、中央値は3200万円くらいで、最頻値は2500万円くらいに位置します。実は、これが重要なのです。
     ここで平均値(ミーン)、中央値(メジアン)、最頻値(モード)のおさらい。「平均値」(ミーン)・・全ての数値を全部足し算して個数で割り算したもの。「中央値」(メジアン)・・データを小さい方から並べたとき真ん中の値。最頻値(モード)・・データの中で最も頻繁に出てくる値。
     特に、「平均値」は小学生の頃より慣れ親しんでいるので、何かデータが発表された時に自分が平均値から「どれだけ上か下か、自分は真ん中からどこの位置にいるか」と考えがちです。これは、グラフが正規分布(富士山の形)している時には意味をなしますが、上記の図1のようにデータの山が偏っている時右に頂点がずれている)時にはケタ外れの値が引っ張り、上から、平均値、中央値、最頻値の順に大きく振れてしまいます。(ピアソンの経験則)
     以上から、「平均値は4000万円くらい」というデータを元ネタに点数改定が行われては多くの歯科医院の経営にマイナスに働きます。平均値を取ってデータの信頼性を図るには、まずデータが富士山型(正規分布)しているところから始まるものでなければミスリードしてしまいます。
     下の図は、実調から解析した1ヶ月の個人歯科診療所の収支差額です。元ネタが図1ですから、平均値が如何に当てにならないものかおわかりですね。 因みに、歯科はこの17年間の医療費は0.3兆円しか増加していません。このグラフが示しています。歯科の困窮が伺えます。
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今回の総選挙と小選挙区
小選挙区制度は、民意を反映出来るのか
政策部解説vol.97 2017.12

  •  今回の総選挙は、9月28日の安倍首相の臨時国会での冒頭解散により10月22日投票となり、形の上では与党(自民・公明)が313議席を取り総議席数465議席の2/3以上を獲得しました。個人的には解散前と変わりないと感じています。なぜこの時期に800億円とも言われる巨額な選挙費用を国民の血税から出してする必要性があったか、今でも大きな疑問点として心の中に残ってしまいます。もちろん、7月の東京都議選から内閣支持率が一時期で20%代まで下がり、追い打ちをかけるように「森友・加計問題」が臨時国会で野党から質問攻めに遭うということが背景にあったことは誰の目にも容易に想像が付きます。税金800億円使って臨時国会を乗り切った形です。
  •  今回も、大与党に有利なように小選挙区制が働きました。そもそも、小選挙区が導入されるきっかけになったのは細川内閣(1993年8月~1994年4月)の時で、選挙改革として行われ現在に至っています。現在のように大与党と多くの野党という構図では選挙区において野党協力ができなければ当然、大与党に有利に働きます。
  •  今回の結果は、小選挙区(定数289)で自民218、公明29議席、比例区(定数176)で自民66、公明21議席でした。
  •  289選挙区で自民党は2672万票(得票率48%)でしたが、議席では75%を占める前述の通り218議席を獲得しました。小選挙区ではトップのみが当選するので、第1党が得票率に比べ議席数が大きくなる傾向があります。単純に言うと、「1/2に届かない得票率で3/4を取る」という疑問符が出る結果が出ました。
  •  176議席の比例区(政党名投票)では自民1854万票(得票率33%)で66議席。立憲民主1107万票(得票率20%)で37議席。希望966万票(得票率17%)で議席でした。比例区では得票率と獲得議席がそれなりに一致していると考えます。
  •  結局、小選挙区の勝敗が民意を反映出来ないことになります。因みに、朝日新聞のシミュレーションの引用ですが、自民・公明の与党VS野党共闘で一騎打ちの構造であれば野党分裂型であった226選挙区のうち与党120、野党106とかなり拮抗する結果になります。現時点で国民の意見が反映出来るには小選挙区制度は不向きと感じてしまいます。
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消費税が10%になったら
政策部解説vol.96 2017.11

  •  この機関紙が先生方に配布された時には、総選挙も終わっています。9月28日臨時国会冒頭解散と異例な解散でした。森友、加計問題で臨時国会を乗り切れないと判断した結果であるとの大方の見方ですが、選挙結果でこれからの日本が大きく変わるとも思います。
     さて、安倍総理が解散表明の際に「消費税を10%にし、増収分の使途を幼児教育無償化などに変更し、社会保障制度の全世代型へシフトを変える」と会見を行いました。
     消費税を平成26年4月に5%から8%に上げる時、与党は「増収分は全て社会保障費に充てる」と何度も言っていたことを思い出しますが、実際の社会保障関係費(年金・医療・介護など)を調べてみると平成25年度では、29兆1200億円、平成26年度 30兆5200億円、平成27年度31兆5300億円、平成28年度31兆9700億円、平成29年度32兆4700億円となっています。その間の、消費税収額は、平成25年度10.8兆円、平成26年度16兆円、平成27年度17.4兆円、平成28年度17.2兆円です。消費税が8%に上がっての増税分は6兆円強、ところが前述のとおり、社会保障関係費は平成27年度からみてもその前後で1兆円程度となっています。その差額の5兆円は、法人税減税分の穴埋めなどに使われています。
     言っていることとは程遠い消費税の使い方であることは誰の目にも分かります。こんなことをしながら「10%にした増収分を社会保障制度の全世代型に変える」と言ってそれを信じることは出来ないでしょう。
     いつも消費税のことを話題にした時、法人企業の内部留保の額を確認するのですが、平成28年度の内部留保は、前年同月比7.5%増の406兆2348億円で過去最高。平成27年度では377兆円、一方、労働者の最近4年間(平成25年から28年)の実質賃金は年額にして54万円減少。消費税が社会保障に使われず法人税減税の原資になるなど、こういった消費税と法人の内部留保のギャップがあります。それにも関わらず消費税10%増税を行うことに異論が出てくるでしょう。
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素朴な疑問? 医療、介護はお金のかかる贅沢品なのか
政策部解説vol.95 2017.10

  •  以前にもお知らせしましたが、高齢者の医療、介護の負担がジワジワ増加される政策がとられています。その上、去年に成立した「年金カット法」で高齢者の年金が減少しています。「手取り収入は減少するが、保険料が上がる」という事です。おまけに医療、介護を受ける(利用する)と手出しが今までより増える。その上、負担上限を上げるのです。
  •  具体的にお話すると、この8月から外来受診の場合 ①現役並み所得(370万円以上)4万4000円→5万7000円、一般所得(370万円未満)1万2000円→1万4000円 ②入院した場合(外来+入院(世帯単位)) 4万4400円→5万7600円へ負担増加に変更されました。更に今年10月から入院費の居住費(光熱費など)の負担増加、来年10月には65才以上の療養病床の居住費の負担増が予定されています。介護保険においても、医療保険同様、この8月より利用者負担の上限額が引き上げられました。例えば、一世帯 1ヶ月37200円→44400円。
  •  現在高齢者の平均的生活費は基礎年金のみの受給者800万人(月額平均5万円程度)厚生年金受給者の平均 男性16万6000円 女性10万2000円、高齢者の4割程度が10万円以下の年金で暮らしています。それに追い打ちをかけるように来年4月から「年金カット」が始まります。
  •  毎日の衣食住があって、医療・介護を必要とする高齢者は多いと思います。俗に言うと「食っていく」ことが優先されます。必要な医療や介護は後回しにされ「ガマン」させられている高齢者の生活が目に見えるようです。
  •  最近、厚労省からの言い訳じみたパンフレットが届きました。「誰もが安心して医療を受けられる社会を維持するために」「若い世代との間や、同じ高齢者の中での公平を図るため」などと書かれています。こんなに負担が上がり、年金がカットされるのでは医療・介護がお金持ちだけが享受できる、いわば贅沢品になってしまう気がしてなりません。その上、世代間の分断、同じ世代間の分断を狙った「公平」を打ち出していると受け止めてしまいました。
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「種子法廃止」と「農業競争力強化支援法成立」その2 
ーこれで日本の食の安全は終わりましたー
政策部解説vol.94 2017.8

  •  日本の農業は「種」に関しては上記の法と、「植物の新品種の保護に関する国際条約」加盟により、日本の種は自国で作られないことになりつつあるのです。これで誰が一番得するのか、という事ですが、その前に、種子法廃止が提案された背景をお話します。
  •  昨年11月に安倍内閣の「規制改革推進会議」が出された意見書が元で、今年2月に「種子法廃止」法案が出され、何の論議もなく4月14日に可決、成立されたのです。この背景には昨年秋、TPPから離脱したアメリカが、日本との2国間協定で第一の標的としている「農業」に照準を合わせアメリカ優位になるように交渉を加速した時期です。「種を制すれば、食料を制することができる。」と言われています。言い換えれば、「種を制すれば、莫大な儲けになる」という事です。これは、モンサント、デュボン、シンジェンタ、バイエルなどの多国籍企業が参加し「種」を儲けの道具としています。勿論、この5社は遺伝子組み換え(GM)の開発を行っています。得するのは、GM種子の多国籍企業ということになります。
  •  その上、GMであるばかりかF1(1代限りの収穫品種)である訳です。国産の「種」から、海外の「種」を毎年買わなければならなくなったので、種の価格も大きく上昇したと言われています。「トマトの種においては、以前1粒2円だったものが今では35円になっている、野菜の種は20年前までは、全て国産であったものが、今では90%が海外で生産され、F1の種に代わってしまいました。」と元農水大臣の山田正彦氏はお話されていました。
  •  種子法が廃止されて、コメ、麦、大豆は国の管理下、から民間に全て任せることになれば、米も三井化学の「みつひかり」日本モンサントの「とねのめぐみ」等F1の種子に代わってしまうのではとの懸念を同氏は語っていました。
  •  国民の主食が遺伝子組み換え作物、しかもF1品種であることは極めて国家防衛上危ういことと思っています。日本は、カロリーベースで食料自給率が39%と言われています。それも、種が海外からの供給が前提で、種が入らなければ話になりません。以前、食料は戦略物資であることをこの記事に書いたのですが、ヨーロッパ、アメリカなどの先進国は国策で食料自給率は100%以上です。気候変動や政治的な問題でF1種が入らなければ当然、日本は兵糧攻めになるのです。例え食べられたとしてもそれが遺伝子組み換えの作物であること、この種子法廃止は、日本の国防上極めて危ういことを引き起こすことになるのではないかと思っています。
  •  因みに戦場で1番大事なのが「武器」2番目に大事なのが「食料」と徴兵制のある韓国では軍隊に入ると教えられるそうです。規制改革推進して、国民を危うい方向に向けて、一部の企業の儲けの「種」にしているのかなと思っています。
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「種子法廃止」と「農業競争力強化支援法成立」その1 
ーこれで日本の食の安全は終わりましたー
政策部解説vol.93 2017.7

  •  5月の九州ブロック会議の席上、種子法が廃止されたことが話題に上がりました。馴染みのないことなのですが、食の安全上危険で、国家の安全保障に関わると感じています。今回はこの種子法廃止について申しあげます。
  •  ここ最近、加計問題をマスコミが話題に取り上げ、その陰で「こっそり」国民の食の安全を担保した種子法廃止が、4月14日、自民、公明、維新の賛成多数で参議院本会議で決まったのです。それに、加えて5月12日、農業競争力強化支援法が成立しました。施行日は2018年4月1日。
  •  まず、我々にあまり馴染みのない種子法とはどんなものなのか、ということです。1952年に、日本の食に欠かせないコメ、麦、大豆の生産に欠かせない優良な種を安定的に供給する目的で作られました。この法により、各地で農業試験場が置かれ、日本各地の風土、気候、土壌に合った品種改良、開発が行われ、美味しくて、栽培しやすい品種が出ました。新品種を開発するまでには10年ほど掛かります。私たちが日常耳にする「こしひかり」「あきたこまち」などはこうして開発されました。この農業試験場が「種」の生産・管理など人手もお金も掛かる仕事をやって日本国中の農業を支えています。種子法があったから出来たことなのです。
  •  次に、農業競争力強化支援法とは種子の生産への民間事業者参入を促進する法。農業試験場などで開発された新品種の情報を民間事業者に提供することが決められています。早い話が、10年かけて開発した種子の情報を民間に差し出せ、という事です。おまけに日本は、「植物の新品種の保護に関する国際条約」の改正条約を1991年に批准しています。この条約を平たく言うと、新しい品種に関わる育成者の権利を保護するのですが、それは種子の独占を狙ったモンサント社などが有利になるように働きます。
  •  これがあって、野菜の種は一代限りで、野菜を植えるときには毎年タネ屋から買わなければならないことになったのです。「F1種」と言われる1代限りでしか収穫できない品種に変えられてしまいました。タネの価格は売る側の言い値で決められてしまい、儲けの道具になってしまいました。ですから、野菜で上手くいった限りは、今度はコメ、麦、大豆でも同様にしてきたのでしょう。
  •  次回はこれらの法と食の安全について書いていきます。
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